「休みが多い仕事」の魅力や特色を知り、希望にかなう職場と出会おう
2023/8/4 更新
日本企業の年間休日平均日数は107日。ランキング1位の業界は?
海外と比較して「働きすぎの日本人」とよく言われますが、日本人は年にどのくらい休んでいるかご存じですか?
令和4(2022)年に公表された厚生労働省の「就労条件総合調査」によると、日本企業の年間休日平均日数は107日となっていますが、産業別の平均年間休日総数(下表)を見ると、10位以下は平均日数の107日を下まわっていることがわかります。さらに、最下位にランクインした「宿泊業、飲食サービス業」の年間休日平均日数は97.1日となり、100日を大きく下まわる結果に。
1位の情報通信(IT)業より、工場勤務は年間休日平均日数が多い?
多くの業種の年間休日平均日数がわかったところで、気になるのが工場勤務者の休日事情ですね。
工場といっても業種や製造しているものは大きく異なるため、あくまで平均的な数値になりますが、工場勤務の年間平均休日数は120日前後と、前章のランキング1位の情報通信(IT)業の118.8 日と肩を並べる数値になっています。
加えて、日本企業の年間休日平均日数の107日と比較しても13日多く、工場で働く人は、他業種の人より多めの休日をとっていることになります。
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日本企業の年間休日平均日数 → 107日
厚生労働省調査による年間休日平均日数の業種1位 → 118.8日
工場勤務の年間休日平均日数 → 120日前後
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さらには、年間休日平均日数が130日を超える大手メーカー直営の工場もあり、シフトをうまく組むことによって月の半分がお休みになる……という実例もあるというから驚きです。
自然に囲まれた郊外の家電メーカーの工場に、夫婦揃って転職
工場勤務者の意外な休日事情がわかりましたが、いまだに「工場勤務は残業や深夜のシフトが多い」「休みが少ない」というイメージが一部に根強く残っているのも事実です。
しかしその考え方は古い時代の話で、信州の大手メーカーの大規模工場に40代半ばで転職した人のなかには、キャンプ、釣り、登山などのアウトドア体験を満喫するため、休日が多い地方の工場探しを始め、その半年後に転職を兼ねて関東から移住した人も!
しかしその考え方は古い時代の話で、信州の大手 あるいは、都内で忙しい毎日を過ごしていた共働き夫婦のケースでは、子どもが生まれたことをきっかけに、豊かな自然環境で幼い子育てをしたいという思いが強まり、首都圏から2時間ほどの郊外の大手食品メーカーの工場に夫婦そろって転職。この工場は土日が休みで年間の休日数も多いことから、転居して3年が経った現在は、近所の人と一緒に野菜づくりを楽しんだり、山菜採りなどに出かけて、家族の時間を大切にする理想のライフワークバランスを実現できているそう。
しかしその考え方は古い時代の話で、信州の大手た人たちのように、オンとオフを上手に切り替え、メリハリある生活を楽しみたい、仕事に追われたくない、年をとっても続けられる趣味を究めたいという思いに共感する人は、工場選びをスタートさせる前に次のポイントをひとつずつ確認していきましょう。
まずは、“24時間フル稼働”の工場かどうかを確認しよう
工場によって勤務体系はさまざまですが、コンビニを訪れる個人客向けのおにぎりや惣菜を製造する工場や、食パンや和菓子等をスーパーや小売店に卸す大手食品メーカーの工場では、各工場で製造された製品を順次トラックで配送するため、24時間フル稼働していることが多いといえます。
こうした24時間態勢で稼働する工場では、製造ラインを止めないため日勤・夜勤の「2交替制」、日勤・夜勤・深夜の「3交替制」などのシフト制を導入していることが一般的で、自分がその工場に勤務したとき、どのようなシフトに入るのかをあらかじめ理解することが大切です。
なお、以前までの工場勤務は、日勤と夜勤のシフトが交互に組まれる「2交替制」や「3交替制」が主だったものでしたが、最近は「従業員の心身への負担軽減」「プライベートタイムの充実」などに配慮し、「4勤2休」「3勤1休」「5勤2休(平日休み)」などの勤務体系を導入する工場も増えています。
「年間休日数」 は、希望どおりに働けるかを見極めるための手立てに
これから仕事を探そうとしている人は、どうしても給与や時給に目がいきがちですが、プライベートタイムの多様化に伴って、最近は趣味や家族と過ごす時間を軸に置いたうえで、仕事を選択する人も増えています。そうした人たちが最も注目するのが「年間休日平均日数」です。
「残業をいとわずがっつり稼ぎたい」という人から、「仕事より自分の時間を大切にしたい」「親の介護や、家族の闘病を支えるため平日に休みたい」など人によって希望条件は異なります。
そうした人は自分の希望にかなう職場に出会うため、自分が働く際の休日を含んだ勤務状況などから働き方を具体的に想像し、その職場が「希望に合っているか」「希望から外れているか」のボーダラインを自分できちんと引けるようにすることが大切です。
一例として下図のチェックポイントをもとに、気になった工場の「休日」を見極めていきましょう。
【3勤1休】 月~金曜の平日5日勤務より、疲れが蓄積しづらい
3日連続で勤務した後に1日の休日がとれる「3勤1休」は、タクシードライバー、医療機関・介護施設などの夜間勤務がある職場や業界で広く取り入れられている、4日間を1セットにした勤務体系です。
※図では、日勤、夜勤、深夜勤の勤務体系になっていますが、これはあくまで一例です。
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「3勤1休」のメリット
・小さな子どもをもつ親、仕事と親の介護を両立させたい人、
プライベートの時間を確保したい人にとって、働きやすい勤務体系
・4日を1セットにした短いスパンのなかで、リズムよく生活を組み立てられる
・体への負担は少なく、
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「3勤1休」のデメリット
・土日に休みをとれないことが多い
・家族旅行や子どもの運動会などの学校行事に参加しずらい
・慣れるまでは夜間と日中が交互のシフトに心身の負担を感じることも
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とはいえ、「3勤1休」の職場では比較的女性が多い傾向にあることも特色で、最近は上司にあらかじめ申請しておけば、休みを許可してくれるところも多くなってきています。勤務体系に伴う心配事があれば、面接時にしっかり確認するようにしましょう。
【4勤2休】 予定を立てやすい分、日中⇆夜間の勤務がきつく感じることも
4日連続の勤務後に2連休をとる、6日間を1セットにした勤務体系を「4勤2休」と言います。
6日間を1セットとして、これを月に4〜5回繰り返す「4勤2休」は、1カ月あたりの休日数が約10日ほどになり、年間に置き換えると120日程度の休日をとれることに。この計算の基づくと「4勤2休」で働いている人のなかには、1年のうち3分の1が休日……という人もいます。
※図では、日勤、夜勤、深夜勤の勤務体系になっていますが、これはあくまで一例です。
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「4勤2休」のメリット
・平日ながらも、休日数は比較的多い
・シフトが決まれば1〜2カ月先までの勤務体系が
わかるため、その間の予定が立てやすい
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「4勤2休」のデメリット
・図のとおり「4勤2休」は、平日の休みが多い
・曜日が固定されないことが多い
・夜間と日中の勤務が交互に続くことで、体力的にきつい場合も
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平日ながらも休日数が比較的多い一方、「4勤2休」では「日勤」→「夜間」→「深夜」と働く時間帯が異なるシフトを組んでいる場合もあるため、働き始めたあとに「こんなはずじゃなかった」とすぐに辞めることがないよう、面接時に担当者に質問してミスマッチの要因は潰しておきましょう。
また、日勤と夜勤が混在する勤務体系が初めての人は、突然の変化と負担にからだが反応し、1カ月〜2カ月は体力的にきつく感じるかもしれませんが、健康管理と快眠を心がけ、少しずつからだを環境に順応させていきましょう。
【実例アリ】4勤2休はキツイ?5勤2休との違いやシフトについて詳しく解説
【5勤2休】さまざまなパターンがあり、決まった曜日に休みをとれることも
1週間のうちの5日を勤務に充て、残りの2日を休む「5勤2休」は、24時間稼働の工場や医療・福祉施設、年中無休の大手百貨店や商業施設などに多く取り入れられている勤務体系です。
「5勤2休」は、月曜から金曜の平日に連続して働き、土日などに休みを固める「週休2日」とは異なり、「日曜と平日1日をセットにした2休」「土曜と平日1日をセットにした2休」「平日のなかでの2休」といった具合に、「平日のみの2日の休日」「平日と週末をからめた2日の休日」を示します。
また、「4勤2休」や「3勤1休」と、「5勤2休」が大きく異なる点は、以下のようになります。 ・「4勤2休」や「3勤1休」は、休日の曜日が決まっていないことが多い ・「5勤2休」は、まった曜日を休日に設定できることが多い
この違いによって、「5勤2休」で働く人の場合、「その週に祝日がある場合はイレギュラーだけど、基本的に自分が休める日は、毎週火曜と土曜」と、友人に伝えることができ、予定を立てやすい点が魅力といえるでしょう。
まとめ
本記事では休日数が多い工場のさまざまな勤務体系をご紹介しましたが、ご紹介した内容はあくまで一般的なものであり、業種や得意先の特性、場所を含めた働く環境によって勤務体系は異なることを理解しておいてくださいね。
そして何より、最も大切なことは、「自分は何を優先させたいのか」を突き詰めていくことにあります。
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●趣味の時間や、プライペートタイムを優先させたい人なら……
希望を実現するために、休日数が多い勤務体系を組んでいる職場を探しましょう
●育児・介護などと仕事をうまく両立させたい人なら……
土日休みが多くて長期休暇をとりやすく、日中勤務がメインの自宅から通える範囲にある
自動車メーカーや家電メーカーの工場を探してみましょう
●暮らしに困らない程度の収入を得ながら、個人的な事情を優先させたい人なら……
年間休日数が多い勤務体系を敷いている職場を探しましょう
●短期でしっかり稼ぎ、目標のために貯金をしたい
お金が最大の目的の人は、残業が多い工場や深夜勤務のシフトがある職場を探しましょう
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——プライベートをに軸を置いた自由度の高い生き方を選択する人の増加に伴い、採用する側も働き手を確保するため、休日の数を増やすとともに、従業員の意向をシフトに反映させるところも増えています。 働き手のみなさんも、「年間休日平均日数の多さ」や「長期休暇のとりやすさ」「希望に合った勤務体系」などの条件から、「収入」「オンとオフのメリハリ」「プライベートタイムの充実度」を推し量り、ぜひ希望にぴったりの職場とめぐりあってくださいね。