フリーターも確定申告が必要?申告の方法や申告しないとどうなるのかを解説

2024/10/28 更新
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■目次
- 1.そもそも確定申告とは?
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・源泉徴収されていても確定申告が必要?
・年末調整とは?
- 2.確定申告が必要なフリーター
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・2ヵ所以上で勤務している場合は「必要」
・勤務先で年末調整していない場合は「必要」
・年の途中で退職した場合は「必要」
- 3.確定申告が不要なフリーター
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・勤務先が1ヵ所で年末調整している場合は「不要」
・主たる勤務先以外の給与が年間20万円以下の場合は「不要」
・1年間の収入が103万円以下の場合は「不要」
- 4.フリーターが確定申告をしないとどうなる?
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・払い過ぎた税金の還付が受けられなくなる
・本来の税金に加えて無申加算税や延滞税が徴収される
・「逋脱(ほだつ)犯」として罰則が科される
・期限を過ぎてからでも自主的に「期限後申告」を
- 5.フリーターの確定申告の手順と必要な書類
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・フリーターの確定申告に必要な書類
・確定申告の期間・提出方法
- 6.フリーターの確定申告に関するQ&A
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・Q:親や配偶者の扶養に入っているフリーターも確定申告は必要?
・Q:確定申告していないことはバレる?
・Q:フリーターも確定申告で経費を申告できる?
・Q:確定申告の「青色」「白色」とは? フリーターは何色で申告する?
- 7.まとめ フリーターも納税の義務があるのできちんと申告しよう!
そもそも確定申告とは?
確定申告とは、1年間(1月1日~12月31日)に得た収入から、各種の控除や経費を差し引いた所得を算出し、その金額に応じた所得税額を申告する手続きのことです。
所得額に応じた税金の納付義務は、正社員やアルバイトなどの雇用形態に関係なく発生します。そのため、アルバイトやパートで生計を立てているフリーターであっても、確定申告で所得の申告が必要となるケースがあるのです。
源泉徴収されていても確定申告が必要?

毎月の給与から所得税が源泉徴収(天引き)されている場合、「すでに税金が徴収されているから確定申告は不要なのでは?」と思うかもしれません。しかし、源泉徴収で引かれる所得税は、月収から年収を推定して概算した金額(仮定額)となるため、本来納めるべき税額とズレが生じている可能性があります。このズレを是正するために、確定申告または年末調整で正しい所得を申告し、過不足分があれば還付または追加徴収されます。
年末調整とは?

年末調整とは、1年間に源泉徴収されていた所得税と、本来納めるべき所得税の差額を是正する手続きのことで、その年の正式な所得額が決定した年末の時点で行います。年末調整の手続きは会社が行ってくれるため、従業員は自分で手続きをする必要はありません。したがって、勤務先で年末調整を受けていれば、原則として確定申告も不要となります。
ただし、一部の条件に当てはまるフリーターは、年末調整を受けていても確定申告が必要になるケースがあるため、自分が該当するかどうか確認しておくことが重要です。では次章から、確定申告が必要なフリーター・確定申告が不要なフリーター、それぞれのケースについて詳しく見ていきましょう。
確定申告が必要なフリーター
以下の条件に当てはまるフリーターは、確定申告が必要となります。
2ヵ所以上で勤務している場合は「必要」

アルバイトやパートを2ヵ所以上掛け持ちしているフリーターは、確定申告の対象となります。フリーターに限らず、年末調整は主たる勤務先の1社(収入が多いメインの勤務先)のみでしか受けられません。そのため、「年末調整されていない他の勤務先の給与収入」と「他の個人事業などで得た所得金額(給与所得・退職所得を除く)」の合計が20万円以上の場合は、確定申告が必要となるので注意しましょう。
勤務先で年末調整していない場合は「必要」

勤務先で年末調整を受けていない場合も確定申告が必要です。勤務期間が短い日雇いや短期・単発のアルバイトなどでは、基本的に年末調整を受けないため、このケースに該当します。また、会社によっては勤務期間に関わらず、アルバイト・パートの年末調整を行っていない場合もありますので、事前に確認しておきましょう。
年の途中で退職した場合は「必要」

年末調整は毎年12月に行われますが、これより前に退職した場合は勤務先で年末調整してもらえないため、自分で確定申告する必要があります。なお、掛け持ちの1社のみを辞めた場合は、在職中の会社でまとめて年末調整してもらえるか確認してみましょう。
確定申告が不要なフリーター

一方で、以下の条件に当てはまるフリーターは、原則として確定申告は不要となります。ただし、確定申告が不要なフリーターでも、申告した方が税金の負担が軽くなる場合がありますので、個々の状況に応じて確定申告することをおすすめします。
勤務先が1ヵ所で年末調整している場合は「不要」
アルバイトやパートを掛け持ちしておらず、年末調整を受けているフリーターの場合、確定申告する必要はありません。年末調整が近くなると(毎年11~12月ごろ)、会社から年末調整の申告書類が渡されますので、必要事項を記入して期限までに会社に提出すればOKです。
主たる勤務先以外の収入が年間20万円以下の場合は「不要」
アルバイトやパートを掛け持ちしていても、確定申告が必要かどうかは収入額によって異なります。すべての勤務先の給与から源泉徴収されていて、主たる勤務先以外の収入が20万円以下の場合、確定申告する必要はありません。
1年間の収入が103万円以下の場合は「不要」
年間の給与収入が103万円に満たない場合、所得税の課税対象とならないため、確定申告は不要です。ただし、年間の給与収入が103万円以下でも、「源泉徴収で所得税が引かれている+年末調整を受けていない」場合は、自主的に確定申告することで、本来納める必要のない所得税が還付されます。
フリーターが確定申告をしないとどうなる?
ここからは、確定申告が必要なフリーターが、申告しなかった場合に生じるデメリットやペナルティについて解説します。
払い過ぎた税金の還付が受けられなくなる

先述したように、年末調整を受けていないフリーターが確定申告しなかった場合、払い過ぎた所得税の還付が受けられなくなります。課税所得から差し引かれる各種控除も受けられなくなるため、その分だけ税金の負担も増えることになります。
本来の税金に加えて無申加算税や延滞税が徴収される

確定申告が必要なフリーターが申告しないでいると、期限内に申告しなかったことによる「無申告加算税」と、期限内に税金を納付しなかったことによる「延滞税」が発生します。これらのペナルティが課されることで、本来支払う税金よりも高い金額が徴収されるため注意が必要です。
「逋脱(ほだつ)犯」として罰則が科される

逋脱(ほだつ)とは、税金逃れをして納税しないこと(=脱税)を意味します。確定申告の必要があると認識しつつ、故意に確定申告を行わなかった場合、逋脱犯として「5年以下の懲役または最大500万円以下の罰金、もしくは両方」が科されます。故意とは認められなかった場合でも「1年以下の懲役または50万円以下の罰金」が科される可能性があるため、確定申告をうっかり忘れないよう十分注意しましょう。
期限を過ぎてからでも自主的に「期限後申告」を
確定申告をうっかり忘れていた場合、できるだけ早いタイミングで自主的に「期限後申告」を行いましょう。期限後申告は、原則として5年前までさかのぼることができます。税務署から無申告を指摘される前に、自分から期限後申告すれば、無申告加算税の税率が低くなり、逋脱の罰則を科されることもありません。
フリーターの確定申告の手順と必要な書類
続いて、フリーターの確定申告に必要な書類と、確定申告の方法について解説します。
フリーターの確定申告に必要な書類

確定申告書を作成する前の準備として、まず申告に必要な書類をそろえておきましょう。フリーターが確定申告する際に必要な書類には、以下のようなものがあります。
《確定申告書》
確定申告書は最寄りの税務署、または国税庁ホームページからのダウンロードで入手できます。申告書は手書きで作成することも可能ですが、同ホームページの「確定申告書等作成コーナー」を利用すれば、オンラインでの書類作成や提出ができます(事前の利用登録が必要)。
※参考/国税庁ホームページ「申告書用紙」
《源泉徴収票》
1年間の給与総額や、源泉徴収された所得税が記載された書類です。毎月の給与から源泉徴収されている場合、12月~1月ごろに会社で発行してもらえます。源泉徴収票は即日発行できないため、確定申告する際には早めに依頼しましょう。
《所得控除用の書類》
病院で一定額以上の医療費を支払ったり、保険などに加入していたりする場合、所得控除用の書類(証明書)を添付することで所得から控除され、節税につなげることができます。該当する人は、以下のような書類をそろえておきましょう。
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●社会保険料(国民年金保険料)控除証明書
●国民健康保険料の支払い総額が記載された書類
●地震保険料の控除証明書
●医療費の領収書や明細書
●生命保険料控除証明書
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《本人確認ができる書類》
確定申告する際には、本人確認ができるマイナンバーカードの写しを添付する必要があります。マイナンバーカードを持っていない場合は、マイナンバーが確認できる通知カードと、身元確認ができる書類1種類(運転免許証、パスポート、公的医療保険の被保険者証など)の写しを添付します。
確定申告の期間・提出方法

確定申告の期間は、毎年2月15日~3月15日です。この期間中に、必要書類を含めた確定申告書類一式を提出します。確定申告の提出方法には「税務署に持参」「税務署に郵送」「インターネット(e-Tax)」の3種類がありますので(以下参照)、自分の都合に合った方法で提出してください。
《税務署に持参して提出する》
住んでいる地域を管轄する税務署に直接出向いて、確定申告書類一式を提出する方法です。税務署窓口の開庁時間は、基本的に平日の8時30分~17時となっていますが、税務署の専用ボックス(時間外収受箱)に投函すれば、開庁時間外や土日祝日でも提出することが可能です。収受印のある確定申告書の控えが欲しい場合は、複写した申告書控え1部と返信用封筒(切手の貼付と宛先記入済のもの)も同封して投函します。
《税務署に郵送する》
確定申告書類一式をまとめて封筒に入れ、住んでいる地域を管轄する税務署に郵送する方法です。収受印のある確定申告書の控えが欲しい場合は、複写した申告書控え1部と返信用封筒(切手の貼付と宛先記入済のもの)も同封します。
なお、確定申告書は「信書」に当たるため、郵送する際には「郵便物(第一種郵便物)」または「信書便物」として送付する必要があります。ゆうパックや宅配便では送れませんので注意してください。
《インターネット(e-Tax)で申告する》
e-Tax(イータックス)は、国税庁ホームページで作成した確定申告書類を、オンラインで提出できる国税電子申告・納税システムです。24時間いつでも好きなタイミングで提出できるので、税務署へ持参・郵送する手間が省けます。
なお、e-Taxで確定申告する場合は、事前に利用登録(利用者識別番号と電子証明書の取得)が必要となりますので、前もって登録しておくことをおすすめします。
※参考/国税庁ホームページ、e-Taxサイト
国税庁ホームページでの所得税等の申告書等作成・e-Taxがますます便利に!
ご利用の流れ | 【e-Tax】国税電子申告・納税システム(イータックス)
フリーターの確定申告に関するQ&A
では最後に、フリーターの確定申告について、よくある疑問・質問をQ&A形式で紹介します。
Q:親や配偶者の扶養に入っているフリーターも確定申告は必要?

A:確定申告が必要かどうかは収入によって異なりますが、親や配偶者の扶養に入っているフリーターも、勤務先で年末調整を受けていなかったり、複数のアルバイトを掛け持ちしたりしている場合は、原則として確定申告の対象となります。
Q:確定申告していないことはバレる?

A:確定申告が必要なのに申告していない事実は、勤務先の会社が自治体に提出する給与支払い報告書や、業務委託などの報酬を支払う会社が、税務署に提出する支払調書で明らかになる可能性があります。
また、税務調査や高額な買い物(住宅・不動産・自動車など)から、無申告や脱税が発覚するケースもあるようです。確定申告をうっかり忘れていた、義務があると知らずに確定申告をしていなかった……という人は、できるだけ早く申告の手続きをしましょう。
Q:フリーターも確定申告で経費を申告できる?

A:確定申告の経費とは、事業を営む上で必要最低限かかるコストのことです。そのため、給与収入のみのフリーターは、確定申告で経費を申告することはできません。一方で、個人事業(フリーランスや自営業など)で、クライアントから受け取る「報酬」は経費として申告できます。たとえば、フリーターでもアルバイト以外に個人事業を営んでいる場合は、個人事業の所得のみに対する経費申告が可能です。
Q:確定申告の「青色」「白色」とは? フリーターは何色で申告する?

A:確定申告の方法には「青色」と「白色」の2種類があります。青色申告は事業所得や不動産所得がある人向けの申告方法で、事前の申請が必要です。原則として複式簿記での申告が義務となっており、特典として所得税の控除が受けられます。
一方で、白色申告は簡易な記帳方式で申告でき、事前の申請も必要ありませんが、所得税控除などの特典はありません。給与所得しかないフリーターや、青色申告の申請をしていないフリーターは、白色申告になります。
まとめ フリーターも納税の義務があるのできちんと申告しよう!

今回ご紹介したように、アルバイトやパートで働くフリーターでも、確定申告しなければいけない場合があります。とくに、複数のアルバイトを掛け持ちしている人や、勤務先で年末調整を受けていない人は、自分が確定申告する必要があるのかどうか、この機会にしっかりと確認しておいてください。
納税は国民の義務であり、もちろんフリーターも例外ではありません。無申告でいることのリスクを減らすためにも、確定申告の必要がある人は、期限までにきちんと申告・納税するようにしましょう。
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