大卒フリーターの実状・リスクや、正社員就職に向けたポイントを紹介!

2024/4/24 更新
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■目次
- 1.「大卒フリーター」ってどれぐらいいるの?
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・大学卒業直後フリーターになった人は1割以下
・フリーター経験のある大卒者は多い?
- 2.大卒でフリーターになる4つの理由
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・学生時代に就職活動をしなかった
・実現したい夢や目指す職業がある
・就活で内定が取れなかった
・一度就職したものの退職した
- 3.大卒フリーターを続けるリスク・デメリット
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・スキルアップ・キャリア形成が難しい
・フリーター歴が長くなると就職が難しくなる
・年齢とともに正社員との収入格差が広がる
・社会的な信用が得にくい
- 4.大卒フリーターが正社員就職を目指す際のポイント
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・まずは自己分析と企業研究を進める
・卒業後3年以内なら新卒枠で応募できる場合も
・新卒応援ハローワークを利用する
・就職・転職エージェントを利用する
・アルバイト先の正社員登用制度もチェック
・紹介予定派遣で働く方法も検討する
- 5.まとめ
「大卒フリーター」ってどれぐらいいるの?
内閣府の定義によると、フリーターとは「学生や主婦を除く15~34歳の若年者のうち、パート・アルバイトの雇用形態を主な仕事としている者、あるいは、就職する意思を持っている求職中の無職者」のことを指します。
では、フリーターの中で大学卒業者はどれぐらいいるのでしょうか。まずは、大学卒業後すぐに正社員として就職せず、フリーターになった人の割合を見ていきましょう。
大学卒業直後フリーターになった人は1割以下
独立行政法人 労働政策研究所・研究機構が発表した2021年の調査資料(※)によると、大学卒業直後にフリーター(パート・アルバイトで就業)になった人の割合は、男性が7.5%・女性が7.7%と1割に満たないことがわかります。 一方、大学卒業直後に正社員(公務員を含む)になった人の割合は、男性が80.9%・女性が81.6%となっており、8割以上の大卒者が新卒で正社員就職していることがわかります(以下参照)。
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【大学卒業直後にフリーターになった人の割合】
《大学・大学院卒》男性……7.5%、女性……7.7%
【大学卒業直後に正社員になった人の割合】
《大学・大学院卒》男性……80.6%、女性……81.6%
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フリーター経験のある大卒者は多い?

このように、大学卒業直後は正社員になる人が圧倒的に多いものの、フリーター経験のある大卒者は意外に多くなっています。労働政策研究所・研究機構の同資料によると、フリーター経験のある大卒者(25~29歳)の割合は43.5%。卒業直後は1割に満たなかったフリーター率が、わずか数年の間に半数近くにまで上昇しているのです。
次章で詳しく解説しますが、じつは新規大学卒就職者のうち約3割の人が、入社後3年以内に退職しており、そうした人がフリーターになるケースも少なくないようです。とくに近年、大卒のフリーター経験者は増加傾向にあり、若者の働き方や仕事に対する価値観が、時代とともに多様化していることも影響していると考えられます(以下参照)。
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【フリーター経験のある大卒・大学院卒業者の割合/近年推移】
●2001年……11.0% ●2006年……21.2% ●2011年……27.2%
●2016年……40.6% ●2021年……43.5%
※調査対象25~29歳
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※参考資料/独立行政法人 労働政策研究所・研究機構「大都市の若者の就業行動と意識の変容(第5回 若者のワークスタイル調査から)」
0213.pdf
大卒でフリーターになる4つの理由
ここからは、厚生労働省の報告書(※)をもとに、ニートになりやすい人の特徴や性格の傾向を見ていきましょう。以下の傾向に該当する人が、すべてニートになりやすいというわけではありませんが、一般的な参考例としてチェックしてみてください。
学生時代に就職活動をしなかった

大卒フリーターの中には、「やりたい仕事が見つからない」「自分に向いている仕事がわからない」といった理由から、学生時代に就職活動をしなかった人が多いといわれています。また、学生時代に焦って就職活動を進めるよりも、フリーターをしながら自分にマッチした仕事をじっくり探したい、と考える人もいるようです。
実現したい夢や目指す職業がある

将来に向けた明確な目標があり、大学卒業後あえてフリーターという働き方を選ぶケースです。たとえば、起業・開業や留学といった夢をかなえるために、フリーターとして働きながら資金を貯めたり、さまざまな経験を積んだりする人もいます。また、役者や芸人、アーティストなど、正社員以外に目指している職業があり、その修業や活動をするためにフリーターをしている人もいます。
就活で内定が取れなかった

学生時代に就職活動をしていたものの、希望する企業(あるいはエントリーしたすべての企業)から内定がもらえず、就職をあきらめてフリーターになったというケースです。就活失敗の主な理由としては、企業研究や自己分析、面接対策などが不十分だった可能性が考えられますが、不景気になると企業は新卒採用枠を減らすため、本人の能力に問題はなくても内定が出ない場合もあります。
一度就職したものの退職した

大学卒業と同時に就職した企業を早期退職し、そのままフリーターになるケースも少なくありません。厚生労働省の調査(※)によると、新規大学卒就職者の3年以内の離職率は以下の通りとなっています。これを見ると、入社1年目に離職する人の割合が多い傾向にあり、1~3年目のデータを合算すると、新卒で入社した人の3割以上が3年以内で離職していることがわかります。
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【新規大学卒就職者の3年以内の離職率/近年推移】
●2019年3月卒……1年目11.8%、2年目……9.7%、3年目……10.0%
●2018年3月卒……1年目11.6%、2年目……11.3%、3年目……8.3%
●2017年3月卒……1年目11.6%、2年目……11.4%、3年目……9.9%
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※参考資料……厚生労働省「学歴別就職後3年以内離職率の推移」
001005627.pdf
大卒フリーターを続けるリスク・デメリット
体力がある若いうちはチャレンジできる仕事が多く、高収入や掛け持ちのアルバイトで効率的に稼ぐこともできるでしょう。また、フリーターは勤務時間や休日設定などの自由度が高く、プライベートを重視した働き方ができるのもメリットです。
とはいえ、正社員と比べて雇用や収入が安定しないフリーターは、年齢とともにリスクを抱えやすい働き方であるのも事実です。以下、大卒フリーターを続けるデメリットも把握した上で、今後のアプローチを検討しましょう。
スキルアップ・キャリア形成が難しい

アルバイトやパートで働くフリーターは、比較的容易なルーティンワークやマニュアル業務を担当するケースがほとんどです。そのため、正社員と比べて仕事への負担感は軽いものの、転職に役立つ実務経験やスキルが身につけにくく、将来的なキャリアの選択肢も限定されてしまう傾向があります。いざ正社員として就職しようと思っても、アピールできるスキルが少なく、実務経験を積んだほかの転職者と比較すると、採用で不利になる可能性もあります。
フリーター歴が長くなると就職が難しくなる

フリーターの期間が長くなるほど、正社員として就職するのが難しくなる点にも要注意です。以下、フリーターに関する厚生労働省の広報資料(※)を見ると、フリーター期間ごとに正社員として就職できた人の割合は、期間の経過とともに低くなることがわかります。 同じ年齢の正社員と比べて、経験できる業務内容が限られているフリーターにとって、年齢とともにその期間が長くなれば、採用で不利になる可能性がある点は十分理解しておきましょう。
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【フリーターの期間別・正社員就職できた人の割合】
●フリーター期間6ヵ月以内……64.0%
●フリーター期間6ヵ月~1年以内……58.3%
●フリーター期間1年~2年以内……52.2%
●フリーター期間2年~3年以内……58.9%
●フリーター期間3年以上……48.9%
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※参考資料/フリーターに関する厚生労働省の広報資料
0000105821.pdf
年齢とともに正社員との収入格差が広がる

厚生労働省の雇用形態別の賃金調査(2022年)によると、正社員の平均賃金が32万8000円であるのに対し、フリーターを含む正社員以外の平均賃金は22万1300円と10万円以上の差があることがわかります。 また、正社員は毎月の賃金以外にも、ボーナスや各種手当などが支給され、定期的な昇給もあります。一方で、フリーターは基本的に「働いた時間分の給料のみ」が収入となるため、病気やケガなどで働けなくなれば、収入は激減してしまいます。さらに、同じ仕事を続けていても給料(時給)が上がりにくく、年齢とともに正社員との年収差が開いていくのも、フリーターを続けるデメリットといえるでしょう。
※参考資料/厚生労働省「雇用形態別の賃金調査(2022年)」
06.pdf
社会的な信用が得にくい

非正規雇用であるフリーターは、正規雇用の正社員に比べると解雇されやすいのが現実です。そのため、フリーターは雇用(収入)が不安定と捉えられ、社会的信用が低くなる傾向にあります。場合によっては、賃貸住宅の入居審査に通りにくかったり、各種ローンやクレジットカードの利用が制限されるなど、信用調査に影響が出る可能性もあります。 また、社会的信用の低さによって、結婚のハードルが高くなる恐れもあります。定職に就かないことを理由に、結婚相手から二の足を踏まれる、相手の家族から反対されるなど、厳しい状況になる可能性もあるでしょう。
大卒フリーターが正社員就職を目指す際のポイント
ここまで紹介したように、仕事への負担感が少なく、自由な働き方ができるフリーターですが、将来に対して不安を感じているのであれば、やはり正社員として就職するのがベターでしょう。ここでは、大卒フリーターが正社員就職を目指す際の注意点や、就職活動のポイントについて解説します。
まずは自己分析と企業研究を進める

就職活動を進める際に仕事探しの軸が決まっていないと、やみくもにエントリーしてミスマッチが生じやすくなるため、まずは自分の強みや希望を具体的に書き出してみましょう。学生時代に学んだことやフリーターとして得た経験、興味のある職種・業界や将来の目標などを洗い出し、その内容を掘り起こして分析することで、自分が目指す仕事の方向性が見えてくるはずです。
また、就職活動を進める上では企業研究も欠かせません。興味のある企業のサイトや業界誌などを利用して、各企業の事業内容や理念、業績などを詳しく調べ、気になる企業が見つかったら会社説明会などに参加してみましょう。こうして、自己分析と企業研究を進めながら仕事探しの軸を明確にすることで、より的確・効率的に就職活動を進めることができます。
卒業後3年以内なら新卒枠で応募できる場合も

先述したように、年齢を重ねてフリーター歴が長くなるほど、正社員への道は厳しくなるため、就職すると決めたらできるだけ早く行動することが重要です。 とくに、大学卒業から3年以内の既卒者(卒業後に正社員経験がない人)であれば、新卒採用枠でエントリーできる可能性もあります。厚生労働省では2015年から、若者の雇用促進を図る「青少年の雇用の促進等に関する法律(若者雇用促進法)を順次施行し、卒業後3年以内の既卒者が新卒枠で応募できるよう各企業に協力を仰いでいるからです。
一般的に、中途採用枠では実務経験やスキルが求められる傾向にありますが、新卒採用枠は入社後の成長意欲を重視するポテンシャル採用が基本となるため、大卒フリーターにも正社員就職のチャンスがあります。大学卒業後3年以内で正社員経験がない人は、ぜひ新卒枠でエントリーすることを検討してみましょう。
新卒応援ハローワークを利用する

求人を探す際にハローワークに行くのもおすすめですが、大学を卒業して3年以内であれば、ぜひ「新卒応援ハローワーク」を利用してみてはいかがでしょう。 新卒応援ハローワークとは、高校・専門学校・短大・大学・大学院などの学生や、学校を卒業しておおむね3年以内の人の就職を支援する「新卒専門のハローワーク」です。企業の求人紹介はもちろん、書類作成や面接対策などのサポートも専門の就職支援ナビゲーターが個別に対応。臨床心理士による精神面のサポートも受けられるので、一人で就職活動を進めるのが不安な大卒フリーターにもおすすめです。全国56ヵ所(各都道府県に1ヵ所以上)に設置されていますので、所在地や詳細は以下のサイトをチェックしてみてください。
就職・転職エージェントを利用する

就職・転職エージェントとは、求職活動全般をサポートしてくれる民間サービスで、無料で申し込めるサービスも多くあります。自分の希望・適性に合った仕事選びはもちろん、自己分析や面接対策、応募書類の添削・作成など、就職活動で必須となるさまざまなサポートを受けることができます。プロのアドバイザーに相談しながら活動を進められるので、ポイントをしっかり押さえて、正社員就職の成功率を高められるのがメリットです。
アルバイト先の正社員登用制度もチェック

そのほか、アルバイト先の企業に正社員登用制度があれば、一から就職活動を始めるより正社員になれる可能性が高くなりますので、ぜひ挑戦してみましょう。正社員に登用されるためには、「一定期間勤続している」「勤務態度が良好」「上司の推薦を受ける」「登用試験(筆記・面接)に合格する」といった条件を設けている企業が多いようです。登用の細かい基準・条件は企業によって異なりますので、正社員登用を目指したい人は事前にしっかり確認しておきましょう。
紹介予定派遣で働く方法も検討する

紹介予定派遣とは、一定の派遣契約期間が満了した後、直接雇用(正社員雇用)に切り替えることを前提とした働き方です。派遣期間中に、直接雇用契約を結ぶかどうかを本人と派遣先企業がそれぞれ検討し、双方の同意が得られれば、そのまま正社員として働くことができます(はじめは契約社員や準社員の場合もあり)。派遣社員として働きながら、本人と企業の双方がマッチングを見極めることができ、正社員切り替え後のミスマッチも生じにくいのがメリットです。
まとめ
今回は、大卒フリーターの実状やフリーターを続けるリスク、正社員就職に向けたポイントについて解説しました。 将来への明確な目標があれば、大卒でフリーターになる選択肢もプラスとなりますが、目的もなくズルズルとフリーターを続けるリスクは、年齢を重ねるごとに高くなっていきます。よって、大学卒業後なんとなくフリーター生活を送っているのであれば、今すぐ就職に向けてアクションを起こしましょう!
現在、ニートから脱出したいと考えている人も、まずはニートになった原因を客観視し、自分を責めずに肯定することから始めましょう。そして、できることから行動に移していくことで、次第に道は拓けてくるはずです。ぜひ本記事でご紹介したポイントを参考にしながら、脱ニートに向けてアクションを起こしてくださいね!
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