半導体工場で働くなら知っておきたいシリコンウエハーとは?
2023/2/22 更新
日本のものづくり産業は、われわれ一般人が知っているような企業だけでなく、名が知られていない製造業者によってもささえられています。とくに、製品ではなく製造部品に関して注目する方はあまりいらっしゃいません。
今回は、シリコンウエハーという日常生活に欠かせないが、あまり知られていない素材について解説します。
シリコンウエハーとは?
私たちの生活で気付かれずとも、ほとんどの電子製品に搭載されている半導体の製造に欠かせない材料がシリコンウエハーです。シリコンウエハーの表面は限界まで鏡面が研磨されており、現在存在する全ての物質の中でも高い平坦度を誇っています。僅かな凹凸や、細かな粒子などを排除した円状の板で、半導体の基板材料として使用されています。
シリコンウエハーには用途が色々ありますが、精度の高い半導体を製作するための材料として活用されています
私たちの生活に
今や欠かせないシリコンウエハー
私たちが常に使用している自動車・PC・スマホ・ソーラーパネルなどほとんどの電子部品には、半導体が使用されています。そして半導体使用シーンの増加に伴いシリコンウエハーの消費量も増大して、今や私たちの生活に欠かすことができない材料になっているのです。
今後はさらにスマートフォンやPCをはじめ、さまざまな産業機械や自動車もインターネットに繋がる時代を迎えていきます。より半導体の需要は高まると考えられています。
シリコンウエハーはなぜ丸いのか?
シリコンウエハーの結晶体が丸い形をしている理由として、インゴッドの形が単結晶だからだと考えられるのが一般的です。そして単結晶だと丸くなっていく理由として、その製造工程が挙げられます。製造工程で、溶けたシリコンを専用の四角い容器に流し込んで冷やすと、すぐに結晶化が進んでしまい、単結晶になりません。
自宅の冷蔵庫の製氷皿で凍らせた氷の内部に、たくさんスジが入っている例などを考えてもらえばわかりやすいです。このような観点からも単結晶を作るためには、溶けたシリコンに単結晶の破片を触れさせ、少しずつ結晶を成長させていくしかありません。そして結晶が成長したら引き上げていく作業を繰り返し、一定速度で引き揚げていくことで丸いシリコンウエハーが成形されます。
また、単結晶のインゴッドは製造工程で円柱型に成形され、その後の工程でスライスされることで丸い形に成形されるのも理由です。
進化し続けるシリコンウエハーは大口径化
一般的に半導体はICチップなどの材料として使用されています。半導体のシリコンウエハー上に基準となる回路が書き込まれ、その回路を分離して半導体を製造していくのです。要するに、製造過程で無数の半導体が1つのシリコンウエハーから製造されているということです。
製造コストをできるだけ削減するためには、1つのシリコンウエハーからできるだけ多くの半導体を製造することが必要です。また半導体の製造効率が上がれば、半導体の価格の低下にも繋がり、現状よりも多くの分野での半導体の使用が実現されていきます。
したがって少しでも多くの半導体を製造するためにシリコンウエハーの”大口径化”を計り、効果的な半導体の製造に繋げているのです。
なぜシリコンウエハーが重宝されるのか?
電化製品の貴重な部品である半導体は世界中のニーズの増加に伴って重要視され、半導体の貴重な材料であるシリコンウエハーも重宝されるようになりました。さらに、シリコンは高品質の結晶を作ることができ、製造技術も洗練されているため半導体には最適な材料なのです。
このような観点からもシリコンウエハーは重宝されている貴重な材料となっています。
シリコンウエハーの製造工程
シリコンウエハーは、最初に人工的に単結晶インゴッドが均一な直径になるように、外周を研削・加工していきます。そして顧客の希望する低効率に合わせた形状にするために、ワイヤソーなどを使用しながら厚さ1㎜程度にスライスしたウエハー上に形成していくのです。
次にウエハーを所定の厚みに仕上げるために、ウエハー両面が平行になるように整えながら、アルミナ研磨剤で研磨していきます。
その後、洗研磨でウエハー表面にできたダメージを除去するために、科学的なエッチングをしていきます。次に高い鏡面仕上げを行うために、クロコダイルシリカ液を用いてメカノミケミカル研磨を施し表面の凹凸を失くしていくのです。
最後に洗浄と厳正な検査を行い、完全な製品としてのシリコンウエハーが完成します。
日本の製造業を支えるシリコンウエハー
世界中の半導体製造のための貴重な材料であるシリコンウエハーですが、実は日本のメーカーが世界シェアの50%を超えています。そして今後もさらなるシリコンウエハーのニーズに伴い、そのシェアが拡大していくことが予想されています。
結果としてシリコンウエハー産業は、日本の産業・製造業全体を支える貴重な産業の1つとして位置づけられます。
さらに現在は、日本のシリコンウエハーメーカー数社が海外のさまざまな場所に拠点を設けて海外進出を展開しており、今後もシリコンウエハー製造における日本企業のシェアは拡大していく様相です。
シリコンウエハーはどのようなメーカーが作っているのか
日本のメーカーがシリコンウエハーの製造シェアの大半を占めているということは、優れた技術を持った企業が日本に存在するということです。しかし実際にどのようなメーカーがシリコンウエハーを手掛けているのでしょうか。 ここからはシリコンウエハーの製造に特化したメーカー数社について詳しく解説をしていきます。
信越化学
1926年に創業した日本を代表する化学メーカーの1つが”信越化学”です。積水化学・旭化成・積水ハウスなどの企業同様に日本窒素肥料の関連会社として設立されました。セルロースやシリコンなどの分野でも世界大手として認識されている大企業です。
またシリコンウエハーを筆頭に塩化ビニル樹脂、フェロモン製剤、先端品フォトマスブランクスなどの分野でも世界第1位の企業として認識されています。シリコンウエハーに関しては、SUMCOとの2強体制でシェアを拡大しているメーカーです。
SUMCO
1999年に新日鐵住金「現在は日本製鉄」と三菱マテリアルの合併会社として誕生した企業が”SUMCO”です。上記にも解説したようにシリコンウエハーの分野において信越化学との二大メーカーとなっています。
技術に関してもシリコンウエハーの製造プロセスである”単結晶引上” ・”ウエハ―加工”・ ”特殊加工”の各工程で顧客のニーズに対応できるように最先端の技術を駆使しています。
SUMCOは主に半導体用シリコンウエハーの開発・製造・販売を手掛け、海外にも多数の拠点を設けて、現在もシェアの拡大を続けている大手企業です。
ルネサスエレクトロニクス
2002年創業、半導体に関する研究や開発、設計・製造、販売やサービスを展開している企業が”ルネサスエレクトロ二クス”です。
ルネサスエレクトロニクスは商品の設計・開発・製造力に特化しており、それらの特質を生かして製造された製品は世界中で高い評価を受けています。 マイコンの製造では世界第1位のシェアを誇り、多種多様な電化製品に対応可能な高性能で省エネ化を実現した半導体の開発に従事している企業です。
上記の優れた技術を活かし、近年では自動車製造事業に注力しており、”自動車の自動運転化”の実現に向けた事業に積極的に取り組んでいます。
まとめ
シリコンウエハーは
日本の製造産業を支えている
前述で解説したように世界のシリコンウエハー産業のシェア50%以上を日本企業が占めています。そして今後もインターネット環境のさらなる普及によってシェアが拡大される可能性が高いです。
このような観点からも、シリコンウエハーは日本の製造産業を支えている重要な産業であり、今後もその需要も高まっていくことが予測されます。
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