フリーターとは?その定義やメリット・デメリットをデータをもとに深掘り解説!
2023/12/15 更新
そもそも「フリーター」とは?
フリーターには定義がある
「フリーター」という言葉は「フリーアルバイター」の略称で、一般的にパートやアルバイトで生活する若者全般を指しますが、厚生労働省ではフリーターを以下のように定義づけています。
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【フリーターの定義】
15~34歳で、男性は卒業者、女性は卒業者で未婚の者のうち、次のいずれかに該当する人
●雇用者のうち、勤め先における呼称が「パート」又は「アルバイト」である者
●完全失業者のうち、探している仕事の形態が「パート・アルバイト」の者 ●家事も通学もしていない者のうち、 就業内定しておらず、希望する仕事の形態が「パート・アルバイト」の者
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また、内閣省の定義では、35歳以上でパートやアルバイトをしている人は「非正規労働者」「アルバイト」という呼称になり、フリーターとは区別して扱われています。ただ、一般的には35歳以上の人にもフリーターという呼称は使われており、その区別は便宜上のものとなっているようです。
フリーターの数は減っている?
総務省統計局の労働力調査によると、パート・アルバイト及びその希望者のうち、フリーターに該当する若年層(15~34歳)の数は、2022年平均で132万人となっており、前年(2021年)比で約6万人減少しています。また、ここ10年のフリーターの数の推移を見ると、2013年の182万人をピークに年々減少傾向にあることがわかります(下記グラフ参照)。
これは、若年層の労働人口の減少によって企業の人手不足が顕著化し、正社員など正規雇用の間口が広がったことが一因と考えられています。
ちなみに、2022年の国内総人口(約1億3000万人)に対するフリーターの割合は、約1%と「日本人の約100人に1人がフリーター」ということになります。また、同年の15~34歳の国内人口(約2500万人)に対するフリーターの割合は、約5.2%と「15~34歳の約19人に1人がフリーター」と考えられます。
これを見て「フリーターって意外と多い?」「思ったより少ない?」……皆さんはどう感じたでしょうか。
フリーターには4つのタイプがある
一口にフリーターといっても、個々のフリーターを取り巻く事情や背景は多種多様です。独立行政法人労働政策研究・研修機構が発表した「大都市の若者の就業行動と意識の変容」によると、フリーターは「夢追求型」「モラトリアム型」「やむを得ず型」「ステップアップ型」の4タイプに分類されています。
すべてのフリーターが必ずこれらのタイプに分類できるわけではありませんが、多くの人はいずれかのタイプに該当するのではないでしょうか。
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【フリーターのタイプ】
●夢追求型……仕事以外にやりたいことや目指していることがあり、当面の生活の糧を得るためにフリーターになったタイプ
●モラトリアム型……やりたい仕事を探したい、自由な働き方がしたいなどの理由からフリーターになったタイプ。または、将来に対する展望がないまま、なんとなくフリーターを続けているタイプ
●やむを得ずタイプ……就職活動に失敗した、または勤務先の倒産や家庭の事情、病気などで、やむなくフリーターになったタイプ。
●ステップアップ型……就きたい仕事のための勉強や準備、修業期間としてフリーターになったタイプ
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フリーターとして働くメリット
フリーターになった理由や目的は人それぞれにあると思いますが、まずはフリーターとして働くメリットを見ていきましょう。
働き方の自由度が高い
フリーターとして働く大きなメリットは、ワークライフバランスをとった柔軟な働き方ができることです。正社員の場合は、1日8時間・週40時間というフルタイム勤務が基本となりますが、アルバイトやパートはシフト制の職場が多く、勤務日数や時間、休日などもある程度自分で調整することができます。また、副業の制限もないため、空いている時間を有効活用して、複数のアルバイトを掛け持ちして収入を増やすことも可能です。
仕事に対する責任が重くない
職種にもよりますが、フリーターはスキルや経験がなくてもできる仕事が多く、任される業務も限られています。そのため、仕事に対するプレッシャーや負担感が少なく、正社員のように責任の重い仕事に就くことが少ない点もメリットといえるでしょう。
とはいえ、企業経営に関わるような重大なミスや規定違反、自分勝手な振る舞いや無責任な行動をすれば解雇される可能性もありますので、勤務形態に関わらず誠意を持って仕事に取り組むことが大切です。
フリーターとして働くデメリット
次に、フリーターとして働くデメリットについて、正社員と比較しながら見ていきましょう。フリーターを続けるのであれば、そのデメリットもしっかり認識しておくことが肝要です。
正社員と比べて年収が低い傾向にある
厚生労働省の雇用形態別の賃金調査(2022年)によると、正社員の平均賃金が32万8000円であるのに対し、フリーターを含む正社員以外の平均賃金は22万1300円と10万円以上の差があることがわかります。
また、毎月の賃金以外にも、正社員はボーナスや各種手当などが支給され、定期的な昇給もあります。一方で、フリーターは基本的に「働いた時間分の給料のみ」が収入となります。また、同じ仕事を続けていても給料(時給)が上がりにくく、年齢とともに正社員との年収差が開いていくのもデメリットといえるでしょう。
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スキルアップ・キャリア形成が難しい
アルバイトやパートで働く場合、正社員と比べると任される業務が限られており、比較的難易度の低いルーティンワークやマニュアル業務を担当するケースが多くなります。そのため、自身の成長につながる業務経験や専門的なスキルを蓄積するのが難しく、将来的なキャリアの選択肢も限定されてしまう可能性があります。
社会的な信用度が低くなる可能性も
非正規雇用であるフリーターは、正規雇用の正社員に比べると解雇されやすいのが現実です。そのため、フリーターは雇用(収入)が不安定と捉えられ、社会的信用が低くなる傾向にあります。場合によっては、賃貸住宅の入居審査に通りにくかったり、各種ローンやクレジットカードの利用が制限されるなど、信用調査に影響が出る可能性もあります。
将来の年金受給額が低くなる
日本の年金制度は「国民年金」+「厚生年金」の2階建て構造です。国民年金は国民全員に加入が義務づけられていますが、厚生年金は会社員が加入するシステムとなっています。そのため、国民年金と厚生年金の双方から年金を受け取る正社員に対して、国民年金のみに加入するフリーターは、将来の年金受給額が低くなってしまうのです。
厚生労働省が発表した「令和3年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」によると、国民年金を受給している人の平均年金月額は約5万6000円、厚生年金を受給している人の平均年金月額は約14万5000円となっています。保険料の納付状況や収入によって年金の受給額は異なりますが、国民年金・厚生年金の平均額には8万円以上の差が生じていることがわかります。
フリーターから正社員を目指すなら……
ここまで見てきたように、仕事への負担感が少なく、自由な働き方ができるフリーターですが、収入面や将来に不安を感じているのであれば、やはり正社員として就職するのが得策といえるかもしれません。ここでは、フリーターが正社員を目指す上での注意点や、押さえておきたいポイントについて解説します。
できるだけ若いうちに就職活動を始める
就職サイトなどに掲載されているほとんどの求人情報には、「原則として、求人で年齢を制限することは禁止」とする雇用対策法に従い、年齢制限の条件が記載されていません。とはいえ、実際には採用する企業側にも希望する人材の年齢層があり、若い人材が優先的に採用されているのも事実です。
厚生労働省の「平成30年若年者雇用実態調査」によると、過去3年間に「(フリーターを含めて)正社員を採用する予定があった」と回答した事業所は全体の49.9%で、実際にフリーターを採用した事業所は18.5%。そのうち、15~34歳のみを採用した事業所は10.0%で、35歳以上の採用になると2.1%と大きく減少しています。
ここ近年は企業の人手不足が顕著となり、正社員就職のハードルは下がりつつありますが、フリーターから正社員を目指すのであれば、できるだけ若いうちに就職活動を始めることが、採用の可能性を上げるポイントとなってくるでしょう。
フリーターを長く続けるほど就職が難しくなる
フリーターの期間が長くなるほど、正社員として就職するのが難しくなる点にも注意が必要です。フリーターに関する厚生労働省の広報資料を見ると、フリーター期間ごとに正社員として就職できた人の割合は以下のようになっています。
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【フリーターの期間別・正社員就職できた人の割合】
●フリーター期間6ヵ月以内……64.0%
●フリーター期間6ヵ月~1年以内……58.3%
●フリーター期間1年~2年以内……52.2%
●フリーター期間2年~3年以内……58.9%
●フリーター期間3年以上……48.9%
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このように、フリーター期間が6ヵ月以内であれば6割以上の人が正社員として就職できたのに対し、期間が3年以上になるとその割合が半数以下になることがわかります。よって、将来への目標や具体的な目的・理由もなく、なんとなくフリーターを続けている人は、早急にフリーターを卒業する意思を固めて、就職活動に取り組むことが肝といえるでしょう。
とくに中途採用市場では、年齢が上がるほど経験値の高い即戦力を求める傾向が強まります。同じ年齢の正社員と比べて、経験できる業務内容が限られているフリーターにとって、年齢とともにその期間が長くなれば、採用で不利になる可能性がある点は十分理解しておきましょう。
派遣から正社員雇用を目指す方法もある
フリーターからいきなり正社員として働くことに自信がなければ、正規雇用を前提とした紹介予定派遣で実務経験を積んでから、正社員雇用にチャレンジする方法もあります。紹介予定派遣は、一定の派遣契約期間が満了した後、本人と派遣先企業の合意が得られれば、そのまま正社員(はじめは契約社員や準社員の場合も)として働くことが可能なため、就業後のミスマッチを抑えられるのがメリットです。
※紹介予定派遣の求人一覧はこちらをチェック
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フリーターと社会人は違うの? フリーターから正社員になるには? | 工場・製造業の求人・お仕事・派遣なら日総工産 (717450.net)
まとめ
今回は、フリーターの定義や概要とともに、正社員と比較したフリーターのメリット・デメリットについて、さまざまな調査データをもとに詳しく解説しました。
仕事に対する価値観や働き方が多様化する中、フリーターとして働くことも、自身の生き方を模索する上での選択肢のひとつになるでしょう。一方で、長期間フリーターを続けて年齢を重ねると、正社員を目指して就職活動する際のハンデとなる可能性もあります。
ここ近年の国内労働市場は、少子化の影響で若手の人手不足が深刻化しており、正社員を目指すフリーターにとっては有利な状況です。もし、フリーターから正社員を目指すのであれば、ぜひ早めにアクションを起こして、自身の次なるキャリアステージに向けてチャレンジしてください!