食品工場の仕事とは?働く魅力や給料は?
2023/12/13 更新
街のスーパーやコンビニなどに並ぶ、さまざまな食品・飲料を製造する食品工場。私たちが普段口にする商品を扱っているだけに、製造現場の仕事に関心がある人も多いのではないでしょうか。
今回は、さまざまな食品工場の仕事内容や職場環境、働くメリットやデメリット、仕事の適性や給料面など、幅広い視点から詳しく解説します。食品工場で働いてみたい方はもちろん、食に関わる仕事に興味のある方も、ぜひ参考にしてみてください。
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■目次
- ●食品工場とはどんな職場?扱う商品は?
- ●食品工場にはどんな仕事がある?
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・仕込み
・加工
・調理
・盛り付け
・検査・検品
・梱包・出荷
- ●さまざまな食品工場の仕事内容と職場環境
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・パン・製菓工場
・弁当工場
・冷凍食品工場
・飲料メーカー工場
・生鮮食品工場
- ●食品工場で働くメリット・魅力とは?
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・未経験でも働ける
・きれいな環境で働ける
・商品を安く購入できる
・女性が多く活躍している
- ●食品工場で働くデメリット・大変な部分は?
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・立ち仕事で足腰が疲れる
・単純作業の繰り返しで飽きる
・身なりに関する規則が厳しい
- ●食品工場の勤務体系や給料、生かせる資格は?
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・食品工場の勤務スケジュール
- 一般的な日勤のスケジュール
- 一般的な夜勤のスケジュール
・食品工場の平均的な給料
・食品工場で生かせる資格
- 第一種衛生管理者
- 食品衛生管理者
- 食品衛生責任者
- フォークリフト資格
- ●食品工場の仕事の適性や、面接時の注意点について
- ●まとめ
食品工場とはどんな職場? 扱う商品は?
食品メーカーの工場では、さまざまな食材や原料を加工・調理し、保存性や利便性に優れた美味しい食品を日々製造しています。各工場で扱う商品は、お弁当・お惣菜・冷凍食品・レトルト食品・パン・お菓子・生鮮食品・調味料・清涼飲料など多岐にわたり、私たちの暮らしに欠かせない“食”を支える重要な役割を担っています。
食品工場の仕事は、メーカーの業種(扱う食品)によって作業内容や環境も異なりますが、多くは製造ラインに沿った単純作業が中心となるため、年齢や性別、経験を問わず誰でも働くことができます。また、食品製造業は景気の善し悪しに関わらず、つねに安定した求人ニーズがあり、季節商品(おせち料理、クリスマスケーキなど)の製造時期に合わせて、期間限定で募集される仕事が多いのも特徴です。
ただし、食品工場は消費者が口にする商品を扱うため、従業員一人ひとりにも衛生管理の徹底が求められます。入念な手洗い・消毒はもちろん、作業時はヘアネットや白衣、手袋、マスクを着用することが基本となっています。
食品工場にはどんな仕事がある?
では、食品工場にはどのような仕事があるのか、基本的なライン作業の内容を行程ごとに見ていきましょう。
仕込み
加工・調理に入る前の仕込みの作業では、肉や魚、野菜などを洗浄・カットしたり、規定の分量に量り分けたりします。大量の食材を同じ大きさ・分量に仕分ける必要があるため、日々の作業を通して、さまざまな野菜・肉の切り分け方や、魚をさばくスキルが身についたという人も多いようです。
加工
ベルトコンベアーで流れてきた食材を、調理前に加工する工程です。たとえば、次々と流れてくるパン生地に卵やバターを塗ったり、食材に下味やパン粉を付けたりします。
調理
仕込みや加工行程で下ごしらえした食材を、大きな鍋で煮たり揚げたりして加熱調理を行います。調理方法や分量はマニュアル化されたレシピがあるため、さほど難易度は高くありません。また、炊飯作業では米の種類や季節に応じて水の量を調整し、ベルトコンベアーにのっている炊飯器や大きな釜に入れて炊き上げます。
盛り付け
弁当の容器やトレーにご飯や惣菜を詰めたり、パンやケーキにフルーツやクリームなどをトッピングしたりと、最終的な盛り付けの作業を行います。また、パッケージや袋に表示シールを貼る作業や、料理を盛り付けた容器に蓋をする作業もあります。
検査・検品
食べ物を扱う食品工場では欠かせない重要な行程のひとつです。ベルトコンベアーで流れてきた食材に異物や不純物が入っていないか、完成した商品に不良品が混じっていないかを目視や機械で確認します。また、人の感覚(味覚・臭覚。視覚・触覚・聴覚など)による官能検査や、特殊な精密機器を用いて微生物などの検査をする工場もあります。
梱包・出荷
完成した商品を梱包し、出荷する作業です。具体的な作業内容は工場によって異なり、食品を計量して袋詰めしたり、パックした商品を個数ごとに箱詰めしたりします。また、出荷作業はフォークリフトで行われることも多く、フォークリフトの資格を持っていると重宝されます。
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さまざま食品工場の仕事内容と職場環境
先述したように、ひと言で食品工場といっても、メーカーの業種によって現場の作業内容や職場環境にも違いがあります。ここでは、代表的な5業種の食品工場を取り上げ、それぞれの仕事内容や特徴、職場環境について紹介します。
パン・製菓工場
製造工程のほとんどが機械化されているため、現場の作業ではベルトコンベアーで流れてきたパン生地にバターを塗ったり、具材をトッピングしたりする加工・盛り付けの行程がメインとなります。
また、パン類のほかにケーキやお菓子などを製造している工場では、クリスマスケーキやバレンタインのチョコレートなど、季節商品の製造を担当することもあります。そうした時期は工場も人員を増やして対応するため、求人も増える傾向にあります。
弁当工場
弁当類を扱う工場は各工程を手作業で行うことが多く、その日のメニューによって扱う食材や調理法が変わることもあります。難易度の高い作業はほとんどありませんが、作業のスピードや正確さとともに、盛り付けのキレイさも求められます。
冷凍食品工場
ほとんどの工場で製造行程が機械化されているため、主な仕事は商品の検品や梱包、出荷などの作業となります。作業はマイナス15度以下の冷凍倉庫内で行いますので、他の食品工場と比べると過酷な職場環境といえるでしょう。そのため、低温で体調を崩さないように、こまめな休憩が義務づけられており、時給もやや高めに設定されています。
飲料メーカー工場
飲料メーカー工場の仕事は、原料の配合や殺菌、充てんなどが中心となりますが、これらの作業はほとんど自動化されているため、人手による作業は機械操作や検品、品質管理の行程となります。とくに、検品や品質管理は重要な行程となるため、責任をもって任せられる紹介予定派遣や正社員の求人が多い傾向にあります。
生鮮食品工場
生鮮食品工場で扱う商品は、スーパーに並ぶ精肉・鮮魚やカット野菜などが中心となるため、食材の洗浄・下処理・切り分け・パッキングなどの行程が中心となります。工場によっては牛・豚や大型魚の解体など、専門的な技術を要する作業もあります。 また、生鮮品の品質を維持するため、工場内の室温は低めに設定されており、扱う食材によっては冷凍・冷蔵倉庫内で作業することもあります。
食品工場で働くメリット・魅力とは?
未経験でも働ける
食品工場の仕事は単純なライン作業が中心で、特別なスキルや資格が必要ないため、未経験でも始めやすいのが魅力です。作業する人は基本的に一つの行程を担当し、行程ごとにマニュアルも用意されていますので、一度覚えてしまえば比較的簡単に仕事をこなせるようになります。
きれいな環境で働ける
食品工場は衛生管理を徹底しているため、職場に清潔感があり、他の工場勤務と比べて格段にクリーンな環境で働けるのが魅力です。粉じんやホコリ、細菌なども少ない衛生的な環境なので、気持ちよく安心して勤務できます。
商品を安く購入できる
メーカーによっては自社の商品を社割で購入できたり、規格外のB級商品(訳あり品)を格安・無料で提供している工場もあります。また、新商品の試食に参加できたり、社員食堂で自社商品を使った食べ放題のメニューが出たりと、食に関する福利厚生が充実している工場も多くなっています。
女性が多く活躍している
食品工場は、他の業界の工場と比べて女性の割合が多いのが特徴です。重量物を扱う力仕事が少なく、どちらかというと速く正確な作業が求められるため、女性が活躍しやすい職場といえるでしょう。
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食品工場で働くデメリット・大変な部分は?
立ち仕事で足腰が疲れる
食品工場のライン作業は、基本的に立ち仕事です。筋力への負荷は少なくても、長時間立ちっぱなしで作業していると、やはり足腰に疲れを感じる人も多いようです。対策としては、休憩中に軽いストレッチやマッサージをするなど、体への負担を減らすケアを心がけることが大切です。
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単純作業の繰り返しで飽きる
食品工場に限らず、工場のライン作業は、同じことを何度も繰り返す反復作業が中心となります。そのため、単調な作業に飽きて集中力がとぎれ、うっかりミスをしてしまうことも。作業自体は簡単でも、それを黙々とこなす集中力や持続力が求められるので、人によってはストレスを感じるかもしれません。
身なりに関する規則が厳しい
食品工場では食品への異物混入を防ぐため、アクセサリー類の着用やネイル、長い爪、つけまつげ、メイクなどが禁止されています。おしゃれを楽しみたい人には厳しいと感じるかもしれませんが、人が口にする食品を扱っている以上、これは守らなければいけないルールです。メイクやアクセサリーは勤務後に楽しみましょう。
食品工場の勤務体系や給料、
生かせる資格は?
食品工場の勤務スケジュール
食品工場は24時間稼働しているところが多く、勤務時間も24時間対応の交代制でシフト分けされています。一般的な日勤・夜勤のスケジュールは以下のようになりますが、早番・遅番シフトや、早朝のみの短時間シフトが組まれている工場もあります。
《一般的な日勤のスケジュール》
8時(出勤)⇒ 8時30分~(朝礼・業務確認・衛生チェック)⇒ 9時~(業務開始)⇒ 12時~(昼食・休憩)⇒ 13時~(衛生チェック後に業務開始)⇒ 17時(退社)
《一般的な夜勤のスケジュール》
20時(出勤)⇒ 20時30分~(夜礼・業務確認・衛生チェック)⇒ 21時~(業務開始)⇒ 24時~(軽食・休憩)⇒ 翌1時~(衛生チェック後に業務開始)⇒ 翌5時(退社)
食品工場の平均的な給料
食品工場の正社員の場合、平均年収は370万~380万円で、製造業全体の平均給与(約410万円)と比較するとやや低い傾向にあります。 また、食品工場のパート・アルバイトの時給相場は1000円前後、派遣社員は1300円前後となっています。ただ、22時~翌朝5時までの深夜勤務は、時給が日勤より25%アップしますので、夜勤を中心としたシフトを組めば高収入を目指すことも可能です。
食品工場で生かせる資格
食品工場の仕事は、専門的な知識や経験がなくても始められますが、資格を取得することで収入がアップしたり、採用時に有利となる場合もあります。食品工場の仕事で生かせる主な資格は以下の通りです。
第一種衛生管理者
常時50人以上の労働者がいる事業所では、衛生管理者を設置するように労働安全衛生法で定められています。第一種衛生管理者の資格を所持していると、現場の管理者やリーダーとして活躍でき、給料アップも期待できるでしょう。
食品衛生管理者
食品衛生管理者は、食品衛生法で規定されている食品を扱う施設において、設置が義務づけられている国家資格です。ベーコン・ハムなどの食肉加工場や、乳製品・油脂の製造工場などで求められる資格で、所持していれば採用時にも高く評価されるでしょう。
食品衛生責任者
食品衛生責任者は、食品衛生法に基づき、すべての食品事業者や飲食店に設置が義務づけられているため、資格を所持していると採用時にも有利となります。17歳以上(学生は除く)であれば、食品衛生協会が開催する講習会に参加することで取得可能です。
フォークリフト資格
梱包・出荷作業がメインの工場では、フォークリフト資格(運転免許)があると有利です。とくに冷凍食品の工場では、フォークリフトで商品を積み替えたり、入出荷したりする作業が必要となります。免許があると業務の幅が広がり、職場によってはフォークリフト手当が別途支給されることもあります。
食品工場の仕事の適性や、
面接時の注意点について
では、ここまでの内容を踏まえて、食品工場の仕事に向いている人・向いていない人の特徴や、採用面接を受ける際の注意点・ポイントをまとめて見ていきましょう。
【食品工場の仕事に向いている人】
●食に興味がある
●単純作業にコツコツと取り組むのが好き
●1人で黙々と作業することが苦にならない
●自分の体調管理や衛生面に気を配れる
【食品工場の仕事に向いていない人】
●集中力が続かず、飽きっぽい
●1人で黙々と作業することが苦手
●自分の体調管理や衛生面に無関心
【採用面接を受ける際のポイント・注意点】
まず、面接にはスーツなどのきちんとした服装で臨むこと。これは社会人としての常識です。
加えて、食品工場の面接では、なんと言っても“清潔感のある印象”が重要なポイントとなります。長い髪はきちんとまとめる、爪はきれいに切る、無精ヒゲは剃る、メイクは控えめにする、キツイ匂いの香水は避けるなど、食品を扱う仕事にふさわしい身なりで臨むことが、採用への近道となることは間違いありません。
また、基本的に料理の得手・不得手は問われませんが、料理が好きな人・得意な人や、食分野に興味がある人は、自分から積極的にアピールしましょう。採用時にも、きっと有利になるはずです。
まとめ
ご紹介したように、食品工場の仕事は、未経験から始められるのが大きなメリットです。とくに、食べることや料理に興味のある人にとって、一度は働いてみたい職場かもしれません。 ただし、食品工場は製造する商品や担当する行程によって、仕事内容や職場環境も大きく異なりますので、応募する際には、その仕事や職場が自分に合っているのかどうか、しっかりと見極めることが重要です。もし可能であれば、事前に工場見学を申し込んで、現場の様子を実際に見て確かめておくと安心でしょう。