期間工から正社員になるための条件・ポイントとは?
2023/12/13 更新
期間工(期間従業員)とは、 主に自動車メーカーや製造業の工場において「働く期間が決められている従業員」のこと。 そのほとんどが数ヶ月~2年11ヵ月(※)の契約期間が定められ、基本的に期間が満了すると契約終了(退職)となります。
一方で、大手メーカーを中心とした多くの会社で、期間工の契約終了後に、そのまま正社員として登用する制度があるのをご存じですか? 今回の記事では、実際にどうすれば期間工から正社員になれるのか、正社員登用を積極的に進める主要メーカーの登用実績を交えて詳しく解説します。
※「同じ企業で3年以上勤務する従業員は、正社員として雇用しなければならない」と労働基準法で定められているため、基本的に期間工の契約期間は最長2年11ヵ月となっています。
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■目次
- ●そもそも期間工から正社員になれるのか?
- ●期間工から正社員になるための条件と流れ
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・期間工として半年~1年以上勤務している
・年齢は20代~30代が中心
・上司から社員登用の推薦を受ける
・正社員登用試験に合格する
- ●期間工から正社員になると待遇面はどう変わる?
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・定年まで雇用が保証される
・昇給・昇格が目指せる
・給与・年収が下がる場合もある
- 主要メーカーの正社員登用実績をチェック
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・トヨタ(自動車)
・日産(自動車)
・マツダ(自動車)
・スバル(自動車)
・アイシンAW(自動車部品)
・デンソー(自動車部品)
・日立建機(建設機械)
・福井村田製作所(電子部品)
- ●期間工から正社員を目指す上で意識したいこと
- ●まとめ
そもそも期間工から正社員になれるのか?
「期間工から、本当に正社員が目指せるの?」と思うかもしれませんが、正社員登録制度のある会社では、期間工としての働きが評価されると、正社員になれる可能性が十分にあります。正社員登録制度を設けている主要メーカーの登用実績(下記で紹介)を見ると、毎年、相当数の期間工が正社員に登用されており、なかには登用率が80%を超えるメーカーもあります。
また、大手メーカーの通常の正社員採用の場合、多くは高卒・大卒などの学歴が応募条件となっていますが、期間工から正社員になるために学歴は関係なく、実際に中卒でも正社員に登用されるケースが多々あります。 もちろん、すべての期間工が正社員になれるわけではありませんし、登用には年齢などの条件がありますが、はじめから正社員を目指して就職活動をするよりも、期間工として働きながら正社員を目指した方が近道になる場合もあるのです。
期間工から正社員になるための
条件と流れ
先述したように、期間工から正社員になるためには、いくつかの条件をクリアする必要があります。細かい条件は会社によって多少異なりますが、一般的には以下のような条件が基本となります。
期間工として半年~1年以上勤務している
勤務期間については、少なくとも半年以上は働く必要があります。そもそも2~3ヵ月で仕事を辞めてしまうようでは、正社員になっても仕事は務まりません。
年齢は20代~30代が中心
年齢については、多くの会社で20~30代までとしています。とはいえ、会社としては「手放すのが惜しい人材」を社員として雇いたいわけですから、本人の意欲と実力次第では40代でも十分にチャンスがありますし、なかには年齢制限のない会社もあります。
上司から社員登用の推薦を受ける
正社員登用は本人から申し込むのではなく、係長クラスの現場の上司から正社員登用に推薦するケースが一般的です。当然ながら、日ごろの勤務評価が高くなければ、上司の推薦を受けることはできません。
正社員登用試験に合格する
その後、正社員登用試験を受け、合格すれば晴れて正社員になれます。登用試験は筆記と面接があり、筆記は中学レベルの国語・数学の問題が中心なので、難易度はさほど高くありません。面接は集団面接の形式が多く、質問に対して適切に答えることはもちろん、話し方や態度なども重要なポイントとなります。
以上のように、期間工から正社員になるまでには、勤務期間と年齢の条件を満たし、上司から推薦を受けた後に、登用試験を受験・合格という流れが基本となります。
期間工から正社員になると待遇面はどう変わる?
非正規の期間工から正社員になると、待遇や給与がアップするというイメージがありますが、実際に給与を含めた待遇面はどう変わるのか、一般的なケースを見ていきましょう。
定年まで雇用が保証される
期間工は勤務先を替えたり、再雇用を繰り返せば長く働くことも可能ですが、年齢が高くなるにつれて雇用されにくくなるのが現実です。一方、正社員になると基本的に定年まで雇用が保証され、退職金も支給されますので、将来への不安も少なくなります。
昇給・昇格が目指せる
正社員は長く働いて実績を積めば昇給・昇格が期待でき、キャリアアップに伴って役職手当なども支給されます。期間工にも昇給はありますが上限が決められており、基本的に役職がつくこともありません。
給与・年収が下がる場合もある
期間工の労働条件は「期間限定・高報酬」という設定なので、未経験でも短期間で相当の収入を得ることが可能です。そのため、正社員になると期間工で働いていた時より、給与や年収が下がってしまうケースが多々あります。 とはいえ、正社員は勤務年数に応じて昇給があり、それに伴って年2回のボーナス額もアップ。目先の数字にとらわれず、コツコツと実績を積んでキャリアアップすれば、将来的には期間工を超える収入が期待できるでしょう。
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主要メーカーの正社員登用実績をチェック
期間工から正社員を目指すなら、まず正社員登用制度があることを確認した上で、登用実績(登用人数・登用率)が多い会社を選ぶことがポイントとなります。 以下、正社員登用制度を積極的に取り入れている主要メーカーの登用実績や条件などをまとめて紹介しますので、ぜひ参考にしてみてください。
トヨタ(自動車)
●正社員登用実績/5年間(2016~2020年)で1425人
●登用条件/29歳まで、期間工として1年以上勤務、上司の推薦
●登用試験/筆記・面接
※1回目の登用試験(筆記・面接)合格後は、まず準社員扱いとなり、3ヵ月後に2回目の面接を受けて正社員に登用
トヨタ期間従業員(期間工)の年収はいくら?気になる手当も紹介
日産(自動車)
●正社員登用実績/4年間(2017~2020年)で781人
●登用条件/期間工として6ヵ月以上勤務、上司の推薦、年齢は要確認
●登用試験/筆記・面接
マツダ(自動車)
スバル(自動車)
アイシンAW(自動車部品)
デンソー(自動車部品)
日立建機(建設機械)
福井村田製作所(電子部品)
期間工から正社員を目指す上で
意識したいこと
主要メーカーの登用実績を見てもわかるように、期間工から正社員への道は広く開かれています。そのチャンスを逃さないためには、期間工として日々勤務する中で、以下のような点を意識することが何よりも重要です。
●無断欠勤や遅刻をしない。自己都合で早退をできるだけしない
●積極性をもって前向きな姿勢で仕事に取り組む
●職場の人間関係を乱すような行動や態度、言動は控える
●思いやりのある誠実なコミュニケーションを心がける
これらのポイントは決して特別なことではなく、社会人として当たり前のことばかりです。ただ、その当たり前な基本をおろそかにして、せっかくのチャンスを逃している人も少なくありません。
実際に現場の上司は、期間工のこうした点を日々チェックしており、正社員に推薦できる人材かどうかを見極めているのです。仕事の技能やスキル以上に、社会人としての基本姿勢や人間性が評価の善し悪しにつながるということを意識して、コツコツと日々の業務に取り組むことが肝要といえるでしょう。
まとめ
以上、期間工から正社員になるための条件・ポイントについて、主要メーカーの登用実績とともに見てきました。期間工は「仕事の安定性」よりも「短期間で稼げる」という点が注目されがちですが、大企業への就職やキャリアアップの足がかりとして、将来を見据えた働き方もできるのです。
もちろん、期間工として働く理由は人それぞれ。「貯めたお金で進学・留学したい」「独立・起業や自店オープンの資金に充てたい」など、将来に向けた明確な目的があれば話は別ですが、「いつかは安定した仕事に就きたい」「将来を考えると不安がある」と思っているなら、正社員登用制度を見逃す手はありません。まずは、期間工としてしっかり働いて稼ぎながら、正社員への道を視野に入れ、将来のキャリアプランを描いてみてはいかがでしょうか。