夜勤手当と深夜手当の違いは?深夜割増賃金の計算方法も紹介!

2023/9/22 更新
1.夜勤手当と深夜手当はまったく別物?
夜勤手当とは?
「夜勤手当」とは文字通り、夜間に働く従業員に対して会社が支給する手当のことです。 ただし、夜勤手当は法的な定めがないため、支給するかどうかは会社の任意となります。よって、夜勤手当の対象となる時間帯や支給額についても明確なルールがなく、支給の諸条件や金額は会社が独自に定めています。夜勤1回あたりの支給額が設定されている場合もあれば、一定の時間以降の勤務を夜勤と定め、1時間あたりの支給額を設定している場合もあります。
深夜手当とは?

一方で「深夜手当」は、労働基準法によって深夜労働に対する支給が義務づけられている法定手当で、正規・非正規の雇用形態を問わず、パートやアルバイトの従業員にも支給されます。正式には「深夜割増賃金」と呼ばれ、対象となる時間帯や支給額(割増賃金)についても、以下のようなルールが法的に定められています。
-
-
●支給対象となる深夜労働の時間帯……22時~翌5時
●支給額(割増賃金)……基本給(基礎賃金)の25%以上
-
深夜手当の不払いは法律違反

このように、深夜手当は労働基準法による規定があるため、条件に応じて従業員に支払わなければ法律違反となってしまいます。これに対して、夜勤手当はあくまでも任意となるため、会社は必ずしも支払う必要はありません。
よって、夜勤手当がない会社でも、深夜時間帯(22時~翌5時)の労働に対しては深夜手当(割増賃金)が必ずもらえます。また、夜勤手当を支給している会社で深夜時間帯に働けば、基本給に深夜手当と夜勤手当の両方が加算されることになります。
さらに給料が割増しされる場合も

そのほか、労働基準法が定める割増賃金には、法定労働時間(原則1日8時間、1週40時間)の上限を超えた時に支給される「時間外手当(割増率25%以上)」、法定休日に出勤した際に支給される「休日手当(割増率35%以上)」があります。これらの割増賃金は原則として足し算方式となるため、以下のように重複して割増しされる場合もあります。
-
-
●深夜に時間外労働をした場合……深夜手当25%+時間外手当25%=50%以上アップ
●休日に深夜労働をした場合……深夜手当25%+休日手当35%=60%以上アップ
●休日の深夜に時間外労働をした場合……深夜手当25%+時間外手当25%+休日手当35%=85%以上アップ
-
2.夜勤手当の相場は?

先述したように、夜勤手当の支給額は法的なルールがないため、具体的な金額は会社や職種によってまちまちです。
ちなみに、工場などの製造業における夜勤手当の相場は、夜勤1回につき1500円~6000円程度(※)。夜間勤務が多い看護師の場合、準夜勤・深夜勤1回につき4000~5000円前後、2交替の夜勤が1万1000円前後といわれています(※)。これらの金額が夜勤の回数に応じて、基本給に上乗せして支給されることになります。
また、夜勤手当が基本給に含まれ、給与明細に記載されていないケースもあります。とくに、夜勤シフトのみ(夜勤専属)で働く場合、はじめから夜勤手当を上乗せして、基本給自体を高めに設定している会社もあります。給与明細に記載されていなくても、夜勤手当が支払われている場合がありますので、手当の有無を含めてきちんと確認しておきましょう。
※一般的な参考相場ですので、具体的な金額は勤務先によって異なります
3.深夜手当(割増賃金)の計算方法
深夜手当の支給額は「基本給(基礎賃金)の25%以上」と明確に定められているため、会社や職種を問わず規定に沿った金額が支給され、計算式で具体的な支給額を導くことができます。
以下、時給制・日給制・月給制のケースに分けて、深夜手当の計算方法を見ていきましょう。
-
-
時給制の深夜手当の計算方法
時給制の場合は、基本時給(日勤の時給)の金額をベースに算出します。
●深夜手当=1時間あたりの基本時給×0.25(割増率)×深夜労働時間
-
-
-
日給制の深夜手当の計算方法
日給制の場合は、まず日給の金額を1日の労働時間(所定労働時間)で割って、1時間あたりの賃金を求め、あとは時給制の場合と同様に計算します。
●深夜手当=1時間あたりの賃金(日給÷所定労働時間)×0.25(割増率)×深夜労働時間
-
-
-
月給制の深夜手当の計算方法
月給制の場合は、まず月給の金額(所定内給与額)を1ヵ月の所定労働時間数で割って、1時間あたりの賃金を算出します。ただし、1ヵ月の所定労働時間数は祝日などの影響で月によって変動するため、以下の計算式で1ヵ月の平均所定労働時間数を算出します。
●平均所定労働時間=(365日-年間休日)×1日の所定労働時間÷12ヵ月
-
-
-
平均所定労働時間を算出したら、それをもとに1時間あたりの賃金を求め、時給制や日給制の場合と同様に計算します。
●深夜手当=1時間あたりの賃金(月給÷平均所定労働時間)×0.25(割増率)×深夜労働時間
-
※以上の計算式で出した深夜手当(割増賃金)は、法的なルールの最低ラインとなる25%増しの数値です。会社によっては25%以上の深夜手当を支給しているケースもありますので、その場合は計算式の割増率を会社が適用している数値(30%なら0.3)に置き換えて算出してください。
4.夜勤のメリットとは?
このように、会社の任意や法的な定めで手当が支給される夜勤ですが、実際に働く上ではどのようなメリットがあるのでしょうか。
日中の勤務より給料が高い

夜勤には法的に定められた深夜手当のほか、会社によっては夜勤手当も加算されるため、日勤のみで働くよりも給料がアップします。さらに残業や休日出勤をすれば、時間外手当や休日手当も加算されます。効率よく稼いで高収入を目指したい人にとっては、夜勤で働くメリットを十分に感じられるでしょう。
日中の時間を有効活用できる

夜勤をすれば昼間が休みになるので、日中の時間を有効活用することができます。日中にしか行けない病院や役所、金融機関などの用事を済ませられますし、子どもがいる人は授業参観などの学校行事にも参加しやすくなります。
通勤ラッシュのストレスがない

通勤ラッシュを避けやすいのも、夜勤ならではのメリットです。夜勤の出社・退社の時間帯は、朝夕のラッシュアワーとかぶりにくいので、ストレスなく通勤することができるでしょう。
5.夜勤のデメリットとは?
一方で、夜勤という働き方にはマイナスな面や注意しておきたい点もあります。夜勤で働く際には、以下のデメリットについても十分理解し、自分の生活スタイルとあわせて検討することが重要です。
体に負担がかかる

24時間稼働・営業する工場や運輸会社、病院、介護施設、宿泊施設など、夜勤のある職場の多くは、休みを挟んで日勤と夜勤を数日~1週間ごとに繰り返す交替制勤務を採用しています。そのため、はじめは昼夜が逆転してなかなか寝付けず、睡眠不足や体調不良になる人も多いようです。慣れるまでは体調管理に注意しながら、生活のリズムを崩さないよう心がけることが大切です。
日中勤務の友人や家族と生活時間が合わない

友人や家族とスケジュールが合わせにくいのも、夜勤で働くデメリットのひとつです。昼間に自由な時間ができても、日中に働いている友人は仕事中。反対に夜は自分が仕事中なので、友人と遊びに行ったり飲みに行ったりする機会が減ってしまい、人によっては寂しいと感じるかもしれません。
また、家族と一緒に暮らしている人は、家族とのすれ違いにも注意が必要です。家族が寝ている時間帯に働き、家族が活動している時間帯に寝る日が続くと、日常生活でのコミュニケーションも減りがちです。とくに夜勤専属で働く場合は、家族にもある程度の理解が必要かもしれません。
※夜勤に関する詳しい情報は、こちらの記事もチェック!
夜勤の仕事って大変? 意外と知らない夜勤について徹底解説 | 工場・製造業の求人・お仕事・派遣なら日総工産 (717450.net)
6.まとめ
今回は、夜勤手当と深夜手当の違いとともに、夜勤で働くメリット・デメリットについて解説しました。
ご紹介したように、夜勤手当については支給していない会社もありますので、手当の有無や支給額・条件などを確認しておくことが重要です。一方で、深夜手当は条件に応じて必ず支給される法定手当となりますので、計算で想定される割増賃金を把握しておくことで、収入面や生活費の算段もしやすくなるでしょう。 これから夜勤の仕事に挑戦したい方は、各手当について理解を深めるとともに、夜勤のメリット・デメリットを照らし合わせた上で検討することをおすすめします。
7.夜勤のあるお仕事を探している方はこちら!
今回は、夜勤手当と深夜手当の違いとともに、夜勤で働くメリット・デメリットについて解説しました。
日総工産<工場求人ナビ>では、夜勤のある全国各地の工場ワークを多数ご紹介しています。専門コーディネーターによるお仕事探しやアドバイス、研修プログラムによる人材教育など、就職・転職活動のサポート体制も充実! まずは下記ボタンをタップして、お気軽にエントリー&ご応募ください!