引っ越しが先か、仕事探しが先か、移住と転職をスムーズに進めるコツ
2023/4/5 更新
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■目次
- ●移住に関して知っておきたい基礎知識
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・そもそも移住とは?
・今さら聞けないUターン・Iターン・Jターンの違い
- ●調査データから見た移住に関する社会的傾向
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・東京圏で移住に関心のある人の割合
・移住に関心が高い年齢層
・移住を意識したきっかけ、検討する理由
・移住に多いのは単身? 家族?
・最近の移住者数は?
- ●人気の移住先や決め手となったポイントは?
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・人気の移住先ランキング
・移住先を決めたポイント
- ●移住先の仕事事情や転職するためのコツ
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・仕事を決めるのは移住前? 移住後?
・移住先で就きやすい仕事、人気の業種は?
- ●移住で失敗しないための下準備
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・移住支援制度について調べる
・仕事体験・移住体験ツアーに参加する
・移住セミナーや相談会に参加する
・寮付きの短期就業で実際に住んでみる
- ●仕事を決めて移住する方法
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・農地付きの住宅物件を探す
・移住専門の求人サイトから探す
・寮完備の工場の仕事を探す
移住に関して知っておきたい基礎知識
そもそも移住とは?
「移住」という言葉に明確な定義はありませんが、広い意味では「主たる生活拠点を別の場所に移す」ことを指します。とはいえ、「会社に近い場所へ引っ越す」というよりは、「新しいライフスタイルを求めて、都会から地方へ引っ越す」と言った方が、一般的な移住のイメージに近いかもしれません。
ここ近年、少子高齢化や人口減少が進行する地方では、地域活性化を図るために移住を歓迎する自治体が増えており、移住セミナーや相談窓口などを通して、都会からの移住者を積極的に受け入れています。また、移住にともなうサービスや支援に力を入れ、子育て世代や若年層の移住者に対して、就業サポートやマイホームの資金援助などを行っている自治体もあります。
今さら聞けないUターン・Iターン・Jターンの違い
都会から地方へ移住する主なパターンとしては、移住の動線を示す「Uターン型」「Iターン型」「Jターン型」の3つがあります。以下、それぞれの違いや特徴について見ていきましょう。
《Uターン型移住とは?》
生まれ育った地域から、進学・就職を機に都会へ移り住んだ後、再び生まれ育った地域に戻って住むことを指します。生まれ育った地域の自然環境、ゆとりのあるライフスタイル、親と近い距離での生活などを重視する人が、Uターン移住するケースが多いようです。
《Iターン型移住とは?》
主に都市部で生まれ育った人や生活拠点を持つ人が、地方の新たな可能性や魅力に惹かれて移り住むことを指します。都市部の方が利便性に優れていたとしても、子育てに適した自然豊かな環境や、起業・仕事をする上で有利となる資源・環境を求めて、地方に移住するケースが年々増えています。
《Jターン型移住とは?》
生まれ育った地域から、進学・就職を機に都会へ移り住んだ後、生まれ育った地域に近い地方都市(県内や隣接した主要都市など)に移り住むことを指します。ほどよい地元感とともに、生まれ育った地域にはない利便性と、都会にはない自然環境を併せ持つ「故郷に近い地方都市」へ移住するJターンは、若い世代を中心に人気の移住スタイルとなっています。
調査データから見た移住に関する社会的傾向
では次に、「内閣官房 まち・ひと・しごと創生本部事務局」が、東京圏(東京・千葉・埼玉・神奈川)に住む20~59歳の1万人を対象に実施したアンケート調査のデータをもとに、地方移住に関する社会的な傾向を見ていきましょう。
東京圏で移住に関心のある人の割合
まず、同調査で地方移住に関心がある(意向あり)と答えた人の割合は、以下のようになっています。
このように、全体の約半数の人が地方移住に対して意向(興味)があると答えています。東京圏出身者と比べると、地方圏出身者の関心がやや高い傾向にありますが、移住への関心の高さはUターン・Iターン・Jターンに限らず、東京圏に住む人の全体的な傾向といえるでしょう。
移住に関心が高い年齢層
以下のグラフは、同調査の結果を「移住を計画している」「検討している」「関心がある」「意向がない」「以前は興味があったが断念した」の5つに分類し、それぞれの平均年齢を示したものです。
このグラフを見ると、「計画している」と答えた人の平均年齢が最も低く、「意向がない」と答えた人の平均年齢が最も高くなっています。とくに、20~29歳の若年層は「計画している」と答えた人が全年齢層の中で最も高く、逆に「意向がない」と答えた人が全年齢層の中で最も低くなっています。この結果から、若い世代ほど地方移住への関心が高いことがうかがえます。
移住を意識したきっかけ、検討する理由
また、移住の意向があると答えた人に対して、そのきっかけを尋ねた質問では、全体で「将来のライフプランを考えたことがきっかけ」が26.4%と最も高く、次いで「現在の生活や仕事に疲れを感じたことがきっかけ」が21.7%となっています。さらに、これを出身圏別に見ると、地方圏出身は「帰省したことがきっかけ」、東京圏出身は「旅行がきっかけ」の割合が高くなっているのが特徴です。
また、移住を検討する理由については、全体で「豊かな自然環境があるため」が 54.8%と突出して高く、次いで「生まれ育った地域で暮らしたいため」が16.2%となっています。それ以外では、「東京圏での生活が自分に合っていないと感じたため」「子育てする環境が整っていると感じたため」などの理由が、地方圏・東京圏とも割合が高くなっています。
以上の点から分析すると、「将来を見据えた、都会にはない環境面・経済面での暮らしやすさ」が、地方移住において注目されるポイントとなっていることがわかります。
※参考URL/内閣官房 まち・ひと・しごと創生本部事務局「東京圏在住者の約半数が、地方圏での暮らしに関心あり」報告書(令和2年) ijuu_chousa_houkokusho_0515.pdf (chisou.go.jp)
移住に多いのは単身? 家族?
同じく「内閣官房 まち・ひと・しごと創生本部事務局」が、2020年4月以降、東京圏から地方圏に移住した人を対象にしたアンケート調査によると、同居者(世帯構成員)を伴う移住は71.5%、単身での移住は28.5%となっています。この傾向から見ると、将来にわたって、家族とともにその地で生活することを前提に、地方へ移住する人が多いことがわかります。
最近の移住者数は?
移住者数(移住目的の移動者数)という括りでのデータはありませんが、総務省統計局の住民基本台帳人口移動報告によると、2021年の都道府県間移動者数は、約247万6640人(対前年比0.5%増)。このうち、移住目的の移動者数は不明ながらも、1年間で相当数の人が都道府県をまたいで居住地を移していることがわかります。
転入者数を都道府県別に見ると、前年比で転入者数が最も増加したのは茨城県(3501人、6.6%増)、次いで埼玉県、神奈川県となっています。 一方、前年比で転入者数が最も減少したのは東京都(1万2763人、2.9%減)、次いで大阪府、沖縄県となっています。 また、転入者数の対前年増減率を見ると、山梨県が最も増加しており(13.2%)、次いで長野県(6.7%)、茨城県(6.6%)となっています。
人気の移住先や決め手となったポイントは?
人気の移住先ランキング
では、移住先として人気が高いのはどの地域なのでしょうか。全国の自治体と連携して地方移住を支援する「認定NPO法人 ふるさと回帰支援センター」が発表した、移住希望者に人気の「移住希望地域ランキング(2021年)」は以下の通りです。
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《1位・静岡県》
温暖な気候と豊かな自然に恵まれた静岡県は、首都圏や中京圏などの都心部にも近く、利便性の高い地域であることも魅力のひとつです。富士山や太平洋に囲まれた雄大な自然の中で、ゆったりと子育てがしたいというファミリー層にも人気となっています。県内の各市で独自の移住支援制度を設けており、目的に合わせた移住先選びができるのも人気の理由となっています。
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《1位・静岡県》
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《2位・福岡県》
九州北部に位置する福岡県は、本州と九州を結ぶ交通の要所で、韓国や中国にも近いアジアの玄関口として、近隣国からの旅行者も多く訪れます。海や山の幸に恵まれた立地にあることから、さまざまなご当地グルメや、新鮮で美味しい食べ物が堪能できるのも魅力。東京・大阪と比べて物価や地価が安く、経済的負担が少ないのも人気の理由となっています。
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《2位・福岡県》
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《3位・山梨県》
東京都に隣接する山梨県は、都心へのアクセスも良いため、都内に勤務しながら移住することも可能です。県や県内の自治体では移住支援制度を充実させ、移住者の受け入れを積極的に進めており、子育てや就業、住宅などの手厚い支援があることも人気のひとつです。
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《3位・山梨県》
同じく、4位~10位のランキングは以下の通りです。やはり、海や山などの自然に恵まれた地域が人気のようですね。
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●4位・長野県 ●5位・群馬県 ●6位・広島県 ●7位・宮城県
●8位・岐阜県 ●9位・栃木県 ●10位・神奈川県
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●4位・長野県 ●5位・群馬県 ●6位・広島県 ●7位・宮城県
※参考URL/ふるさと回帰支援センター「2021年移住希望地域ランキング」 https://www.furusatokaiki.net/topics/press_release/p46839/
移住先を決めたポイント
実際に移住した人のコメントやアンケートなどを見ると、移住先を決めたポイントとして「その地域の魅力(豊かな自然環境や風土、利便性、物価の安さ、移住支援制度など)に惹かれた」という声とともに、以下のような意見も多く見受けられます。
たとえば、「自分や親族、同居人の出身地だった」「旅行などで訪れたことがあった」「自分または同居人の家業を継ぐため」「希望する仕事や職場があった」「親を介護するため」……など、個人的な事情や縁故による事由も、移住先を決めたポイントとなっているようです。
移住先の仕事事情や転職するためのコツ
以上、さまざまなデータからもわかるように、地方移住は若い世代を中心に関心が高く、「移住にともなって転職する」あるいは「転職のために移住する」というケースも年々増えています。
では、移住先で新たな仕事に就く場合、仕事探しはどのタイミングで始めればいいのでしょうか。ここからは、移住と仕事探しの進め方のポイントとともに、移住先で就きやすい仕事や人気の業種を紹介します。
仕事を決めるのは移住前? 移住後?
移住にともなって転職する場合、移住してから(引っ越してから)仕事を探す人もいれば、仕事を決めてから移住する(引っ越しする)人もいます。
ただ、移住してから仕事探しを始めると、早く仕事を決めようと気持ちが焦って、ミスマッチな仕事を選んでしまう恐れがあります。また、地域によっては就職できる業種や職種が限られてしまい、希望する仕事がなかなか見つからない可能性もあります。
一方、移住する前に仕事を決めておけば、「賃貸物件や融資の審査が通りやすい」「職場を軸にして住むエリアを絞りやすい」「収入面の不安がなくなる」などのメリットがあります。こうした点を考えると、移住先の検討と仕事探しはセットで進め、可能であれば事前に仕事を決めておいた方が安心できるでしょう。
移住先で就きやすい仕事、人気の業種は?
《観光宿泊業》
地方の中でもとくに観光地は、ホテルや観光関連企業の求人が多くありますので、観光宿泊業に興味のある人は観光地への移住も選択肢のひとつとなるでしょう。自治体によっては、移住を考えている人を対象に、地元の旅館やホテルでの仕事体験を組んだツアーを募集しているケースもあります。
《製造業・工場勤務》
広大で割安な敷地が確保しやすい地方部には、大手メーカーの工場が多く点在しています。ここ近年、人手不足が深刻化している製造業の工場では、年間を通して求人数も多い傾向にあります。工場勤務は基本的に学歴や経験は問われませんので、比較的スムーズに仕事に就きやすく、健康であれば長く働くことも可能でしょう。また、多くのメーカーは工場近くに寮を完備しているため、家賃の負担が軽減できるなどのメリットもあります。
《介護業》
介護業も全国的に人手不足が深刻化しており、地方でも介護スタッフやヘルパーなどのニーズが年々高まっています。介護関連の資格を持っている人はもちろん、資格がない人でも働きながら資格取得やスキルアップを目指すことで、地域の介護現場を支えながら、将来的にも活躍の場が広がるでしょう。
《一次産業》
農業や漁業、林業などの一次産業は、地方を中心に年々担い手が減少しています。そうした中、移住希望者から人気となっているのが農業です。
ただし、一次産業の求人が転職サイトなどに掲載されることは少ないため、新規就農相談センターで探したり、各自治体の就農相談会などに参加したりと、他の業種に転職するよりも若干ハードルが高くなります。
さらに、農業などの一次産業は、それ相応のスキルと販路の確保などが必要になります。そのため、各自治体や近隣農家が新規就農者をサポートするケースかほとんどです。また、農業を専業にせず、他の仕事と兼業する「半農半〇」という働き方を選択する人もいます。
《地域おこし協力隊》
地方移住者を対象に、政府主導で行われている仕事が「地域おこし協力隊」です。これは、地方自治体が都市部からの移住者を「地域おこし協力隊員」として任命し、農業漁業への従事、地域の魅力発信、イベント運営などの協力活動を行いながら、その地域への定住定着を図る取り組みです。この制度は2009年にスタートし、2020年度は5500人以上の移住者が、全国各地の地域おこし協力隊として活動しています。
地域おこし協力隊の仕事では、プロモーションが求められることも多いため、SNSなどで積極的に発信できる人が向いているでしょう。具体的な仕事内容や条件、報酬や待遇は、参加している地方によって異なりますので、興味がある人は各自治体の情報を確認してみてください。
移住で失敗しないための下準備
移住したことを後悔しないためにも、事前の情報収集や下準備は念入りにしたいものです。ここでは、移住を検討する際に調べておきたいこと、やっておきたいことをまとめて紹介します。
移住支援制度について調べる
国や地方の自治体では、移住者を対象にしたさまざまな移住支援制度を設けています。自治体では独自の制度を設けている場合が多く、移住者への経済的支援を中心に、移住しやすい環境づくりや生活面のサポートに力を入れています。移住支援制度の詳しい内容は、各自治体のホームページや移住支援サイトで検索できますので、まずは支援制度の情報を集めて検討してみましょう。
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《移住支援制度の一例》
●地元企業と連携した仕事紹介などの就職支援、起業支援
●地元企業に就職した人や、地元で起業した人に移住支援金を支給
●住宅購入・リフォームにかかる費用の補助や家賃補助
●空き家の紹介や家賃無料・格安での提供
●小学生以下の子どもがいる世帯への引っ越し代補助、子育て支援
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《移住支援制度の一例》
仕事体験・移住体験ツアーに参加する
全国の自治体では、移住後の生活をリアルに体感できる、さまざまな体験ツアーを実施しています。たとえば、地元企業と連携した仕事体験、農作物の収穫体験、古民家での移住体験、格安家賃での短期~長期の滞在体験……など。各自治体のホームページや移住支援サイトから申し込むことができますので、ぜひチェックしてみてください。
移住セミナーや相談会に参加する
移住ランキングでも紹介した「ふるさと回帰センター」では、移住先探しや移住に関する相談のほか、移住マッチングフェアやセミナーなどのイベントも定期的に開催し、全国各地の移住情報がワンストップで入手できます。また、各自治体でも担当窓口での個別相談や、移住セミナー・相談会などを実施していますので、気になる地域があればぜひ参加してみましょう。
※参考URL/ふるさと回帰支援センター
国内唯一!全国の移住相談ができる窓口|ふるさと回帰支援センター (furusatokaiki.net)
寮付きの短期就業で実際に住んでみる
移住先の生活環境や住み心地を確かめるなら、寮付きの短期就業で実際に住んでみるという方法もあります。たとえば、期間限定で働く工場の期間工なら、工場近くに格安(無料の場合も)の寮が用意されていますので、住む場所を探す手間や、家賃の負担も少なくて済みます。必ずしも希望する地域に仕事があるとは限りませんが、実際に住んで・働きながら日常生活を送ることで、その地域の新しい魅力が発見できるかもしれません。
仕事を決めて移住する方法
先述したように、移住にともなって転職する場合、移住先の検討と仕事探しはセットで進めるのがおすすめです。では、仕事を決めて移住するには、どのような方法があるのでしょうか。
農地付きの住宅物件を探す
移住先で農業の仕事に携わる場合、農地と住宅をセットで借りる(購入する)人も多いようです。ただし、農地付きの住宅物件は、一般の不動産サイトに掲載されることが少ないため、各自治体の相談窓口や移住支援サイトなどを通して、移住先の物件情報を入手するといいでしょう。また、自治体によっては新規就農を希望する移住者に、農地付きの割安物件を紹介してくれる場合もあります。
移住専門の求人サイトから探す
移住専門の求人サイトは、地方を中心としたさまざまな地域の求人情報を紹介しており、地域別や業種・職種別に検索して、自分が希望する移住先と仕事を見つけることができます。なかには、全国各地の一次産業に特化した求人サイトもありますので、農業や酪農、水産業などの仕事をしたい人はぜひチェックしてみてください。
寮完備の工場の仕事を探す
単身者の場合、寮完備の工場の仕事を探すのもおすすめです。大手メーカーの工場は近隣に寮を完備しており、期間工や派遣・契約社員、正社員も格安の寮費で利用することができます。メーカーによっては寮費・光熱費無料の寮もあり、生活費を大幅にセーブできるのも魅力。正社員登用制度のあるメーカーなら、期間工や派遣・契約社員として働きながら正社員になれるチャンスもありますので、移住先で将来を見据えた働き方もできるでしょう。
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