立ち仕事は最大のダイエット? 立ち仕事の消費カロリーについて調査!
2023/1/23 更新
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■目次
- ●カロリー消費の単位となるMETs(メッツ)とは?
- ●労力の強度よって異なる立ち仕事の消費カロリー
- ●職種別に見た立ち仕事の消費カロリー
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・アパレル販売員・飲食店スタッフなどの接客業
・コンビニの店員・客室乗務員などの接客業
・看護師・介護士 ・土木・建設工事などの作業員 - ●工場勤務の消費カロリーは? デスクワークとの比較も
- ●立ち仕事で効率よく消費カロリーを高める方法
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・正しい姿勢を保つ
・ひざを上げて歩く・早歩きする
・つま先立ちする・かかとを上げ下げする
・腹式呼吸をする
- ●立ち仕事は良いことばかりではない?
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・足への負担が大きい
・腰痛・肩こりになりやすい
・体力的にキツイ
・食べ過ぎてしまう
- ●立ち仕事で足腰への疲労を溜めないためには?
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・毎日、湯船に浸かる
・ストレッチやマッサージをする
・コンプレッションウェアを着用する
- ●まとめ
カロリー消費の単位となる
METs(メッツ)とは?
一般的に運動による消費カロリーは、運動強度を示す「METs(メッツ)」×体重(Kg)×運動時間(h)×1.05の計算式で求めることができます。このMETsとは、「Metabolic equivalents(代謝相当量)」の略で、横になる・座るなどの安静状態を1METsとして、その何倍の強さの運動をしているかを数値で表した運動強度の単位です。
国立健康・栄養研究所が2015年に改訂した「身体活動のメッツ表」によると、「立位で静かにする(立ったまま何もしない状態)」は1.3 METs。これは安静時と比べて1.3倍強い運動をしている、つまり、立っているだけで1.3倍のカロリーを消費していることになります。その数値をもとに、体重50Kgの人が立ったままの状態を1時間続けた時の消費カロリーを計算すると、1.3METs×50 Kg×1.0h×1.05=68.25キロカロリーとなります。
そのほかにも、メッツ表ではさまざまな運動や行動のMETsが設定されており、「歩く・軽い筋トレをする・掃除機をかける」などは3~3.5METs、「やや速歩・通勤で自転車に乗る・階段をゆっくり上る」などは、4~4.3METsとなっています。
※国立健康・栄養研究所「身体活動のメッツ表」 2011mets.pdf (nibiohn.go.jp)
労力の強度よって異なる
立ち仕事の消費カロリー
身体活動のメッツ表では、立ち仕事にも労力の度合いによってMETsが設定されています。たとえば、「楽な労力~ほどほどの労力の立ち仕事」は3.0METs程度。その数値をもとに、体重50Kgの人が3.0METsの立ち仕事を1時間行った時の消費カロリーを計算すると、3.0METs×50 Kg×1.0h×1.05=157.5キロカロリーとなります。
また、「ほどほどの労力~きつい労力の立ち仕事」は4.5 METs程度。同じく体重50Kgの人が4.5 METsの立ち仕事を1時間行った時の消費カロリーを計算すると、4.5METs×50 Kg×1.0h×1.05=236.25キロカロリーとなります。このように、同じ立ち仕事でも労力の強度(運動量)によって、消費カロリーも大きく異なってくることがわかります。
ただしMETsで算出される消費カロリーは、標準体型・体格であることを前提としているため、著しく標準体型から外れてしまう人は、実際の消費カロリーと算出した消費カロリーに、大きな誤差が生じる可能性があります。厳密に言うと、消費カロリーは年齢や性別、筋肉量によっても差が生じますので、METsで算出される消費カロリーは、あくまでも一般的な目安であることを理解しておいてください。
職種別に見た立ち仕事の消費カロリー
立ち仕事といっても、当然ながら職種によって労力の強度は異なります。では、代表的な立ち仕事の消費カロリーはどれぐらいになるのか、職種別に見ていきましょう。
アパレル販売員・飲食店スタッフなどの接客業
アパレル販売員の主な業務としては、売場での接客、試着のサポート、洋服をたたみ直す、レジ業務、店内清掃、バックヤードでの商品整理などが挙げられます。また、飲食店の接客業務も、オーダーをとる、料理を運ぶ、食器を片付ける、レジ業務、清掃など、店内を動き回ることが中心となります。これらの立ち仕事は3.5 METsに相当し、体重50Kgの人が8時間働いた時の平均消費カロリーを算出すると、3.5 METs×50 Kg×8.0h×1.05=1470キロカロリーとなります。
コンビニの店員・客室乗務員などの接客業
同じ接客業でもコンビニの店員や客室乗務員(フライトアテンダント)は、動き回る時間や移動範囲がやや少なくなるため、労力の強度としては3.0 METs相当となります。体重50Kgの人が8時間働いた時の平均消費カロリーを算出すると、3.0 METs×50 Kg×8.0h×1.05=1260キロカロリーとなります。
看護師・介護士
介護士や看護師の業務は、血圧・体温の測定、点滴、採血といった治療の補助、食事・入浴・排泄を中心とした生活活動のサポートなど多岐にわたり、労力の強度としては4.0 METsに相当します。体重50Kgの人が8時間働いた時の平均消費カロリーを算出すると、4.0 METs×50 Kg×8.0h×1.05=1680キロカロリーとなります。
土木・建設工事などの作業員
立ち仕事の中でも、かなりの重労働となるのが工事現場の作業員です。重量物を持ち上げたり運んだり、体力を消耗する作業も多いため、労力の強度としては4.5 METsに相当します。体重50Kgの人が8時間働いた時の平均消費カロリーを算出すると、4.5 METs×50 Kg×8.0h×1.05=1890キロカロリーとなります。
工場勤務の消費カロリーは? デスクワークとの比較も
工場での仕事は、製品の組立・加工や仕分けなどのライン作業のほか、工場内を動き回るピッキング作業や、重量物を扱う作業などもあります。基本的に1日中立ったままの作業となりますので、工場勤務の平均的な労力の強度としては、工事現場の作業員と同等の4.5 METsに相当します。体重50Kgの人が8時間働いた時の平均消費カロリーを算出すると、4.5 METs×50 Kg×8.0h×1.05=1890キロカロリーとなります。
ただし、比較的体力の消耗が少ないライン作業(検品・検査、小さい部品・食材を扱う軽作業など)の場合、METsの数値はこれより低くなるため(3.5~4.0 METs程度)、その分だけ消費カロリーも少なくなります。一方で、20~30キロ以上の重い部品やパーツを持ち上げたり、運んだりする作業が中心となる場合は、METsの数値もこれより高くなるため(5.0 METs以上)、その分だけ消費カロリーも多くなります。
ちなみに、座位によるデスクワークは1.5METsに相当し、体重50Kgの人が8時間働いた時の平均消費カロリーを算出すると、1.5 METs×50 Kg×8.0h×1.05=630キロカロリーとなります。
これと比較すると、接客業などの立ち仕事では約2倍、一般的な工場勤務においては、約3倍ものカロリーを日々消費していることになるのです。「立つ」「歩く」「手・腕を動かす」「かがむ」「持ち上げる」「運ぶ」など、身体を使った作業が格好のエクササイズになり、ダイエットにも大いに役立つことがわかりますよね!
立ち仕事で効率よく消費カロリーを高める方法
デスクワークより消費カロリーの高い立ち仕事ですが、工夫次第でさらに消費カロリーを高め、エクササイズやダイエットの効果アップを期待することができます。以下、ちょっと意識するだけで、仕事中にも簡単にできる4つの方法をご紹介します。
正しい姿勢を保つ
姿勢を正しくすることで血液やリンパの流れが良くなり、基礎代謝や消費カロリーがアップします。正しい姿勢のポイントは、「正面を向いてあごを少し引く」「肩甲骨を背骨に寄せて肩の力を抜く」「下腹に少し力を入れて引っ込める」こと。姿勢が悪いと消費カロリーが下がるだけでなく、腰痛や肩こりなどの原因にもなりますので、日ごろから正しい姿勢をキープするよう意識しましょう。
ひざを上げて歩く・早歩きする
正しい姿勢を保ったまま、ひざをしっかり上げて歩くと、太ももを引くインナーマッスルが鍛えられ、基礎代謝や消費カロリーを高めることができます。普段よりひざを数センチ高く上げるだけでOKです。さらに、いつもより歩くスピードを少し上げれば、消費カロリーもぐっとアップします。
つま先立ちする・かかとを上げ下げする
つま先立ちすることで、ふくらはぎ・太ももの内側・お尻の筋肉が鍛えられ、基礎代謝や消費カロリーを高めることができます。正しい姿勢を保ったまま、かかとを1~2cmほど上げて30秒キープし、3~4セット行うとより効果的です。また、かかとの上げ下げもカロリーの消費や血流の循環を促し、足の疲れやむくみの防止にもつながります。
腹式呼吸をする
腹式呼吸の方法は、まず鼻から息をできるだけ吸ってお腹を膨らませます。次に、口から息をゆっくりと吐き出し、お腹をぎゅっとへこませながら息を吐き切ります。これを何度か繰り返すことで、脂肪燃焼に欠かせない酸素が体内にたっぷり取り込まれ、基礎代謝や消費カロリーのアップにも役立ちます。
立ち仕事は良いことばかりではない?
働きながら効率よくカロリーを消費し、エクササイズやダイエットの効果も期待できる立ち仕事ですが、良いことばかりではありません。立ち仕事なりの大変な部分や、注意しておきたい点について解説します。
足への負担が大きい
長時間立ったまま働く立ち仕事は、どうしても足への負担が大きくなります。足の筋肉が硬くなって血行が滞り、足裏やふくらはぎの痛み・むくみなどを感じる人も多いようです。
腰痛・肩こりになりやすい
腰痛・肩こりは座り仕事の方がなりやすいイメージがありますが、立ち仕事でもそのリスクは十分にあります。とくに、重量物を扱う工場勤務や工事現場の作業員、高齢者をサポートする介護士などは、作業時に腰へ大きな負担が一気にかかるため、急性腰痛症(ぎっくり腰)にも注意が必要です。 また、軽作業でも長時間かがむ姿勢や同じ動作を続けていると、背中や首の筋肉に負担がかかり、慢性的な腰痛・肩こりを生じやすくなります。
体力的にキツイ
立ち仕事は座り仕事より体力を消耗するため、慣れるまでは疲労感が大きく、キツイと感じるかもしれません。力仕事や体力に自信がない人は、軽作業・短時間の立ち仕事や、座り作業の仕事を選んだ方がいいでしょう。
食べ過ぎてしまう
立ち仕事はデスクワークより体力を消耗するため、当然ながらお腹もへります。ただ、疲労感や空腹感がストレスになって、つい食べ過ぎてしまう人も少なくないようです。消費カロリー以上に食べてしまうと、当然ながらダイエットの効果も期待できませんので、食生活の管理にも注意が必要です。
立ち仕事で足腰への疲労を溜めないためには?
では、立ち仕事で生じやすい足腰の疲れを緩和・予防するためには、どうすればいいのでしょうか。工場で立ち仕事をしている人が実践している対処法や、日常的なケアなどを紹介します。
毎日、湯船に浸かる
夏場はシャワーだけで済ませる人も多いようですが、1日の疲れをとるためには、毎日湯船に浸かることが大切です。湯船に浸かると下半身に水圧がかかり、血流がスムーズになるため、足腰や全身の疲れを軽減することができるのです。身体をほどよく温め、リラックス効果を高めるためには、38~40℃のお湯に15~20分程度浸かると良いでしょう。
ストレッチやマッサージをする
入浴後は筋肉がほぐれているので、ストレッチやマッサージを行うとより効果的です。マッサージする場所は、ひざの裏やふくらはぎがおすすめです。ひざの裏にはリンパ節があるので、ここを揉みほぐすと溜まった水分や老廃物が押し流され、足のむくみや疲労を緩和してくれます。また、ふくらはぎの両脇や後ろの部分を、手でトントンと叩くように刺激すると、血流が良くなってさらに効果的です。そのほか、仕事の休憩時間に軽いストレッチやマッサージを行うのも、疲労軽減や心身のリフレッシュに役立ちます。
コンプレッションウェアを着用する
着圧ソックス・加圧ストッキングなどのコンプレッションウェアも、長時間立ち仕事をする人におすすめです。ふくらはぎや下半身を適度に加圧することで、血液を足から心臓に押し戻す作用が高まり、血流が良くなって老廃物が溜まりにくくなるため、足のむくみや疲労の軽減に効果的です。
まとめ
今回は、立ち仕事の消費カロリーとダイエットに関する情報をお届けしました。ご紹介したように、立ち仕事は座り仕事よりも消費カロリーが2~3倍高く、働きながらダイエットの効果も期待できるのが魅力です。
ただし、立ち仕事のダイエットも、継続させないと意味がありません。足腰に負担がかかる立ち仕事を無理なく続けていくためには、疲れをためない工夫や日ごろのケアも重要です。仕事の後は心身をしっかり休め、無理のない範囲で正しい姿勢や歩き方などを取り入れながら、ダイエットやシェイプアップに役立ててくださいね!