平日休みの仕事はコスパ・タイパがよく、便利でお得ってホント?

2023/10/30 更新
平日休みが多い、代表的な業種と職業
〈外出時にお店を利用する人が増えるので、土日は売り上げがアップする〉〈昔から買い物は土日にするもの、という感覚がある〉〈土日にイベントなどが開催されることが多く、その波及効果を受ける店舗が多い〉などの理由から、複合施設や飲食。小売りなどのサービス業は土日に営業していることが一般的で、実際に平日より土日の売り上げ・平均購買単価が高くなることがわかっています。
身近な例で言うと、みなさんの自宅から近いスーパーや商店街に軒を連ねる店舗も土日祝日に営業しているところが多いと思いますが、そうした店舗、施設、企業などで働いている人々の多くが“平日休み”の人たちです。
平日休みが多い業種や職業は実は思った以上に、世の中にはたくさんあります。平日に休みを取っている人たちによって支えられている代表的な業種をいくつかあげてみましょう。どれも生活に身近なものばかりであることがわかります。
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●さまざまな製品や食品を作るため24時間365日稼働する製造業
●旅館・各種ホテル・民宿・飲食等の宿泊サービス業
●博物館・動物園・水族館・大型テーマパーク等のレジャーサービス業
●ショッピングモール、スポーツ・コンサート・シアタ等の複合エンタメ施設
●レストラン、カフェ、外食チェーン等の飲食サービス業
●百貨店、スーパー、専門店等の小売業
●ヘアカット、ネイル、ブライダル、エステ、着付け等の美容・理容業
●整体、鍼灸、カイロプラクティック、リラクゼーション、リフレクソロジー等の療術業
●スポーツクラブ、フィットネスジム、スパ、プール、入浴施設等の健康サービス業
●賃貸・売買仲介、販売営業、事務等の不動産業
●宅配員、大型トラックのドライバー、物流管理、配送管理、在庫管理等の配送業
●電車・タクシー、航空機、船舶等の公共交通機関
●デイサービス、介護施設、幼児施設等の福祉サービス業
●挙式・葬儀等の冠婚葬祭施設や、それに伴う会場設営、料飲等のサービス業
●マンション・設備・住宅等の管理業
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平日休みの仕事に向いている人
土日休みの仕事に就いている人と、平日休みの仕事に就いている人の割合は、ほぼ同比率であることが総務省の統計によってわかっていますが(最終章「すべての人が、長期休暇を取りやすい社会に!」参照)、平日休みの仕事を選ぶ人には「ある傾向」があるといわれていることをご存じでしょうか。
下のチェック項目に5つ以上該当するものがあれば、もしかしたらあなたは平日休みの仕事が適しているのかもしれません。
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□ グループ行動より、ひとりで過ごすほうが好き
□ 混雑しているときに、わざわざ観光・レジャーに出かけたくない
□ 趣味・運動などの時間は、第三者を気にせず集中したい
□ 理容店・美容院、整体などは、思い立った時にすぐに行きたい
□ 人混みが苦手なので、将来は田舎暮らしをしたいと思っている
□ どんなに美味しいと勧められても、30分以上並んでまで食べたくない
□ 連休や年末年始の特定時期に、移動費や宿泊費に高いお金を払いたくない
□ 一度の旅費を抑えて、そのぶん旅に出る機会を増やしたい
□ 銀行、役所などの手続きは、待ち時間なく短時間で済ませたい
□ 自分の性格は、天邪鬼(あまのじゃく)だと思っている
□ せっかちなので、待たされることも待たせることも我慢ならない
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土日休みの人と平日休みの人が、ハワイに行った場合……
平日休みにはたくさんのメリットがありますが、代表的な5つのメリットをピックアップすると……
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1.休日に外出しても混雑を避けられる
2.リーズナフルに旅行ができる
3.役所・銀行、病院などを利用しやすい
4.平日割引・特典を利用できる
5.予約が取りにくい人気スポットなどで予約を取りやすい
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このように、平日休みの人は土日休みの人と比べて、タイムパフォーマンス(タイパ)、コストパフォーマンス(コスパ)の面で恩恵を受けられることが多いといえますが、父親と母親がともにカレンダー通りにしか休みを取れない土日休みの一家(4人)が、お盆期間中にハワイに行ったとしましょう。その場合、以下のようなデメリットやストレス感じることが多いといえます。
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△ 航空券、ホテル、観光地のチケットなどの予約が取りづらい
△ 旅費やレジャー代金が高いピーク時の旅行のため、出費がかさむ
△ 旅行者が集中する時期のため、さまざまな場所が混雑している
△ 渋滞や、行列に並んでの順番待ちは当たり前
△ 旅先では常に精神状態が慌ただしい気分になっている
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一方、平日休みの家族4人が、ゴールデンウィーク直後の平日出発・平日帰国に狙いを定め、有給休暇を活用したり同僚の協力を得ることで、ハワイ旅行を実現させたとしましょう。その場合、次のようなメリットを得ることができます。
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◯ 1年のうちで最も旅行者が少ない時期なので、混雑を避けられる
◯ オフシーズン(閑散期)なので、旅費や宿泊代金を大幅に抑えることができる
◯ 旅先の人気スポット、行楽地、マリンスポーツを待たずに利用できる
◯ 人の少ないビーチでゆったり過ごし、雄大なサンセットを満喫できる
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コスパ、タイパだけでなく、精神的にも余裕が生まれるため、旅先でゆったり過ごせる効果も得られますが、何より、平日休みと有給をからめてオフシーズン(閑散期)のGW直後に日程を設定したことで、出費を大幅に抑えることができたといえます。
もちろん利用する旅行会社や航空便によっても異なりますが、お盆期間にハワイに行った土日休みの人と、GW直後にハワイに行った平日休みの人では、旅行代金の差は数十万円にのぼることも珍しくないとされています。

平日休みの人たちが感じているデメリットと、その解消法
ハワイ旅行を例に、平日休みの人のメリットを取り上げましたが、もちろん、メリットだけではなくデメリットとなる要素もたくさんあります。
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デメリット① 土日休みの友人や家族と予定を合わせづらい
デメリット② 土日や祝日、大型連休に開催されるイベントに参加しづらい
デメリット③ まとまった休みや、連休を取りにくい
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でも、以下のような工夫をこらすことで、デメリットを上手に解消することも可能です。
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解消法① 土日休みの友達と交互にスケジュールを合わせ、不公平感が生じないようにする
解消法② 双方の時間が取りやすい夜間などの時間を活用する
解消法③ 法で改正された年5日の有給休暇取得義務を上手に活用する
解消法④ 冠婚葬祭などに出席する際は有給を活用する
解消法⑤ 長期間休みを取る際は有給を活用する
解消法⑥ 職場の人と関係性を育み、急な対応が必要なときは休みを調整しあう
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平日休みがよい場合もあれば、悪い場合も?
ここまで、平日休みが多い業種や職種、平日休みのメリット、デメリットや、その解消法を見てきましたが、平日休みの仕事に就いている人が、実際にどのようなメリットやデメリットを感じているのでしょうか。
ここからは【27歳・独身・男性・Hさん】【交際8年・30代の男女】【子どもなし・結婚の21年の夫婦】の3つのケーススタディをもとに、平日休みの仕事に就く人の“本音”を探っていきましょう。平日休みのメリット、デメリットは、その人の生活環境やライフスタイルなどによって大きく変化するようです。
短期でしっかり稼ぐため、平日休みの仕事を選択!

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【ケース① 27歳・独身・男性・Hさん】
旅費を貯めるため食品メーカーに勤務/火・金曜休み
バックパッキング(低予算の個人旅行)を趣味にもち、世界各国をめぐってきたHさんが次にめざすのは北欧スゥエーデンを出発し、欧州各国をめぐりながら北アフリカに到達する旅です。その費用300万円を捻出するため、24時間稼働する3交替制のメーカーに的を絞って職場探しを始めたHさんは、コンビニの商品や惣菜を製造する食品メーカーに採用され、日中より時給がよい土日・深夜のシフトを中心に働き始めます。
Hさんは火曜と金曜の休みの日に近くのスーパーへ買い出しに行くなど節約に努めながら、月に平均25万円の貯金を続け、わずか半年で目標額の半分の資金捻出を達成! 現在は寮で自炊をしながら旅先に思いを馳せ、残りの150万円を貯めるため頑張っていると言います。
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彼氏の土日休み、彼女の平日休みが交際の妨げに?
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【ケース② 交際8年・30代の男女】
32歳・男性・Tさん/IT系企業に勤務/実家暮らし/土日休み
31歳・女性・Sさん/不動産売買仲介業に勤務/ひとり暮らし/水・木曜休み
大学時代に同じゼミに在籍し、卒業後に交際をスタートさせたTさんとSさん。現在はともに仕事にやりがいを感じ、充実した日々を過ごしていますが、互いの休みの日が異なるため、ふたりそろって日中に出かける機会はほとんどなく、主にふたりの仕事が終わった夜間に食事などのデートを重ねるなどしてきました。
そんなある日、TさんとSさんのもとに共通の友人から結婚式の招待状が届いたのですが、挙式は土曜日だったためSさんが有給を取って式に参列することに。このことをきっかけにSさんは、「生活のペースが合わないふたりが結婚しても、うまくやっていけるのか?」と、あらためて不安を抱くようになったと言います。
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不満ゼロの充実した毎日を過ごす、平日休みの夫婦
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【ケース① 子どもなし・結婚の21年の夫婦】
45歳・男性・Kさん/大手百貨店の外商営業部に所属/月・木曜休み
42歳・女性・Rさん/大手百貨店の商品開発部に所属/月・木曜休み
都内の大手百貨店に勤務する結婚21年目のKさんとRさんは、新卒で百貨店に就職。職場恋愛の末、結婚にいたったふたりは、そもそも土日に休むという発想を抱いたことがなく、土日の冠婚葬祭などに参列するときや、これまでに数回、夫婦で出かけた海外旅行では、同僚に協力してもらって有給休暇を取得して長期休暇を組んできたといいます。
友人や互いの家族は、ふたりが土日に休みがとれない仕事をしていると理解してくれていることで、誘いがあるときはいつも、曜日や時間を考慮して誘ってくれるそう。そのため、生活をするうえでこれといった不満を抱くことなく、仕事もプライベートもとても充実しているといいます。
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すべての人が、休暇を取りやすい社会に!
厚生労働省では、「休日」について以下のように定めています。
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【第20条 休日】
Ⅰ 労基法では何曜日を休日とするか、あるいは国民の祝日を休日とするかについて規定していません。
1週間の中で何曜日を休日としても、また、週によって異なる曜日を休日としても差し支えありません。
さらに、勤務の実態に合わせて、労働者ごとに異なる日に交替で休日を与えることもできます。
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また、総務省の「平成 28 年社会生活基本調査」の統計によると、土曜に働いている人、日曜に働いている人、平日に働いている人の割合は、以下の数値であると公表されていて、土日休みと平日休みのくくりにすると、その割合は50%近くであり、「平日&日曜」の週休2日を取得している人が多いことも数値から推測できます。
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土曜日に“有償労働”をしている(働いている)割合……33.5%
日曜日に“有償労働”をしている(働いている)割合……21.5%
平 日に“有償労働”をしている(働いている)割合……50.2%
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——ただ、土日休みの人と平日休みの人を問わず、GW、お盆、年末年始などに発生する高速道路の大渋滞、駅・空港・街の大混雑を、なんとか解消する手立てはないものかと考えている人は多いでしょう。さらに、土日休みの人の多くが、土日に肩を並べて一斉に休業する病院、行政、金融機関などの対応をもう少し柔軟にしてもらえないかと思っている人も多いはず。
何より、平日休みのシフトを敷く企業では、社員がフレキシブルに行動できるよう、有給休暇の積極的な取得を推奨すべきですし、長期旅行で養った英知は業務にもきちんと活かされる……いう発想を多くの企業がもってほしいものですね。いずれにしても、土日休み、平日休みを問わず、誰もが休みを取りやすく、ONとOFFにメリハリのある生活ができる社会になり、「働きすぎの日本人」「男性主体の日本社会」の汚名を返上できる日がくるといいですね。