ニートの人数や割合は?データから見たニートの現状とリスクについて考察
2024/6/24 更新
「ニート」の社会的な定義とは?
ニートという言葉の由来と定義
ニートという言葉は1990年代後半、イギリスの労働政策の中で登場した造語で、「Not in Education, Employment or Training(就学・就業していない、職業訓練も受けていない)」という英語の頭文字をとって「NEET(ニート)」と呼ばれるようになりました。
日本においては、2000年代に入ってニートという言葉が社会的に広まり、厚生労働省や内閣府ではニートの対象者を以下のように定義づけています。
-
-
【ニートとは?】
通学・家事をしていない15~34歳の若年者のうち、就業していない(求職活動をしていない、または働く意思がない)無業者
-
35歳以上の無業者はニート?
この定義から見ると、ニートに該当するのは「学生や主婦(主夫)を除く34歳までの若年無業者」で、35歳以上の無業者に対する呼称に明確な定義はありません。ただ、35歳以上の無業者に対してもニートという呼称は使われており、一般的には「中年層ニート」などと呼ばれることが多いようです。
ニートと引きこもりは違う?
「引きこもり」とは、不登校や就職の失敗などをきっかけに、長期間自宅に閉じこもるようになり、社会(周囲の人)と接触を避けている状態のことを指します。その間、学校や仕事に行っていない状態となるため、引きこもりとニートは共通する部分もあるといえるでしょう。ただ、ニートの中には自宅に閉じこもっていない(周囲の人と接している)人もいるため、すべてのニートが引きこもりに該当するわけではありません。
国内におけるニートの数と割合の推移
ニートの数は減っている?
総務省統計局の労働力調査によると、国内でニートに該当する15~34歳の若年無業者の数は、2023年平均で59万人、35~44歳の無業者(中年層ニート)の数は37万人。その総数を10年前の2013年と比較すると、8万人ほど減少しています(下記グラフ参照)。
若者のニート率は増えている
ただ、人口に占める15~34歳の若年無業者の割合で見ると、2013年と比べて0.2ポイント増えており、2020年のコロナ禍をきっかけに、上昇傾向にあることがわかります。つまり、少子化の進行でニートの絶対数は減っているものの、若者のニート率はむしろ増えているのです。
年齢が高くなるほど無業者数は増加
一方、人口に占める35~44歳の無業者の割合を見ると、ここ10年は横ばいの状態が続いていることがわかります。しかし、15~24歳・25~34歳・35~44歳ごとの無業者の数は、年齢層が高くなるにつれて増えており、年齢を重ねるほど仕事に就くのが難しくなる傾向にあることを示しています。
※グラフ出典/総務省統計局「労働力調査(基本集計)2023年平均結果の要約」 gaiyou.pdf
データから見た「ニートになってしまう原因」
そもそもニートになりたいと思ってなった人は、ほとんどいないでしょう。にもかかわらず、若者がニートになってしまう原因とは何なのでしょうか。厚生労働省の「ニート状態にある若年者の実態および支援策に関する調査研究報告書」によると、若者がニートになってしまう主な原因・きっかけとして、以下のような事項が挙げられています。
-
-
●勉強でのつまずきや挫折 ●学校を中退
●学校でのいじめ ●不登校
●就職や職場での失敗
●人間関係のストレス
●メンタル面の不調
●コミュニケーションへの不安 など
-
このように、個々の家庭環境・経済状況だけでなく、学校・職場などの社会的環境から派生するさまざまな問題が原因・きっかけとなり、結果的にニートになってしまう人が多いと考えられます。
※参考資料/厚生労働省「ニート状態にある若年者の実態および支援策に関する調査研究報告書」 h0628-1b.pdf
データから見た「ニートが就職しない理由」
総務省の「就業構造基本調査結果」によると、ニートが就職しない理由として最も多いのが「病気やケガ」です。この中には、ニートになった原因のひとつであるメンタル面の不調や、精神疾患(うつ病・パニック障害など)が多く含まれていると見られています。
また、就職を希望しているが求職活動は行っていない「非求職型」のニートと、就職そのものを希望していない「非希望型」のニートでは、就職しない理由が若干異なっていることがわかります。非希望型では「とくに理由はない」という回答が多いことから、なんとなくニートを続けている人が多い傾向にあるようです(以下グラフ参照)。
※グラフ出典(直近データ)/総務省「平成24年 就業構造基本調査結果」 kgaiyou.pdf
データから見た「ニートを続けるリスク」
ニートから抜け出せない人の中には、「とりあえず今は働かなくてもいいかな」「就職はもう少し先になったら考えよう」と、仕事に就くことを先送りにしてしまう人も少なくないようです。とはいえ、就職するまでのブランクが長くなればなるほど、社会に出たとき・復帰したときのギャップは大きくなりますし、年齢とともに就職へのハードルが高くなっていくのも事実です。
以下、ニートを続けるリスクについて、国や公的機関の調査データをもとに解説します。
年齢とともに就職が難しくなる
まず、年齢別の正社員就職率についてですが、ニートに関する調査データがないため、ここではアルバイト・パートで働くフリーターのデータを参考に考察します。
厚生労働省の独立行政法人「労働政策研究・研修機構」の調査報告書によると、年齢別に見たフリーターから正社員への移行率は以下の通りです。
-
-
【年齢別に見たフリーターから正社員への移行率】
●15~19歳……29.9%
●20~24歳……32.7%
●25~29歳……25.5%
●30~34歳……18.1%
●35~39歳……15.5%
-
このように、フリーターから正社員への移行率(就職率)は、20代前半をピークに年齢とともに低くなっていくことがわかります。とくに中途採用市場では、年齢が上がるほど実務経験や即戦力を求める傾向が強まるため、同じ年齢のフリーターと比べて就労経験が浅い(ない)ニートの場合、上記の数値よりさらに就職率が低くなる可能性があります。
※参考資料/労働政策研究・研修機構「若年者の就業状況・キャリア・職業能力開発の現状 3-平成29年版「就業構造基本調査」より-」 217.pdf
ニート期間が長引くほど就職が難しくなる
同じく、フリーターに関する厚生労働省の広報資料を見ると、フリーター期間ごとに正社員として就職できた人の割合は以下のようになっています。
-
-
【フリーターの期間別・正社員就職できた人の割合】
●フリーター期間6ヵ月以内……64.0%
●フリーター期間6ヵ月~1年以内……58.3%
●フリーター期間1年~2年以内……52.2%
●フリーター期間2年~3年以内……58.9%
●フリーター期間3年以上……48.9%
-
このように、フリーター期間が6ヵ月以内であれば6割以上の人が正社員として就職できたのに対し、期間が3年以上になるとその割合が半数以下になることがわかります。現時点で何かしらの仕事をしているフリーターと、仕事をしていないニートは定義が異なるものの、ブランク期間が長くなるほど就職が難しくなるといえるでしょう。
※参考資料/フリーターに関する厚生労働省の広報資料 0000105821.pdf
まとめ
今回は、国内におけるニートの人数や割合、増減の推移、仕事に就かない理由など、統計データから見たニートの現状とリスクについて考察しました。
少子化が進行する近年、ニートの数自体は減っているものの、若者のニート率はジワジワと上昇しています。そうした中、ニートからの就職に成功し、社会人として活躍している人もたくさんいます。やむを得ない事情や理由もなく、ただ何となくニートを続けている人は、将来的なリスクをしっかりと認識し、脱ニート&就職に向けて早めに行動を起こしましょう!
── 日総工産<工場求人ナビ>では、未経験者歓迎の工場ワークを多数ご紹介しています。専門コーディネーターによるお仕事探しやアドバイス、研修プログラムによる人材教育など、就職・転職活動のサポート体制も充実。ニートから派遣・契約社員や正社員を目指したい方も、下記ボタンからお気軽にエントリー&ご応募ください!