残業少なめでプライベート充実の仕事を選ぶ人増加中!その理由とは?
2023/8/7 更新
そもそも、残業とは?
9時〜17時の就業時間内にその日の仕事が終わらなかったため21時まで働いたとき、その人の残業は「17時〜21時まで」と考える人が多いのではないでしょうか。しかし、残業は「法定内残業」と「時間外労働(法定外残業)」の2つに分けられます。
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◎法定内残業 → 所定労働時間を超え、法定労働時間以内で働いた時間のこと
◎時間外労働 → 法定労働時間を超えて働いた時間のこと
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このことから、私たちが普段会話で口にする終業時間を超えて働いた時間の「残業」と、労働基準法に基づく「残業」は異なり、労働基準法に基づく「残業」は「1日8時間、週40時間の法定労働時間を超えて働いた時間」の時間外労働を指します。
レストランで働くC子さんを例に考えてみよう
>前章では、私たちが一般的に考えている「残業」と、労働基準法に基づく残業が異なることを概説しましたが、次のようなケースからその違いをさらに理解を深めていきましょう。
Case/イタリアンレストランで働くC子さん
10時~16時勤務での雇用契約を交わしたC子さんは、日中の時間を有効活用し平日のみイタリアンレストランで働き始めました。仕事は主にランチタイムのホール係と夜営業に向けた準備の手伝いで、C子さんの所定労働時間は6時間です。
ある日、夜営業のホール係をつとめるK美さんが体調不良で欠勤することになり、この日はピンチヒッターとして16時〜17時の1時間を休憩時間に充て、C子さんは20時まで働くことになりました。
この日のC子さんの労働時間は9時間(休憩時間をのぞく)になりましたが、C子さんの所定労働時間は6時間ですから、法定労働時間の8時間以外の2時間分が「法定内残業」になり、8時間を超えた1時間分が時間外労働となります。
C子さんのケースと法を照らし合わせると、「一般的な1日の労働時間は8時間」「終業後に働いた時間が残業」という考え方は、正しくないことが理解できたでしょうか。
規制違反の残業は、れっきとした犯罪行為
このほかにも、「残業」にはさまざまな規制があります。例えば、特別条項(やむをえない忙しさなどの事情によって臨時的に法律の限度時間を超える協定)がない場合、月45時間、年360時間が限度となっていて、特別条項が適用される場合は、月100時間未満、年720時間以内が残業時間の限度になっています。
こうしたルールを守らず、規制を超えた働き方を従業員にさせた企業(個人商店)は法律違反となり、罰金30万円以下または6カ月以下の罰則が課せられます。
さらに、決められた一定時間を超えた分の残業代を支払わない「残業代の未払い」や、自宅に仕事を持ち帰らせる「サービス残業」も法律で禁じられているため、企業側は法律を遵守し、厳格な勤怠管理を行う必要があります。
従業員側にとっても、業務を行っていないのに手当を受け取るために虚偽申請をする「から残業」、だらだらと業務を行うことで残業代を稼ぐ「だらだら残業」なども、れっきとした犯罪行為になります。そうした違反行為をなくすためには、働く側も「残業」に対する正しい知識をもつことが大切です。
残業が少ない仕事の特徴
友だちと仕事終わりにライブを見にいく約束をしていたのに、翌朝の会議資料の追加作成を終業直前に上司からお願いされたHさん。「うそでしょ? 今日は約束があるし無理!」と内心思いつつ、断ることができなかったHさんは、「ごめん、急な仕事で今日行けなくなっちゃった。ホントにごめん」と友だちにメールしたものの、ライブ代がむだになったうえ、楽しみにしていたライブに参加できなくなったショックは図り知れず……。
こんなことがないよう、できれば無茶ぶりする上司がいない職場や、突発的な残業がない仕事に就きたいところですが、次のポイントで仕事を選ぶようにすれば、友達との約束をドタキャンする確率は低くなるはず。
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◎交替制によって勤務時間が定まっている職場
◎一人の仕事量があらかじめ決まっている職場
◎閉店後の片付け(残務)が済めば、仕事が終わる職場
◎グループで業務に従事し、スタッフ間で分担できる職場
◎営業時間が決まっていて、顧客対応の終了にめどがつきやすい職場
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残業が少ない業種・業界
ひとくちに業種・業界といってもさまざまな職種の人が活躍しているため、あくまで目安であることを踏まえたうえで、一般的に残業が少ないとされる業種・業界を6つピックアップ!
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◎郵便・銀行・行政などの窓口業務に代表される「複合サービス業」
◎終業時間が定まっていることが多い「卸売業・小売業」
◎終業時間が定まっていることが多い生活関連の「サービス業界」
◎漁業・農業・林業・水産業、鉱業、採石業などの「屋外で業務を行う業界」
◎始業・終業時間が定まっていることが多い「総合工事業・設備工事業」
◎多業種のアシスタント職
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最後の「多業種のアシスタント職」は、秘書・受付から営業、医療、金融、マーケティング、教育機関等の学術系業界などで働くアシスタント職を指します。
残業が少ない仕事の魅力とデメリット
終わりが見えない仕事を抱え、残業が常態化している過酷な職場や企業を「ブラック」と呼びますが、それに対して、残業の少ない職場や企業を「ホワイト」とも言います。誰もが「ホワイト」な職場で、やりがいを感じながら仕事をしたいものですが、「ホワイト」には魅力が多い半面デメリットもあります。仕事探しをする際の選択肢として「残業」に着目している人は、デメリットにも目を向けるようにしましょう。
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【残業が少ない仕事の魅力】
◎オン・オフがはっきりしているため、生活リズムにメリハリがある
◎仕事に追われることがなく、ストレスフリーの健康的な日々を過ごせる
◎分担制や業務量が一定であるため、余裕をもって仕事に取り組める
◎自分のために用意された時間を、副業や趣味に充てられる
◎育児、介護、資格の勉強など、目的のための時間を確保しやすい
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【残業が少ない仕事のデメリット】
◎残業代が出ないので収入は低くなる傾向にある
◎プライベートが充実することにより、支出が増える
◎ルーティン化する仕事が多く、やりがいは低い
◎補佐的な仕事が多くなる傾向にあり、長く働くケースが少ない
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価値観が多様化した現代では、収入が減っても自分の時間を大切にしたい“プライベート重視派”や、残業の少ない仕事と資格の勉強とを両立させつつ、中長期の視点でキャリアアップを見すえている“目的達成派”も増えています。
そのほか、育児、介護、シングルマザーなどさまざまな事情によって働く時間に制限がある人は、離職せずに仕事を続けていく方策として、残業の少ない仕事をあえて選択するなど、スタイル、目的、事情にそって多くの人が「残業」を仕事選びの目安にしているようです。
深夜まで頑張る人は、仕事ができる人
猛烈に働く人がもてはやされた1989年には、「24時間戦えますか!」というキャッチフレーズの飲料CMが大流行しました。そんな時代から30年あまり……。多くの情報を簡単に収集しやすくなったことで働く人の企業選びの目も厳しくなっていますし、女性の活躍、男性の育休取得率向上など、働き手である私たちを取り巻く環境は大きな転換期に突入しつつあります。
そうした意味から考えると、「残業の多い、少ない」にだけ目を向けるのではなく、働き方そのものを総合的に考えていく必要があるといえるでしょう。そのバロメータになるのが欧米と日本の働き方に対する意識の違いです。
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【たくさんの仕事量を精力的にこなし、残業をいとわない人に対する意識】 日本 → あの人は、いつも残業して頑張っている。自分も見習って頑張らないと……
欧米 → あの人は、残業しないと他の人に追いつけない能力が低いだめな人……
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単純計算でも、トータルすると月の食費がかなりかさむことがわかりますね。
効率性を重視した短時間労働が浸透し、プライベートと仕事を「完全な別物」をとらえる欧米のように、日本企業も仕事の効率化を重視する傾向に変化しつつありますが、とはいえ、個人レベルに落とし込んでいくと、仕事のできる人はプライベートや家庭を犠牲にして頑張っている……という前時代的意識が、まだまだ完全に払拭されていない、といえるのかもしれません。
古い時代の働き方は、労働時間=「数量」をひたすら積み重ねて結果を出していくものでした。しかし「数量」から「質」へと変化した現代では、効率・生産性をあげて企業価値を創出することが競争力の源泉になるという意識が浸透し、従業員の残業削減に取り組む企業が増えています。
そうした大きな変化のなか、最近着目されているキーワードがライフワーク・バランスです。ライフワーク・バランスとは、誰もが多様な働き方や生き方に挑戦できる機会が提供されていて、かつ、子育てや介護などの状況に応じて働き方や生き方を自由に選択できる社会を理想としたもの。
つまり、仕事探しの際には単に「残業」だけに目を向けず、「男女ともの育児休暇取得の推奨」「育児・介護休暇制度」「フレックスタイム制」「短時間勤務制度」「長時間労働の削減」「テレワークの導入」「有給休暇の利用促進」などに代表されるライフワーク・バランスの取り組みに熱心な企業に着目してみましょう。こうした少し広い視点での企業選びが、ミスマッチを出じさせない上手な仕事選びの手がかりになるはずです。
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