【解説】製造業の将来性について!工場勤務の将来性はあるのか?
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2023/11/14 更新
近年では将来的に仕事の多くがAIに代替化されることが話題になり、一部の職種は既に自動化が進められています。今後、就職や転職を考えている場合、誰しもが少しでも将来展望の良い企業に入りたいと考えるでしょう。こちらでは日本産業の柱である製造業について解説します。製造業の現状や今後の課題、年収や業務の特徴を知り、就職や転職の判断材料にしてください。
日本の柱である製造業の現状や今後
経済産業省製造産業局が2020年6月に発行したレポート「製造業を巡る動向と今後の課題」によると、2020年1~3月期の国内製造業の業績は悪化しています。理由としては米中貿易摩擦、天候要因、新型コロナウイルス感染症による影響が大きなものといえるでしょう。さらに今後3年間の製造業の業績見通しも減速傾向が強まっています。しかし、製造業は日本の大黒柱ともいえる産業です。業績見通しが悪化する今、現状を打開するために何が必要かを考えてみましょう。
AIの発達、DX推進に伴い変化する製造業
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新型コロナウイルス感染症による影響などで世界経済が不確実となり、企業は今後の課題として環境の変化に応じた変革が求められています。日本は製造業など現場に強い国でしたが、人手不足や設備の老朽化などのさまざまな問題を抱えているのが現状です。今後はAIの活用やDX推進(デジタルトランスフォーメーション)による変革が必要とされています。なぜならAIやDX推進によって業務の生産性や正確性が高まり、人手不足の問題が解消されるからです。人手不足が問題となる中、従業員のワークライフバランスへ配慮することは人員の確保を目指すうえで欠かせないものとなります。
展望の良い産業
AIやDX推進を図ると人手不足を解消できるだけではなく、そもそも人の手が不要になるのではないかと考える方もいるでしょう。しかし、AIに代替できる仕事ばかりではありません。AIやITを導入したとしても、人手が必要な仕事はまだまだあります。また、これから先の将来についても安定や成長していく産業を選べば人力は引く手あまたです。今後注目したい展望の良さが見込める産業をご紹介します。
1.建設業界
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住宅のみならず、ビルや大型施設は老朽化することで建て替えやリフォームが必要になります。また、近年の自然災害の影響で日本は全体的に十分な復興にいたっていません。施設や住宅の建築需要がまだまだ高いのが現状です。地域の発展によりインフラ整備も必要になるので、建築業界は展望の良い産業といって良いでしょう。
2.自動車製造業
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自動車産業は製造業出荷の約2割(60兆円)を担う日本経済の大黒柱です。関連製造業も含めると約550万人の雇用を支えています。今後は都市インフラやエネルギーインフラと連携して、交通渋滞解消やCO2の削減などの問題を解決しなければなりません。自動運転化やエコシステムの確立など、自動車自体の変革も求められているので、まだまだ衰退する気配はないといえるでしょう。
3.製造業全般
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展望の良い産業や衰退しつつある産業もありますが、どの産業にも必要であり基盤となっているのは製造業です。食品・繊維・金属・化学・電気機械器具など、私たちが生きていくうえで何か作る際には必ず製造業が関わってきます。AIに代替できる作業もありますが、AI自体を作るのも扱うのも人間です。衰退していく産業があったとしても、製造業がなくなることはありません。何を作るにしても製造業は必要なため、人材の確保やAIやDX推進のための設備投資は今後ますます必要になります。
技術が発達しても
人の手を必要とする仕事が多い
単純な作業であれば、AIに置き換えすることが可能です。しかし、製品基準をクリアするために設計を見直したり、材料や素材を変更したりする判断は人が行います。コンピューターはプログラム通りに動くことはできますが、自発的にクリエイティブなことができません。また、物を作る装置を作り、メンテナンスする為にも人の手が必要です。手作業が必要な作業はまだまだ多く、商品の品質向上のためにも変化や改良が求められることは必須となります。技術がいくら発展しても人の手が不要になることはありません。
製造業の平均年収
厚生労働省がまとめた資料「令和2年賃金構造基本統計調査の概況」によると、製造業の平均の年収は約32万円(年収384万円)です。宿泊業・飲食サービス業は約28万円(年収336万円)、生活関連サービス業・娯楽業は約30万円(年収360万円)であることからも、製造業の平均年収はほかの産業に比べて高めであることがわかります。全体の平均収入は月収で30万円(年収360万円)なので、製造業は平均より上の収入が見込めるといっても良いでしょう。
製造業の給料は取り扱う製品によって年収が異なることがあり、単価が高い製品や製造時に高い技術力が問われる製品は年収が高くなる傾向があります。例えば、金属の加工や自動車の組み立てなどの特殊な技術や専門知識が必要な作業や、フォークリフトの操作などの資格取得者は優遇されて年収も高くなるでしょう。さらに、生産管理者や工場長クラスになってマネジメントを担当すると平均年収はさらに上がります。
製造業勤務の特徴
日本の産業に欠かせない製造業ですが、経験がない方は魅力やメリットがわかりにくいでしょう。経験が浅い場合は、ライン作業と呼ばれる仕事から任せられるのが一般的です。ライン作業は流れてくる製品に対して製造や加工、組み立てや仕上げなどを行う特定の作業のことをいいます。製造業は就業時間が規則的で長期休暇もあるので、就職・転職の際には注目したい業種です。
未経験でも活躍できる
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製造業は就職・転職の際に、未経験でも可能な場合がほとんどです。初めのうちは実際の制作や加工などの流れ作業を担当することが多いでしょう。経験を積むと製品のアイデア出しや管理、設備点検なども任されます。製造業は体力勝負というイメージがありますが、部品の組み立ては手先の器用さが要求されることもあります。体力に自信のない方や女性でも活躍できる業種です。
収入アップを望む場合は、担当する製品や工程に関わる資格を取得すると年収アップが見込めるでしょう。未経験からでも上司や先輩からサポートを受けながら資格を取得する制度が整っている企業も多数あります。資格取得の勉強代や試験料を負担してくれる場合もあるので、制度が整っている場合は是非チャレンジしてみましょう。
経験を積むと転職しやすい
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経験を積むことによって機械の使い方などがわかるようになるので、知識を活かしてほかの機械にも応用するなどスキルアップが望めます。また、仕事に携わるうえで必要になる資格や免許を取得することによって転職の際に有利になるでしょう。実務経験も転職の際には有利です。展望の良い産業に数年携わっていた経験があると、面接官の印象が大きく違います。半導体やロボット、自動車、医薬品関連は需要の高い分野です。
未経験から始めても経験を積んでリーダーやほかのスタッフに指導する場面も出てくるでしょう。マネジメントスキルを身に着けた方やマネジメント経験がある方は転職の際に有利です。
技術に関する専門知識が取得できる
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製造内容によって必要な知識が異なります。経験を積むと製造の知識だけではなく、資格取得のチャンスも生まれるでしょう。衛生管理者やフォークリフト荷役技能検定などの資格は、比較的どこの工場でも重宝される資格です。業種によっては危険物取扱者、電気工事士、機械加工技能士なども優遇されるでしょう。製造業は経済の動向やIT技術への置換によって転職を余儀なくされる場合もあります。安定的な職場を得られたら技術に関する専門知識や経験を積み、いつ何があっても困らないように準備しておくことも大切です。
まとめ
製造業の現状や今後の課題、年収や業務の特徴についてご紹介しました。製造業は設備の老朽化や人材不足でAIの活用やDX推進を図る必要があるなど、まだまだ課題があります。しかし、働き手は必要であり、IT化が進む現在でも求人数が多いのが現状です。
製造業は未経験でも始められるだけではなく、スキルアップや専門知識の取得が期待できる将来性の高い産業でもあります。ぜひ、就職や転職の判断材料の参考にしてください。