仕事に限界を感じるサインとは？心身に現れるストレス症状や対処法を解説

「この仕事を続けるのは無理かも」「仕事がつらいと思うのは甘えなのかな」……と悩みつつも、どうにか仕事を続けている人もいるでしょう。しかし、仕事に限界を感じるような状態のまま働いていると、過労によるストレスで身体を壊してしまう恐れがあります。そのため、仕事のストレスが限界に来ているというサイン（身体に現れる症状）を見逃さず、状況に応じて早めに対処することが大切です。

仕事のストレスか限界に来ているときのサインには、肉体的・精神的な変調を含めてさまざまな症状があります。以下、現れやすい主な症状をいくつか紹介しますので、自分に当てはまるものがないかチェックしてみましょう。

頭痛や肩こりが取れない、下痢をしやすい、胃がムカムカする、風邪をひきやすい、発疹が出る、生理不順などの症状が続いている場合、体だけでなく精神的にも疲れている可能性があります。会社を休むほどではないものの、こうした不調が続くときは注意が必要です。休養しても症状が治まらなかったり、症状が悪化したりするようであれば、早めに医療機関を受診することをおすすめします。

「寝付きが悪くなった」「夜中に何度も目が覚める」「いくら寝ても疲れが取れない」といった睡眠障害や、「食欲がない」「甘いものを食べ過ぎる」「飲酒量が増えた」といった食生活の変調は、身体からのSOSサインかもしれません。とくに、日常生活に支障が出るような不眠や、短期間に大きな体重増減がある場合は、心身のストレスが限界に来ている可能性があります。

ストレスが溜まって心身に負荷がかかりすぎると、日々の生活習慣をこなすことも面倒になりがちです。そのため、洋服の手入れやコーディネート、ヒゲ剃りやメイク、ヘアケアなど、社会人のマナーである身だしなみに配慮できなくなることがあります。とくに、周囲は異変に気づいているのに本人は無自覚という場合、うつ病を発症している可能性があります。

些細なことで怒りやすくなったり、泣いたりすることがある場合も、精神的なストレスが限界に来ている可能性があります。たとえば、他人の言動や周囲の状況にイライラしてしまう、すぐにキレて怒鳴ってしまう、理由もなく涙がこみあげてくるなど、ネガティブな感情がコントロールしにくくなります。これらはうつ病にも見られる症状なので、早めの対処が必要です。

これまで楽しいと思ってやっていたことが、急に楽しめなくなった、楽しむ気力がわかないという状態も、心に余裕がなくなっているサインです。ずっと続けてきた趣味に興味がなくなったり、友人や家族との会話が面倒に感じたりする場合、うつ状態になっている可能性があります。

心が疲れて家族や友人と話すのが面倒になると、一人で考え込んだり悩んだりすることが増え、その結果、つねに孤独感・孤立感を抱えてしまうことになります。周囲の人に否定されたくない、話しても理解してもらえないという気持ちが強い場合は、ストレスが限界に来ていることを自覚した方がいいでしょう。

これまで問題なくこなしていた仕事でミスが増えている場合も、過度なストレスが原因となっている可能性があります。たとえば、「今までよりも業務にかかる時間が増えた」「チェックしているつもりでも見逃しが多い」といったケースです。この状態で仕事を続けていると、上司や周囲からの注意・指摘が増えて、精神的なストレスがさらに増大してしまう恐れがあります。

仕事をするうえで「何にストレスを感じるのか」は人それぞれですが、仕事のストレスが限界に達する原因を把握すると、適切な対策を講じることができます。ここからは、仕事が限界と感じる場合によくある5つの原因を解説しますので、自分がどのような状況や場面でストレスを感じているのか、あらためて確認してみてください

長時間労働や休日出勤、日々の業務量や残業が多いなど、会社の労働環境に問題があると、心身のストレスがどんどん蓄積していきます。そうした状況で働き続けていると、身体を休めてリフレッシュすることができず、心身ともに疲労困憊（ひろうこんぱい）して体調を崩してしまう恐れがあります。

職場の人間関係によるストレスも、仕事に限界を感じる大きな原因のひとつです。とくに、上司や先輩からパワハラを受けていたり、職場に派閥があって人付き合いが難しかったりすると、過度なストレスから精神的に追い込まれてしまう可能性があります。

自分の能力を周囲の仲間と比較して、仕事に限界を感じてしまう人もいるでしょう。他人と自分を比べてばかりいると、仕事がうまくいっても喜べなかったり、小さなミスで過度に落ち込んだりすることが増えていきます。その結果、自分に自信が持てなくなり、仕事をする気力も失ってしまう可能性があります。

実績に見合う評価や給与が得られないと感じていると、会社に対する不満がストレスとなって、仕事へのモチベーションも低下してしまいます。ネガティブな気持ちで日々の業務に携わっていると、仕事の質や生産性が下がり、社内での評価も下がるという悪循環に陥ってしまう恐れがあります。

「仕事でミスをしたらどうしよう」「仕事で失敗したくない」といったプレッシャーが続くと、過度な緊張やストレスから限界を感じてしまう人もいるようです。とくに、入社直後は仕事や環境に慣れず、ミスが増えてストレスを感じる場面も多くなります。

しかし、仕事のミスや失敗は経験を積むことで減らせるので、まずは先輩から学んだり勉強したりして、仕事に必要なスキルを身につけましょう。また、仕事へのプレッシャーがあまりにも強い場合、仕事自体が合っていない可能性もあるため、「自分にマッチした仕事は何か」について、転職を視野に入れて考えてみることも大切です。

ストレスの感じ方や耐性には個人差がありますが、以下の特徴に当てはまる人は、仕事のストレスや限界を感じやすい傾向にあります。自分自身の傾向を知り、行動や考え方を見直すことで、仕事のストレスを軽減できる可能性もありますので、ぜひ参考にしてみてください。

何事にも妥協せず、一つひとつの業務に全力で取り組む完璧主義の人は、仕事のストレスや限界を感じやすい傾向にあります。すべてに最高の結果を出さないと納得できないため、些細なことでも完璧にやろうとして仕事量が増えてしまい、結果的に疲れ切って限界に達してしまうこともあるようです。

責任感が強く何事にも我慢してしまう人は、他人のミスを自分で補おうとしたり、「つらい」という気持ちを「自分の甘え」と捉えてしまう傾向があります。その結果、自分の許容範囲を超えて無理をしてしまい、弱音を吐けずにストレスを溜め込んでしまうのです。

競争心が強く自分に厳しい人は、努力家で仕事にもエネルギッシュに取り組みます。その反面、「他人に負けたくない」という気持ちから過剰な負担が生じたり、結果を出すことにプレッシャーを感じたりして、自分で自分を追い詰めてしまう傾向があります。

周囲に気を遣いすぎる人は、他人の反応や要求を優先して、自分を抑圧してしまう傾向があります。自分に余裕がなくても「迷惑をかけたくないから」と一人で仕事を抱え込んだり、周囲の目や評価が気になって発言を控えてしまうなど、自分を抑え込んで他人に配慮するため、心身ともに疲れ切ってしまうのです。

仕事とプライベートの切り替えがうまくできないと、就業後や休日も心身が休まらず、ストレスを発散してリフレッシュすることが難しくなります。とくに、自宅に仕事を持ち帰ることが多い人は、日ごろの生活パターンや業務の進め方などを見直して、オンとオフをしっかりと切り替えることが大切です。

また、プライベートで悩みや不安があると、それがストレスになって仕事に集中できず、業務に影響が出る可能性もあります。育児や介護などで不安がある場合は、上司に相談して業務量を調整してもらうのもいいでしょう。

仕事に限界を感じたとき、そのまま放置しても状況が改善されることはありません。以下、仕事に限界を感じたときの対処法を6つ紹介しますので、自分に合った方法を試してみてください。

まずは、自分の中でストレスとなっている原因を、紙に書き出して言語化してみましょう。たとえば、「何にストレスを感じているのか」「なぜそれがストレスなのか」「改善するためにどんな方法があるのか」といった点を、具体的な言葉として整理することで、自分が取るべき行動や改善策を見つけやすくなるでしょう。

仕事に限界を感じたら、まず職場の上司や先輩、家族や知人など、信頼できる周囲の人に相談してみてください。上司や先輩に相談する場合は、仕事上の問題点や現状を具体的に伝え、可能であれば改善策を提案してみるのもいいでしょう。家族や友人への相談は、直接的な問題解決につながらないかもしれませんが、悩みや不満を聞いてもらうだけでも不安が和らぎ、気持ちが楽になることもあります。

仕事に限界を感じたときは、有休を取って仕事と距離を置くのも有効な手段です。心身ともに疲れていると判断力が低下し、退職の決断を急いでしまうこともあるため、まずは自分の心と体を癒す時間を確保しましょう。少しの間、休みを取ってリフレッシュすることで、メンタルや体調のコンディションが整い、仕事に取り組む意欲が取り戻せる可能性もあります。

体調不良などで長期的な休みを取りたい場合は、休職することも検討してみましょう。ただし、休職に関する規定は会社ごとに異なり、職場や雇用形態によっては休職制度が利用できないこともあります。休職を希望する場合は上司や人事・総務に相談して、規定の内容や申請方法について確認してください。また、疾病による休職には医師の診断書が必要となりますので、早めに受診することをおすすめします。

職場の人間関係や仕事内容がストレスの原因となっている場合、部署異動を申し出るのも有効な手段のひとつです。部署を異動することで、周囲で働く人や仕事内容が変わるため、人間関係をリセットして新たな気持ちで仕事に取り組むことができるでしょう。部署移動を申し出る際には、異動したい理由や希望を明確にしてから、直属の上司に相談してください。

さまざまな対処法を試しても、状況の改善が見込めない場合、思い切って転職を検討するのも選択肢のひとつです。可能であれば、会社を辞める前に転職活動を始め、次の仕事を決めておくと経済的にも安心できるでしょう。ただし、会社を辞める際には、少なくとも退職希望日の1ヵ月前までにその旨を伝え、後任者への引き継ぎなども責任をもって行うのがマナーです。

今回は、仕事のストレスが限界に達する原因や心身に現れるさまざまなサイン、具体的な対処法について解説しました。

仕事が限界と感じる原因や、何をストレスと感じるかは人それぞれですが、いずれにしても自分の心と体を守れるのは自分自身です。「仕事を続けるのがつらい」「もう限界かも」と感じるのは、決して甘えではありません。ストレスに押しつぶされて働けなくなる前に、心身が発するSOSのサインを見逃さず、自分にとって最善の改善策を見つけてください。

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