半導体の製造・工場の仕事内容や工程までご解説!

2023/12/15 更新
「半導体って聞いたことあるけど、そもそもどういうものなのかわからない」と思っている方が多いのではないでしょうか?
本記事では半導体についての説明且つ、半導体工場での仕事内容についてご紹介します。
そもそも半導体とは?
半導体はさまざまな機械や製品に削除よく使われているため、生活の中でよく耳にする単語です。しかし、半導体がどんなモノなのかについて説明できる人は少ないでしょう。
半導体は一定の電気的性質を備えた物質で電気を通す「導体」と、電気を通さない「絶縁体」を意味します。つまり、電流を調節する部品のことを半導体といいます。半導体は製品を設計・製造する際に必須となる物質です。
半導体が良く使われる製品はスマホや液晶テレビです。スマホや液晶テレビの設計はとても複雑です。なぜなら、電流を調整することによってデータを表示させたり制御したりするためです。
半導体はスマホや液晶テレビのみならず、自動車、家電機器、ガスや水道などのインフラなどにもよく使われています。半導体を利用するとスマホや液晶テレビのような繊細な製品を製造する際に「ここでは電気を通して、あそこでは電気を通さない」などの設計ができ、データ表示を制限することができるのです。
半導体はあらゆる製品に入るため、世界各国で半導体を確保するために努力をしておりますが、最近、半導体工場に火災が発生したり、新型コロナウイルスの影響で工程が止まったりし、半導体供給が円滑に行われていないことが話題となっています。
半導体世界シェア3位の日本
半導体を作ることに強みを持っている国の一つが日本です。日本の半導体製造能力は世界3位でかなりのシェアを示しております。
過去、日本の半導体は世界から高い評価をもらっていましたが、1990年代からインテル、マイクロソフトなどの巨大IT企業が半導体製造を開始したことが起点となり、半導体市場における日本の立場が最近、弱くなった傾向があるといっても過言ではないでしょう。
半導体業界においてかなりのシェアを獲得している日本ですが、半導体を製造する工場事情はどうなのでしょうか。
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半導体の製造・工場の仕事内容と工程
それでは、半導体の製造は具体的にどのような仕事で成り立っているのかを見ていきましょう。
半導体製造では仕事の工程が細かく分類され400~600工程もあるといわれておりますが、大きく分けて、①マスク製造工程、②ウェーハ製造工程、③前工程、④後工程の4つの工程があります。
マスク製造工程
半導体の基本となる回路やパターンの設計を行い、フォトマスクを作成する工程です。
回路・バターンの設計
半導体体チップは、用途により必要な機能が異なるため、それぞれに様々な回路が配置されていますが、どのような回路を配置するのかをまずは設定していく工程になります。
フォトマスクの作成
PCにて透明なガラス版の上に設計したパターン描き、半導体ウェーハに転写するためのフォトマスクと呼ばれる原版(マスター)を作成する工程です。半導体ウェーハ表明にあるトランジスタや配線は細かすぎるため、ウェーハに直接配置する事ができませので、この工程が必要になってきます。
ウェーハ製造工程

半導体ウェーハは製造していく工程になります。
シリコンインゴット切断
シリコンインゴットとは、高重度の円柱状のシリコンの塊でシリコンウェーハの元になります。シリコンインゴットをワイヤーで薄くスライス切りにして、円盤状のウェーハにしていく作業です。
ウェーハの研磨
カットしたウェーハ表目にできた微妙な凹凸を研磨剤、研磨パッドによって磨いていく作業です。
前工程
シリコンウェーハ表面上にトランジスタなど細かい電子回路を集積していく工程です。
成膜作成
配線やトランジスタなどになる様々な材料の薄膜をウェーハ上に形成していきます。形成作業は様々ありますが、方法の一例として、放電によりイオン化した材料をウェーハ表面に衝突させていく作業があります。
パターン転写
フォトレジストと呼ばれる感光剤を塗布していきます。これにより、光に反応して回路パターンを焼き付けできるようになり、実際に光を反射させ回路パターンを焼き付けしていきます。その後、現像液によって不要なフォトレジスト部分を除去していきます。
エッチング
エッチングとは、ウェーハ上に回路を描く工程が完了した後に、不要なものを取り除く工程になります。現像されたフォトレジストをマスクし、酸化膜、薄膜を削り取っていきます。
洗浄・検査
ウェーハに残っている不純物を薬液に浸して取り除いたり、ウェーハ表面を研磨し、凹凸を平坦化したりして、最終的な検査に至ります。
後工程
前工程に続いて後工程と呼ばれるものがあり、ウェーハから半導体を切り出し、最終的な半導体の製品として加工していく工程です。
ダイシング
ウェーハをダイヤモンドブレードという特殊な切削工具で切り出し、チップを切り離す作業です。
パッケージング
金属の枠にチップを固定後、金線で接続し、チップとの配線を可能にします。その後、チップを衝撃から保護するために、樹脂でパッケージしていきます。
最終検査
電気的特性試験、外観構造検査、電圧試験など、製品に異常が無いか何度も試験を行いチェックしていきます。
仕事内容まとめ

半導体製造の工程をここまで説明してきましたが、難しい用語が出てきたり、専門的な知識やスキルを求められると感じられた方も多いかもしれません。ただ実際は、未経験者や知識・スキルに自信がない方でも対応できる仕事が殆どです。
半導体工場の製造業務のほとんどは機械化されており、マニュアルに従って業務を行うため、そこまで難しい作業ではないでしょう。また、力仕事も少ない為、男女関係なく誰でも仕事をすることができます。
機械に何かのトラブルが起こった場合は専門のエンジニアが駐在していることから相談・報告を通して対処できるため、安心して業務を行うことができるでしょう。
半導体工程の仕事環境
半導体の仕事は前工程も後工程はどちらも単純作業が多いのが特徴で、組立、検査、機械オペレーターが主な業務である、どれも緻密で集中力が必要な仕事になります。
半導体製造の仕事には1日のノルマがあり、作業にはスピードが求められるところもあります。正確な作業ができ、作業スピードに合わせられるかがポイントとなります。自身の性格に合っているかどうかを見極める必要があるでしょう。
半導体の仕事環境は、他の工場と比べても清潔を保たないといけないことから、快適であることが特徴です。なぜなら、繊細な部品や物を扱うため、適切な温度や清潔さを保つ必要があるためです。半導体そのものが小さなチップのようなものですので、軽作業が多いイメージを持っていただくと良いでしょう。
時給も地域によりますが1500円を超えるところも多くあり、勤怠の時間も基本的には定時退社になるようにスケジューリングされている傾向がありますので、快適な環境や個人時間を重視する人であれば良いでしょう。
クリーンルーム業務

クリーンルームとは清潔な部屋の意味であり、汚れやほこりなどが一切ない部屋を指しますが、半導体工場については、ほとんどの工程がクリーンルーム内でのお仕事になります。
クリーンルームで作業を行う人はクリーンスーツ(防塵服) の着用が求められます。なぜなら、半導体は精密機器であり、ちょっとしたほこりや汚れが原因で動作不良を起こしてしまうためです。
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作業について

半導体製造の仕事においては、1日の作業ノルマがあり事もあり、作業にはスピードが求められるところもあります。正確な作業ができ、作業スピードに合わせられるかがポイントとなります。自身の性格に合っているかどうかを見極める必要があるでしょう。
勤務シフト・休日について

半導体工場については、24時間休日無しでフル稼働している工場が多く、2交替勤務や3交替勤務といった交替勤務が基本で、休日も4勤2休、3勤3休みなど変則シフトを組んでいる事が多いため、平日休みになることが多くあります。
アクセサリー・化粧禁止

半導体工場では、クリーンルームでの作業が大半を占めます。クリーンルームで作業をする際には混入物が製品に入ることを防止するため、ピアス、ネックレスの着用はもちろん負荷で、化粧がNGの場合もあります。
まとめ
半導体についての仕事内容や工程などを紹介しました。まず、半導体は私たちの生活になくてはならないモノであることがお分かりいただけたかと思います。
そして、半導体は精密機器ですので製造するのは難しいのでは?と思っていたかもしれませんが、近年は徹底した機械化が進んでおり、マニュアル化されているので実際、仕事をする際にもそこまで難しくないことがわかるでしょう。
また最近では、時給も上昇し、地域によりますが1500円を超えるところも数多くあり、安定して高収入を得られる職種の一つと言えます。
2022年の世界的な半導体不足で需要は更に加速化し、工場での人材ニーズも更に高まっていくと予測されます。ご興味がある方は、ぜひ半導体製造の仕事をチェックしてください。