「NC旋盤」とは?旋盤の基礎知識や“できること”を一から解説!
2023/4/24 更新
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■目次
- ●そもそも「旋盤(せんばん)」とは?
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・旋盤でどんな加工ができる?
・旋盤加工の部品は何に使われている?
- ●NC旋盤の基本を、初心者にもわかりやすく解説!
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・NC旋盤とは?
・NC旋盤の特徴
・NC旋盤でできることは?
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●NC旋盤の主な種類
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・NCタレット旋盤
・NC倣い旋盤
・NC正面旋盤
・NC立旋盤
・NC自動旋盤
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●NC旋盤を構成する4つの基本要素
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NC旋盤の構成要素1.スピンドル
NC旋盤の構成要素2.心押台
NC旋盤の構成要素3.刃物台
NC旋盤の構成要素4.制御盤 -
●NC旋盤と汎用旋盤の3つの違い
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1.自動加工ができる
2.完成品の精度が均一
3.高精度の加工が可能 -
●NC旋盤を活用する際の注意点やデメリットは?
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稼働にプログラムの開発が必要
作業開始までの工程が多い
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●まとめ NC旋盤は高精度な加工を自動化する優れもの!
- ●NC旋盤のお仕事をしてみたいと思った方はコチラから
そもそも「旋盤(せんばん)」とは?
「旋盤」とは、加工する素材を回転する土台(主軸)に取り付け、バイトと呼ばれる切削工具を押し当てて旋削加工する工作機械のひとつです。わかりやすい例で言えば、リンゴを手元で回転させながら、包丁で皮を薄くむいていくイメージです。
旋盤でどんな加工ができる?
旋盤は加工物を回転させながら、バイトを主軸と平行に押し当てて削るため、とくに円柱・円錐状の素材加工に適しています。また、使用するバイトの種類や動かし方を変えることで、外径加工・内径加工・端面加工・ネジ加工・溝加工・穴加工など、さまざまな旋削加工に対応することができます。
旋盤加工の部品は何に使われている?
旋盤ではこれらの加工方法や素材を組み合わせて、ひとつの部品を完成させていきます。旋盤で加工された部品は、私たちの生活や社会に欠かせないさまざまな製品に使われています。たとえば、自動車、航空機、建設機械、医療機器、家電、住宅、エネルギー関連機器、半導体製造装置、ロケットなど、身近なものから宇宙開発に使用する精密機器まで、旋盤で加工した部品はあらゆる製品を生み出す重要な役割を担っています。
NC旋盤の基本を、初心者にもわかりやすく解説!
NC旋盤とは?
「NC旋盤」とは、手動で操作する一般的な旋盤(汎用旋盤)に、数値制御装置(NC装置)を組み込んだ工作機械のことです。ちなみに、NC旋盤のNCとは「Numerical Control(数値制御)」を意味し、コンピューターによる制御が可能なことから「CNC旋盤」とも呼ばれています。
NC旋盤の特徴
一般的な汎用旋盤は、加工工程に合わせて使うバイトを手動で付け替え、動かし方を変えながら手作業で調整して加工するため、操作には繊細かつ熟練した技術が求められます。
これに対して、NC旋盤はNC装置にプログラミングされた手順に従って、機械が複数のバイトを使い分けて自動で加工作業を行います。そのため、作業者のスキルや経験を問わず、精度の高い旋削加工を行えるのが特徴です。
NC旋盤でできることは?
汎用旋盤にNC装置を組み込んだNC旋盤は、一般的な汎用旋盤と基本的な加工性能は変わりません。汎用旋盤と同様に、外径加工・内径加工・端面加工・ネジ加工・溝加工・穴加工・テーパー加工、面取りなど、さまざまな旋削加工に対応でき、鉄・アルミ・ステンレス・真鍮などの金属類のほか、鋳物・樹脂などの素材も加工することが可能です。
NC旋盤の主な種類
NC旋盤には、用途や加工物に応じてさまざまな種類の機械が開発されています。その主な機種をいくつか紹介しましょう。
NCタレット旋盤
タレットと呼ばれる旋回する刃物台に、複数(10本以上)のバイトを取り付けたNC旋盤です。一つの工程が終了すると、タレットを旋回させて別のバイトに入れ替え、加工物をチャック(取り付け装置)に固定したまま、次の加工を連続して行うことができます。
NC倣い旋盤
見本と同じ形状にコピーするNC旋盤です。倣い(ならい)機能によってコピー元の形状情報を工具に伝え、コピー元と同様の工作物を作ります。同じような形状の工作物を、大量に複製する場合に適しています。
NC正面旋盤
長さに対して外径寸法が大きいものを加工する際に適したNC旋盤で、通常の旋盤より剛性の高い主軸が用いられています。主軸にはチャックより大きい面板(工作物保持具)がセットされ、主に端面の旋削加工に使用されます。
NC立旋盤
主軸を垂直方向にセットし、バイトを上から下に移動して旋削するNC旋盤です。主軸を垂直にすることで、外径寸法の大きいものや重量物でも主軸の歪みが少なく、より精度の高い安定した加工が可能となります。
NC自動旋盤
同じ形状の小物部品を大量生産する際に使われるNC旋盤で、供給する材料によって棒材加工用・素材加工用に分けられます。
棒材加工では、素材の送り・締め付け・タレット旋回・刃物台の送り・突っ切り・主軸回転の正逆や速度の動作を自動化できます。部品の加工が終了したら、突っ切って加工物を送り出し、さらに突っ切った先端から同じ工程に移ることができるため、棒材がなくなるまで連続加工することが可能です。
素材加工用は、素材を自動で供給できる装置を備え、工作物の取り外しを自動化できます。素材をつかんで加工し、終わったら取り外して次の素材をつかむ……といった動作を繰り返して連続加工することが可能です。
NC旋盤を構成する4つの基本要素
NC旋盤にはNC装置とともに、NC装置からの指示を受けて機械を動かす「サーボモーター」を備えている点が大きな特徴です。ここからは、NC旋盤の基本となる4つの構成要素について解説します。
NC旋盤の構成要素1・スピンドル
スピンドルとは、旋盤の回転主軸のことです。スピンドルには被削材をつかんで固定するチャックが取り付けられており、スクロールチャック、インデペンデントチャック、コレットチャックなどの種類があります。また、ポジションコーダという位置検出器が、主軸に連結されているのもNC旋盤の特徴です。ポジションコーダによって回転角度を検知し、主軸の回転数を制御します。
NC旋盤の構成要素2・心押台
心押台とは、回転センタを取り付ける台座のことです。長い被削材の加工を行う場合、スピンドルのチャックだけで片端を支持するとブレが大きくなってしまいます。チャックと心押台を使って両端を支持することで、被削材を安定させ加工精度を高めることができます。
NC旋盤の構成要素3・刃物台
刃物台はバイトを取り付ける台座のことで、フラット型・櫛刃型・タレット型などの形状タイプがあります。複数のバイトが設置できるようになっており、自動でバイトを使い分けるNC旋盤の機能を補助します。
NC旋盤の構成要素4・制御盤
NC旋盤に搭載されている制御盤には、主軸の回転や刃物台の移動を制御するための基板やコンピューターが収められ、必要な情報をモニターで確認・操作することができます。旋盤の稼働・停止、必要な操作・命令の指示や、プログラムを入力するボタン・レバーなども備わっています。
NC旋盤と汎用旋盤の3つの違い
では、NC旋盤は一般的な汎用旋盤と、どのような違いがあるのでしょうか。大きな点として以下の3つが挙げられます。
1・自動加工ができる
先述したように、NC旋盤は作成したプログラムに沿って、機械が自動的に加工を進めていきますので、作業者が機械に付きっきりで操作する必要がありません。1人で複数台の旋盤を担当したり、他の作業を兼務したりすることで、より少ない人員で工場を稼働させながら、作業効率や生産性を高めることができます。
2・完成品の精度が均一
手作業で加工を行う汎用旋盤は、完成品の精度が作業者のスキルに左右されやすいという難点があります。一方、NC旋盤はプログラムの数値通りに自動加工を行うため、完成品の精度が均一に保たれ、一度プログラムを設定すれば、同一品質の製品を大量生産することができます。
3・高精度の加工が可能
NC旋盤は、加工物の材質や目的の形状に応じて、回転速度や刃物の送り速度を制御したり、縦・横・高さの座標軸に沿って、切り込みなどの加工位置を調整することも可能です。精度の高い機種では、0.001mmの単位まで正確に位置決めができるため、従来では難しかった部品の加工も可能となっています。
NC旋盤を活用する際の注意点やデメリットは?
ここまで見てきたように、NC旋盤を活用することで「高精度な加工や品質管理が可能になる」「作業効率や生産性がアップする」など、さまざまなメリットを得ることができます。 その一方で、場合によってはデメリットとなる面もありますので、NC旋盤を導入する際には、以下の注意点を踏まえておくことが重要です。
稼働にプログラムの開発が必要
NC旋盤を稼働させるためには、事前に加工手順などを示したプログラムを開発・作成する必要があり、その分だけコストもかさみます。さらに、汎用旋盤にはなかったプログラムの入力・設定などの作業も増えるため、専門知識を持った人材や専属の人員を確保する必要があります。
作業開始までの工程が多い
汎用旋盤は作業員が常時付いて作業を行うため、加工中にミスや修正が生じても、すぐに対応できるという利点があります。一方、自動で数値制御するNC旋盤は、加工中に動作の確認ができないため、加工終了までミスを発見しにくく、修正のたびにプログラムを変更しなければいけません。
また、NC旋盤は空運転による設定確認や試し加工など、作業開始前のチェック項目が多いため、チェックに時間を取られると、稼働率や作業効率を落とす可能性もあります。よって、NC旋盤による加工工程の効率化を図るためには、プログラムの入力や設定・チェックなど、前段取り工程の手順を見直すことが重要ポイントとなるでしょう。
まとめ
NC旋盤は高精度な加工を自動化する優れもの!
今回は、モノづくりに欠かせない旋盤の基礎知識とともに、精度の高い旋削加工を自動で行うMC旋盤について解説しました。ご紹介したように、NC旋盤は高精度・高品質を維持しつつ、効率的な大量生産を可能にする旋盤の主流として、国内外の工場や製造現場で年々活用が進んでいます。
とくに近年、産業界や社会において「自動化」がキーワードとなる中、汎用旋盤の可能性を大きく拡げるNC旋盤は、製造業の未来を担う優れた工作機械として、これからも進化を遂げていくことは間違いないでしょう。
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