設備保全とは?役立つ資格と保守やメンテナンスとの違いを解説

2024/1/30 更新
設備保全は近年のAIやIoTの進歩により注目が高まっている業種です。自動化の進んだ工場であっても機械や装置のトラブルには必ず人が必要であることから、設備保全は今後も需要が高まっていくと考えられます。
そこで今回の工場求人ナレッジでは、
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・設備保全の目的と種類
・設備保全に役立つ資格
・設備保全の仕事で働く方法
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を紹介致します。
この記事を読むことで設備保全の基礎的な知識を網羅することができます。
ぜひ最後まで読んでみてください!
(1)設備保全とはそもそも何?
設備保全とは、
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工場にあるさまざまな生産設備を問題なく稼働できるように点検し、安全かつ安定的に製品を生産できるよう維持、管理すること
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を指します。
装置の予期せぬトラブルや故障は、品質の低下による不良品の発生や、設備の停止による納期遅れ等の原因となります。そのような設備による損失を防ぐのが、設備保全の考え方となります。
(2)設備保全を実施する4つの目的
設備保全の目的は主として2つあります。「生産コストの効率化」と「働く従業員の安全確保」です。
効率的な生産を保ち、且つ、従業員の安全性を守るのは適切な設備保全を実施することで実現することが可能です。
この2つの目的を細分化すると、以下の通りとなります。
1.設備の故障を防止する
「設備の故障により、長時間の生産停止状態を招くと、生産効率の低下などの生産活動に大きく影響を及ぼします。設備の故障は時には事故も引き起こす場合もあり、従業員の安全も脅かすことになり兼ねません。
2.設備部品の長寿命化
設備を壊れないように維持することで、異常停止した場合に最小時間での停止により、長い期間稼働できるようにすることもでき、設備の長寿命化にも繋がります。
3.設備の停止時間を減らす
工場の設備を停止すると、設備効率を阻害し、生産に大きく影響することで、経済的損失が大きくとなると言われています。
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「チョコ停」と「ドカ停」とは?
チョコ停⇒1日に数回ほど発生する数分程度で復帰できる停止
ドカ停⇒工場経営に影響する復旧までに約1時間以上かかる停止
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4.不良品を削減する
設備保全を実施することで、不良品を削減することができます。工場では常に稼働中の生産設備があり、その性能が低下することにより不良品が出てしまうことがあります。
設備保全を怠ると、不良品が生産されていることに気がつかず、生産された製品全てを廃棄することになり、金銭的な面でも大損害になり兼ねません。
(3)設備保全と保守・メンテナンスとの違い
「設備保全」と「設備保守やメンテナンス」に大きな違いはありません。
どちらも生産設備が壊れないように、定期的に修理や点検をすることを指します。
ただし、「設備保全」には生産設備が壊れないよう、メーカー自身が「安全を維持できるようにする」ということを目的としており、 「設備保守やメンテナンス」は「生産設備が壊れたら、修理やメンテナンスをする」ということを目的としています。
(4)設備保全の種類や仕事内容
設備保全には大きく分けて3つの種類があります。この見出しでは設備保全の種類とその仕事内容を説明します。
・予防保全

予防保全とは定期的に各種設備の点検や修理、部品交換を行い、設備の故障がないかを確認することを指します。WEBサイトやスマホアプリでもよく聞く、メンテナンスと似た性質があります。予防保全で重要なのはトラブルが発生することのないように、未然にトラブルの元となるような原因を排除することです。
定められたスケジュールを元に予防保全を行うことは、トラブル発生を抑止し、設備やシステムの寿命を延ばすことにもつながります。
・事後保全

事後保全とは設備や機械に不具合が発生してからおこなう保全活動です。 不具合の原因調査を行い、設備を元通り動くように復旧したりすることを指します。 不具合が起きてしまってからの対応となると、修理する間は設備を動かすことができません。また緊急の修理や復旧には多くのコストがかかることもしばしばで、できれば避けて通りたい活動になります。 しかしどんなに予防をしていても、設備が壊れてしまったり動かなくなったりすることはあります。
修理する際の一番のポイントは「対策をする」ことです。同じ原因で壊れないように対策をすることで工場の生産性を上げることが可能です。
・予知保全

予知保全とは設備の故障やエラー発生の兆候を検知してから、修理や部品の交換を行うことを指します。予防保全と似ているように感じますが、予防保全は定期的に行い、予知保全は兆候が現れてから対応を行います。
予知保全でもっとも重要なのは「何をもって設備が壊れそうなタイミングであるか?」という兆候を発見することです。一般的には機械や設備の監視システムを導入することで、予防保全よりも効率よく設備保全を行うことが可能になります。
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この見出しのまとめ!
1.予防保全⇒未然にトラブルを防ぐための定期的な保全
2.事後保全⇒設備に不具合が発生してからおこなう保全
3.予知保全⇒故障やエラーの予兆が現れてから行う保全
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(5)設備保全が必要な理由と将来性
工場において、生産設備の故障や不具合は大きな損失となります。 どんなに人気の製品であったとしても、それを生産することができなければ売上には結びつきません。また期待される品質以下の製品を生産してしまえば、逆に消費者や取引先からの信頼を落としてしまうことになりかねません。
そのため「予防保全」、「事後保全」、「予知保全」といった三つの観点から設備がしっかり稼働するように維持する設備保全は、非常に大切な役割を担っています。
昨今AIの飛躍的な進歩によって、今後人間の仕事は徐々に減っていくと言われています。 特に工場での単純作業のような仕事に関しては、より効率性を高めるためロボットに置き換わっていっています。
しかし設備保全の仕事は複雑化、高速化する生産設備システムを安定的に動かすために必要な存在です。 設備の複雑化が進めば進むほど、トラブルが発生する可能性も高くなり、今まで以上に設備保全のスキルを持った人材の需要が高まると予想されます。
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この見出しのまとめ!
AIの進歩による工場の自動化が進むほど設備保全の重要性が高まる
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(6)設備保全の仕事に役立つ資格3選!
生産設備の複雑化により、専門的な知識、経験をもつ人材は今後も重宝されます。
設備保全の仕事をするにあたって、必ずしも資格が必要というわけではありませんが、 資格を取得することで、知識や経験の裏付けとなるでしょう。
機械保全技能士

機械保全技能士は国家検定制度による技能検定による資格で、設備保全で必要とされる技能の習得レベルを評価するものです。 特級、1級、2級、3級と段階分けされており、まずは初級技能者の証となる3級を目指すと良いでしょう。3級は実務経験なしでも受験することが可能で、設備保全に必要な基礎知識を学ぶことができます。
電気工事士

電気工事士はビルや建物などの電気系統の設備保全に求められる資格です。第一種と第二種があります。第二種は600ボルト以下の店舗や一般在宅の工事の仕事が出来るようになり、第一種は第二種に加えて500キロワット以下の工場やビルの工事の仕事が出来るようになります。
電気主任技術者

電気主任技術者は変電所や発電所、ビルや工場などの受電設備や配線といった電気設備の保安監督の事を言います。国家資格であり第一種~第三種の区分により扱える電圧が異なります。
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◆第一種電気主任技術者:すべての事業用電気工作物
◆第二種電気主任技術者:電圧が17万ボルト未満の事業用電気工作物
◆第三種電気主任技術者:出力5000キロワット以上の発電所を除く、電圧が5万ボルト未満の事業用電気工作物
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(7)設備保全に向いている人の5つの特徴
設備保全に向いている人の特徴として以下の5つが挙げられます。
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・丁寧な仕事が出来る人
・機械いじり、DIYが好きな人
・些細なことでも気が付きやすい人
・臨機応変に動ける人
・全体の流れ(機械などの)を理解できる人
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特に重要なのが丁寧な仕事が出来ることです。設備の点検や修繕などは丁寧にやらないとトラブルの元となる可能性があります。徹底した丁寧な仕事ができることが何よりも優先事項となります。
また、設備保全は工場などにある設備の稼働率を上げることが仕事です。些細なことに気が付くことで、未然にトラブルを回避することができます。また、トラブルが発生してしまったとしても、その際に臨機応変に動けることも重要です。
【まとめ】設備保全は今後も需要が高い業種!
今回の工場求人ナレッジでは、
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・設備保全は「生産設備を維持・管理すること」を指す
・設備保全に必須資格はない
・設備保全の需要は今後さらに高まっていく
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といった内容を解説しました。
設備保全の何よりの魅力は、工場の生産を支えているという達成感が得られることでしょう。目立たないかもしれませんが、安心・安全に設備が使えるようにすることは工場で製品を生産するにあたって非常に重要な役割です。
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