目視検査って何をするの?具体的な作業内容や業務に携わる魅力・適性などを紹介!
2023/10/5 更新
1.目視検査とは?

目視検査とは、文字通り「人間の目」で製品に不具合がないかどうかをチェックする官能検査(※)のひとつです。たとえば、製品の表面にキズやムラがないか、形状不良や印字ミスがないか、異物が混入していないかといった情報を、人間の目で確認・判定します。
また、工場の求人などでよく見かける「外観検査」も目視検査のひとつで、不良品を検出するという目的は同じです。ここ近年、工場の製品検査は機械による自動化が進んでいるものの、自動化が難しい部分は目視検査で補う傾向にあります。機械では検出しにくい外観の不具合も、人の目なら検出しやすいというメリットがあるからです。そのため、多くの製造現場では、検査装置が製品の検査を済ませたあと、最終的に目視検査を行うパターンが一般的です。
※官能検査……人間の五感(視覚・味覚・触覚・触覚・臭覚)を利用した検査方法。自動車部品の形状不良や傷、印刷物の文字抜けやにじみ、布製品の手ざわりや色調・光沢、食品の味や匂い、楽器の音質や音量など、限度見本などと比較しながら人間の感覚で合否を判定します。
1.目視検査の種類

目視検査は主に4種類あり、検査するタイミングや工程によって使い分けられています。以下、それぞれの検査の特徴と、メリット・デメリットについて解説します。
インライン検査
製造ラインの中に検査工程を取り入れる方法。多くの工場ではライン生産方式を取り入れているため、製造過程で検査の設備や人員を配置して、流れを止めずに行うことができます。
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●メリット……検査のスピードが速い、全数検査に適している
●デメリット……設備の設置に手間がかかる、人件費や設備投資の費用がかかる
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オフライン検査
製造ラインとは分離した工程で検査を行う方法。流れ作業にならないため、より精密な検査を行うことができます。
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●メリット……より精度の高い検査ができる、抜き取り検査に適している、設備費が抑えられる
●デメリット……全数検査には向いていない、検査員のスキルによりばらつきが出やすい、精密な検査を行うため人件費がかかる
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全数検査
製造したすべての製品や部品に対して行う検査です。とくに、人の体内に入る食品や医薬・医療品など、不良品の流出が絶対に許されない製品は、全数検査ですべての製品の品質を徹底的にチェックします。
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●メリット……すべての製品・部品の品質を保証できる、市場へ不良品が流れるリスクが低い
●デメリット……検査スピードに限界がある、人件費や時間が多くかかる、耐久検査や破壊検査には向いていない
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抜き取り検査
各ロットからそれぞれサンプルを抜き取って検査する方法で、合否はロットごとに判定します。
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●メリット……人件費や時間を削減しやすい、複数項目の検査が行える、耐久検査や破壊検査に向いている
●デメリット……すべての製品の品質を保証できるわけではない、不具合が発生する可能性もある、品質改善につなげにくい
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2.目視検査の方法

目視検査の方法は主に「形状・構造に関する検査」「表面形状に関する検査(外観検査)」「仕上がりに関する検査(最終検査)」の3種類があります。
形状・構造に関する検査

形状・構造に関する検査は、製品の部品が作られた段階で実施する検査です。主に機能性重視の製品に実施されることが多く、標準仕様(規格)と異なる形状・構造の部品が作られていないかをチェックします。
形状・構造不良の製品は、生産設備(金型など)の不具合や、ラインに携わる人間自身のミスによって発生します。とくに、手作業による工程が含まれる場合は、作業者のヒューマンエラーによって規格外の製品が作られてしまうことも珍しくありません。部品の形状や構造が定められた仕様を超過してしまうと、完成品の品質が保証されなくなるため、まずこの時点で不具合を発見することが重要となります。
表面形状に関する検査(外観検査)

表面形状に関する検査では、製品の表面についた傷や欠け、付着物や汚れ、材料の変色などをチェックします。
とくに、熱によって変形する樹脂成形(プラスチック)製品や、形状・加工が複雑な製品は、表面に亀裂や凹み、すり傷などが生じやすいため、かなり細かい部分までチェックしていきます。なかでも電化製品は外観の基準が厳しく、製品によっては0.1mm単位で傷などを検出することが求められます。
仕上がりに関する検査(最終検査)

生産ラインの最終工程で行われる仕上がりに関する検査は、製品そのものの品質を最終確認する重要な検査です。製品全体の仕上がりに問題はないか、バリや欠け、動作などに不具合はないかなどをチェックし、製品を市場に出して問題ないかを判定します。
万一、不良品が見落とされて市場に出てしまうと、消費者からのクレームや事故にもつながりかねません。そのため、仕上がりに関する検査で「不合格」と判定された製品は、不良品として処分される場合がほとんどです。
4.目視検査の仕事をするメリット・魅力は?
では、ここからは目視検査の仕事の魅力や働くメリットについて見ていきましょう。
未経験からでも仕事を始めやすい

製造業の検査業務の中には、専門知識や資格か必要なもの(特殊な測定器を使う検査、食品・医薬品の成分分析など)もありますが、目視検査は基本的に資格や経験の有無を問わず、初心者や未経験者でも従事することができます。仕事内容は「チェックシートに沿って製品に不具合がないかを見て確認」⇒「不良品を見つけたら取り除く」という単純作業が中心となるため、仕事を覚えるのも比較的早いでしょう。
力仕事などの重労働がない

目視検査の仕事は、重量物を持ち上げる・運ぶといった力仕事がほとんどないため、体力や筋力に自信がなくても従事できるのがメリットです。また、扱う製品や工場によっては、検査作業を座って行う場合もあります。そのため、腰痛や肉体疲労などのリスクが比較的少なく、性別や年齢にかかわらず長く働くことも可能です。
やりがいを持って働ける

目視検査をはじめとする検査業務は、製品の品質維持に必要不可欠な仕事です。不具合を見落とすと不良品が市場に出回ってしまうため、その分責任は重くなりますが、わずかな不具合も見逃さずに検出することで、工場の生産ラインや製品の品質を見直すきっかけになることもあります。
自分の仕事が企業の役に立っていると自負できますし、人によっては不良品を発見することも、仕事のやりがいにつながるでしょう。また、どうすれば早く・正確に検査ができるのかを考えながら業務に携わることで、仕事への責任感や集中力、根気強さも身についていくでしょう。
5.目視検査の仕事の大変な部分は?
以上のようなメリットや魅力がある一方で、目視検査の仕事には大変な部分があるのも事実です。以下、目視検査作業のマイナスな面もしっかり把握しておきましょう。
責任が重大

先述したように、検査で製品の不具合を見逃すとクレームや事故につながりかねないため、その責任は重大です。とはいえ、目視検査は人によって精度にムラがあり、検査する人のスキルや集中力、その日のメンタルや体調などによっても「見え方」は異なってきます。
そのため、ほとんどの工場では検査作業を複数人・複数工程で行ったり、検査する箇所を絞って集中しやすい検査工程を組んだりと、不具合を可能な限り見落とさないような体制がとられています。よって、過度にプレッシャーを感じる必要はありませんが、責任ある仕事に携わっているという自覚を持って、日々の業務に取り組むことが重要です。
単調で眠くなる、目が疲れる

目視検査はひたすら同じ製品を同じ基準・手順で見続けるため、慣れてくると作業に飽きて眠気が襲ってくることもあります。また、製品の細かい部分まで凝視するため、目の疲れや肩こりなども生じやすくなります。対策としては、作業中に伸びをする、休憩時間に軽いストレッチをする、目薬をさす、目の周りのツボを押すなど、体と目のリフレッシュを心がけるようにしましょう。
6.目視検査の仕事に向いている人の特徴

では次に、目視検査の仕事に向いている人の特徴を見ていきましょう。
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《目視検査の仕事に向いている人》
●集中力を保って同じ作業をコツコツと続けられる
●わずかな欠陥や違和感に気づく注意力がある
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目視検査では、1日に何百~何千個も同じ製品を同じ基準で見続けなければなりません。そのため、同じ作業をコツコツと続ける根気強さと、一つひとつの製品を正確にチェックする集中力が求められます。
また、わずかな欠陥を見逃さない注意力や、ちょっとした違和感に気づく感覚の鋭さがある人も、目視検査の仕事に適しているでしょう。
7.目視検査の仕事に向いていない人の特徴

続いて、目視検査の仕事に向いていない人の特徴を見ていきましょう。
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《目視検査の仕事に向いていない人》
●じっとしているのが苦手、体を動かして働きたい
●細かいことを気にしない、どちらかというと大雑把
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目視検査では、作業中に体を動かすことがほとんどありません。そのため、じっとしているのが苦手な人や、実際に体を動かして働きたいという人には向かないでしょう。また、わずかな欠陥にも気づく必要があるため、細かいことを気にしない人や、大雑把気味な性格の人も厳しいかもしれません。
こうした傾向がある人は、体を使って働く工場の組立や加工、ピッキングなど、検査以外の仕事を選ぶ方が活躍できるチャンスが広がるでしょう。
8.まとめ

今回は、目視作業に関する基本的な情報とともに、検査業務に携わる魅力や大変な部分、仕事の適性について解説しました。
ご紹介したように、目視検査の仕事は重要な役割を担うため大変な部分もありますが、その分、やりがいや手応えが大きい仕事ともいえます。また、年齢や性別、経験や資格の有無を問わず、仕事を始めやすいのも大きなメリットといえるでしょう。本記事を読んで目視検査の仕事に興味を持った方は、ぜひトライしてみてはいかがでしょうか。
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