メーカーから転職したい! 転職を成功させる5つのポイントと戦略

2023/12/26 更新
経験者や専門スキルが優遇される転職
最近、テレビCFなどで「ハイクラス転職」や「キャリア採用」などというキーワードをよく見聞きするようになり、日本はいま転職ブームにわいています。でも、転職は大きな決断を要する人生における一大イベントですし、ブームに乗って失敗するのは誰もが避けたいところですよね。
とくにジャンルが細分化され、製造するものがまったく違うメーカー(製造業)の仕事に就いている人の場合、自動車、鉄鋼、家電、食品、機械、精密機器、雑貨等の特定ジャンルの仕事に携わることが多いといえます。
例えば、自動車メーカーで組み立ての業務経験がある人が飲食業界や観光業界に転職したいと考えたとき、前職で真面目に仕事に取り組み、上司から厚い信頼を寄せられていても、取り扱う商品やサービスがまったく違う異業種への転職となれば、新天地でゼロから経験を積むことになります。
一方、転職者を採用する雇い主の立場に立つと、「転職者 = 実践力(経験)のある人」という考え方が一般的であるため、異業種からの転職者は「未経験者」というくくりになります。
こうした両者の思いの相違から、メーカーで経験を積んだ人が異業種に転職するのはハードルが高い……と言われているため、メーカーから転職を考えている人は、前職のジャンルに近い業界、企業で転職を検討することが最もおすすめとされています。しかし、あえて新天地(異業種)で自分の可能性にチャレンジしたいと考えている人は、次章からご紹介する高いハードルを上手にクリアする5つのポイントを、ぜひ参考にしてみてくださいね。

成功の秘訣①/自分のアピールポイントを明確にする
肉や野菜を取り扱う食品加工メーカーから、飲食業界やホテルや旅館の厨房業務へ転職する場合、食材に関する知識や、取り扱ううえでのノウハウがあるため、転職を考えたときにさほどハードルは高くないといえます。
でも、食品加工メーカーに10年勤めた後に、まったく畑違いのIT業界への転職を考えた場合、業種ではなく「仕事内容」に絞り込んでアピールすることで、活路が開ける可能性がグンと高まります。
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✓ 年齢が若い20代であれば、プレーヤーとしての実績や経験をアピールポイントする
✓ 30代以上であれば、転職先のニーズに即したスキルや経験をアピールポイントする
✓ 40代以上であれば、専門性や利益に直結するスキルや経験をアピールポイントする
✓ 年齢を問わずマネジメント経験があれば、その経験と実績をアピールポイントする
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成功の秘訣②/前職で自慢できるポインを自己分析する
これといった明確なスキルや実績がない人でも、メーカーで仕事をしていたときに、周囲から褒められたことや、自信があることがきっとあるはずです。そうした点を“自慢できるポイント”として整理し、転職活動でとても大事な意味をもつ自己分析を行いましょう。
例えば、上司や同僚から以下のような評価を受けたことや、進んで実践していた仕事はありませんか?
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✓ 品質への取り組みが評価され、品質管理チームのリーダーを任されていた
✓ 丁寧な仕事ぶりが評価され、アルバイトの指導役を任されていた
✓ 周囲の人よりミスの発生率が低く、生産性が高いと評価された
✓ 業務の改善点やインシデントに気づいた際は、自発的に上司に進言していた
✓ 几帳面な性格のため職場の整理整頓に努め、事故防止に気を配っていた
✓ 単調な作業でも、いとわず取り組んでいた
✓ 納期やタスク管理を守るため、周囲と協働して業務を進めていた
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メーカーでは、品質、安全性、生産性に加えて、一作業・工程において、正確に仕事を進められる生産力、ミスなく丁寧に仕事をしている品質力、職場環境の変化や小さな“気づき”を発見する観察力、チームを取りまとめ、作業を円滑に推し進めるための情報発信力、高い意識をもって納期を守っている業務遂行力や計画性、周囲のスタッフと円滑にコミュニケーションを図っている協働性……といった姿勢や意識が求められ、そうした業務を行っている者が評価の対象となります。
こうした高い姿勢や意識は、業種や会社が違っても仕事をするうえでの共通点となるため、前職時代に得た“自慢できるポイント”を自己分析することで、どんな点が有利であるかが明確になり、転職活動を有利に進めることにつながります。

成功の秘訣③/たくさん応募する。転職エージェントを活用する
転職しようと考えている業種が、現在の仕事と畑違いの業種である場合“未経験者”扱いになることから、選考の通過率は低くなることが想定されるため、戦略的にたくさんの会社に応募してみましょう。
企業側は〈どんな仕事に就いていたか〉〈どんな実績があるか〉〈転職理由はなにか〉〈当社に入社した際にどんなメリットがあるか〉といった条件をもとに選考するか否かを決めますが、“ダメもと”で応募した企業のなかに、「新規事業を始動するにあたり、◯◯業界で培った経験を有する人材が欲しい」と考えていた企業があったとします。
こうした偶然は少ないものの、パズルのピースがパチッとはまるように、企業側の人材イメージにぴったりとはまることもあり、実際に“タイミング”的な要素が大きく働いて、異業種への転職を成功に導いた人もいます。
ただし、たくさんの企業に応募するのは、作業的に手間も時間もかかりますし、“数撃ちゃ当たる”の意識が応募することは、企業側に対して失礼にあたります。そうした点にもきちんと配慮し、自分にぴったりの転職先に出会う方法として有効なのが「転職エージェント」の活用です。転職エージェントにはさまざまな業種・条件の企業が登録しているため、転職希望の条件を広げて登録しておけば、条件に見合ったたくさんの求人を紹介してもらうことが可能です。

成功の秘訣④/人手不足の業界に的を絞り、転職活動を行う
医療業界や金融業界などは中途採用や転職者の採用数が非常に少ない業界ですが、逆に、人手不足が常態化し、「未経験でもいいので、とにかく人手が欲しい」という以下のような業界では、中途採用や転職者を求めています。
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■深刻な人手不足が社会問題になっているIT業界
■働き方改革により、さらなる人手が欲しい運輸・物流業界
■無資格で働けるスタッフや助手なども人材不足に陥っている介護・福祉業界
■深刻なスタッフ不足に陥っている観光・宿泊業界
■時給をあげても人が集まらない小売・外食業界
■未経験者でも活躍しやすい販売・サービス業界
■深刻な人手不足が社会問題になっている建設業界
■人手不足の状態にあり、40・50代も転職しやすい警備・管理業界
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これらの業界は深刻な人手不足が続いていることで、未経験を採用した後に自社で専門スキルを教育する体制を整えていることが多い業界ともいえます。未経験者であっても専門スキルを養う機会を豊富に提供していることが多く、努力次第でキャリアアップを図ることも可能でしょう。実際に、転職後に実務経験を積みながら業務や昇格に必要な資格を取得し、キャリアアップを図ることで活躍フィールドを広げている人もたくさんいます。

成功の秘訣⑤/ネガティブな転職理由を「目標・意欲」に置き換える
面接の際に必ず聞かれるといってよいのが、「転職を決めた理由」でしょう。その理由しだいで、採用されるか採用されないかが決まると言っても過言ではありません。
例えば、面接時に「会社を辞めようと思った理由(転職しようと思った理由)」を問われて、「前の仕事は残業が多くて体がきつかった」「上司とソリが合わなかった」「収入が少なかった」「仕事がつまらなかった」といった内容の話を、面接官で伝えてもなんの得もありません。
不満や愚痴に満ちたネガティブな要素は、その人の人格を評価される要因にもなりえますので、あらかじめ会社を辞めようと思ったネガティブな要素を書き出して整理し、それをもとに、転職先でどんなことができるか(したいか)というポジティブな表現に置き換えてみましょう。
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✕ ネガティブ → 前の仕事は、残業が多くて体がきつかった
〇 ポジティブ → 前職では残業が多かったので、転職が叶ったあかつきには、生産性を上げる組織作りや業務改善に取り組みたい
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✕ ネガティブ → 前の仕事は、上司とソリが合わなかった
〇 ポジティブ → 前職では社員間の意思疎通がうまく図られていなかったので、転職後は、若手が活躍しやすい環境や風土構築に挑戦したい
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✕ ネガティブ → 前の仕事は、収入が少なかった
〇 ポジティブ → 前職では評価制度などがきちんと構築されていなかったので、転職後は、労働条件や生産性を高める業務に取り組みたい
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✕ ネガティブ → 前の仕事は、つまらなかった
〇 ポジティブ → 前職は離職率が高く、社員同士の交流機会が少なかったので転職後は、イベント企画・運営に取り組み、社員交流の機会を創出したい
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前職の仕事の不満をあげるだけでは採用したあとも不満を抱くタイプなのではないか、思い通りにならないことがあると、それを理由にまた辞めてしまうのではないかと思われる可能性があるため、嘘をつかない範囲で、前職での不満や転職理由を、次の仕事での「目標・意欲」に置き換えてみましょう。そうすることで自らの“強み”が明確になる効果を得られるかもしれません。

転職活動を成功に導く3つの戦略
——最後に、転職活動を成功に導くうえで参考にしてほしい3つの戦略についてご紹介します。
年が若いほど、転職には有利
転職をするなら少しでも年が若いほうが有利なので、悩んでいるならその時間をムダにせず、足がかりをつかむため、まずは第一歩を踏み出しましょう。第一歩を踏み出すことでなんらかのリターン(反応)があるはずです。それをもとに活動を少しずつ広げていきましょう。
転職活動は仕事と平行して行う
仕事を辞めてしまったあとの転職活動は、時間ができる一方で収入がなくなってしまうため、転職活動が長期化した場合、焦りや不安から誤った選択をする可能性もあります。そうした状態に追い込まれないために長期スパンに立って、在籍しながら転職活動を進めるとより安心でしょう。心と生活費に余裕があれば、希望にかなう転職先に出会える確率も高くなることでしょう。
転職エージェントや就職支援サービスなどを活用する
自力で転職先を探すのは手間も時間もかかりますし、異業種を転職先として考えている人は、企業やジャンルを取捨選択するだけで、大変な労力を要することになります。もし、順調に転職活動が進まないと思ったら、転職エージェントや行政が運営する就職支援サービスを活用しましょう。自分では出会えなかった企業との出会いがあるはずです。