工場は休みが多い? 意外と知らない工場勤務の休日事情
2023/12/13 更新
「工場勤務は休みが少ない、休みが取りにくい」という声をよく耳にしますが、実際はどうなのでしょうか?今回は、工場の休みはどれくらいあるのか、土日祝日は休めるのか、長期休暇はあるのか…など、押さえておきたい工場勤務の休日事情について解説します。
工場勤務の休みはどれくらいある?
工場の年間休日はおよそ120日
製造業の工場の年間休日は、平均するとおよそ120日前後となっています。
厚生労働省が行った就労条件総合調査(令和4年)によると、日本企業の年間休日の平均日数は107日。これと比較すると工場の年間休日は、他業種の企業より2週間近く多いことがわかります。
とくに、大手メーカーの工場では、年末年始や夏季(お盆)、ゴールデンウィークの休みが多く、年間休日が130日を超えるメーカーも少なくありません。1年の3分の1以上が休日というのは、かなり魅力的ですよね!
※参考資料/厚生労働省 就労条件総合調査(令和4年)
https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/jikan/syurou/22/dl/gaiyou01.pdf
「休みが多い仕事」の魅力や特色を知り、希望にかなう職場と出会おう
工場の仕事は基本的に土日の休みが多い
工場の休日は業種や勤務体系によって異なりますが、基本的に土日が休みの職場が多くなっています。とくに、親会社から部品の製造などを下請けしている工場では、親会社の営業スケジュール(土日休みが多い)に合わせて年間の予定を立てるため、それに準じて休みも土日に設定されるケースが一般的です。
また、工場によっては作業に伴う騒音が出たり、大型トラックが頻繁に出入りしたりしますので、工場近隣に住む住民に配慮して、家にいることの多い土日を休みにする工場もあります。
ただし、毎週必ず土日に休めるとは限らず、工場の繁忙期や稼働状況によっては土日に出勤しなければいけない場合もあります。もちろん、その分は振替休日がもらえますので、休みが減ってしまう心配はありません。また、祝日は稼働している工場が多いため、休みにならない職場も多いようです。
勤務体系によって平日が休みになる場合も
自動車・半導体製造の設備産業や食品製造など、24時間フル稼働している工場では、2交替制(日勤・夜勤)や3交替制(朝勤・日勤・夜勤)のシフト勤務を導入し、工場の稼働が止まらないようにしています。
ただ、朝勤・日勤・夜勤を交互に繰り返すシフト勤務は、どうしても身体への負担が大きくなるため、「4勤2休」「3勤1休」「5勤2休(土日以外が休み)」などの勤務体系を組んで、従業員が適切なタイミングで休めるように配慮しています。では、「4勤2休」「3勤1休」「5勤2休(土日休み以外)」の勤務体系について、それぞれ詳しく見ていきましょう。
4勤2休とは
4勤2休とは、4日連続で勤務した後に2連休をとるという勤務体系です。通常の1週7日のカレンダーとは異なり、6日間を1セット(1週)と考えるため、休日の曜日は固定されず、平日が休みとなる場合もあります。家族や友人と休みが合わせにくいなどのデメリットはありますが、平日が休みなら混雑を避けて出かけられますし、曜日次第では土日固定の休みより1ヵ月の休日数が多くなるのも魅力です。
また、シフト勤務のスケジュールは、2日間の連休を挟んで朝勤・日勤・夜勤を入れ替えるパターンが基本となります。たとえば、2交替制の場合、週初の4日間は日勤で働いて2日間の休みをはさみ、次の4日間は夜勤というパターンを繰り返すことになります。 工場によっては夜勤なしのシフトを選べる場合もありますが、22時~翌朝5時までの深夜勤務は、時給が日勤より25%アップするため、夜勤と合わせて働いた方が収入はアップします。
【実例アリ】4勤2休はキツイ?5勤2休との違いやシフトについて詳しく解説
3勤1休とは
3勤1休とは、3日連続で勤務した後に1日休むという勤務体系です。こちらも休日の曜日は固定されず、平日が休みとなる場合もあります。原則として連休はありませんが、4日に1回休みが来るので、一般的な月~金の5日連続勤務より疲労が溜まりにくい働き方といえるでしょう。
ただし、1日の休日を挟んで4日ごとに朝勤・日勤・夜勤のシフトが入れ替わるパターンが基本となりますので、生活のリズムが不規則にならないよう注意する必要があります。
5勤2休とは(土日以外が休みの場合)
5勤2休とは、1週間のうち5日働いて2日休むという勤務形態です。一般的に週休2日と呼ばれる休日設定と同じですが、土日祝日も稼働している工場では、平日の休みを含んだ5勤2休を導入している職場が多くなっています。
たとえば、「日曜+平日休み」「土曜+平日休み」「平日の2日休み」などのパターンがあり、希望の曜日が休める工場もあります。連休をとれない場合もありますが、休日の曜日を分散させることで、シフトチェンジによる身体への負担を軽減することができます。
工場は長期休暇があるのか?
長期休暇は年末年始・夏季・GWの年3回
ほとんどの工場では年に3回、年末年始・夏季(お盆)・ゴールデンウィークの長期休暇があり、他の業種と比べて日数も多い傾向にあります。とくに大手メーカーの場合、年末年始や夏季の長期休暇は8~10日前後と長く、工場の稼働を優先して祝日を潰したかわりに、冬季・夏季の休暇を充実させています。
ただし、お盆の夏季休暇に関しては、自由なタイミングで取れない場合がほとんどです。一般企業の夏季休暇は、「7~9月の間に希望するタイミングで5連休を取得する」というケースが一般的ですが、工場は年間の稼働スケジュールが決まっているため、毎年お盆を挟んだ8月半ば前後に固定されています。
顧客のカレンダーによって休日が決まる?
このように、多くの工場の休日・休暇は、製造現場の繁忙期や閑散期、稼働効率などを考慮し、稼働スケジュールを優先して設定されています。
そのほか、発注先となる顧客企業のスケジュールに合わせて、工場の休みが決まるケースもあります。たとえば、トヨタ自動車には「トヨタカレンダー」と呼ばれる独自のスケジュールがあり、トヨタに部品を提供している工場はもちろん、近隣にある地元の飲食店なども、このカレンダーとまったく同じタイミングで休日や営業日を設定しているのです。日本のモノづくり産業をリードする大手企業の影響力は、世の中の休日を決めるほど大きいんですね!
工場の仕事は好きな時に休める?
直前になって「明日休みたい」といった希望は当然ながらNGですが、早いタイミングで有給休暇を申請すれば、希望する日に休んだり、連続して休暇を取ることも可能です。有給休暇は「雇われた日から6ヶ月以上勤務している」「全労働日の8割以上出勤している」といった基準を満たせば、勤続期間に応じた日数(年間10日~)の有給休暇が会社から付与されます。よって、工場勤務の場合も上記の基準を満たせば、正社員・派遣社員・パート・アルバイトなどの雇用形態を問わず、法律的には有給休暇を使って好きな時に休めるのです。
2019年に改正された労働基準法でも、「年10日以上の年次有給休暇が付与される労働者に対して、年次有給休暇の日数のうち年5日については、使用者が時季を指定し取得させることが必要」と定めています。
ただし、休みを取ると他の従業員が穴埋めしなければならず、付与された日数もすべて使えるとは限りません。基本的に、多くの工場では有給の申請を受け入れてくれますが、なかには理由を付けてなかなか休ませてくれないケースもありますので、有給休暇がしっかり使える会社なのかどうか、事前に確認しておいた方がいいでしょう。
派遣会社経由なら有給を取りやすい?
派遣社員が有給を取得する際には、まず、有給休暇を付与する雇用主の派遣会社に申請し、派遣先の上司にも「有給を使いたい」との旨を伝えます。
有給休暇は雇用形態に関係なく与えられる権利ですから、本来であれば、有給を取ることに遠慮する必要はありません。とはいえ、派遣先の直属の上司に有給を使うことを伝える際や、休みづらいタイミングで有給を取得したい場合など、なかなかそうはいかないケースもあるでしょう。どうしても有給が使いにくいと感じる場合には、派遣元の担当者に相談したり、担当者から派遣先に交渉してもらうなど、派遣会社を通すことで有給の取得がスムーズになることもあります。
また、有給休暇を取得する際には、周囲の人に迷惑をかけることがないよう、できるだけ早いタイミングで直属の上司に許可を取り、一緒に仕事をしているメンバーにも伝えておくことがマナーです。
年間休日が105日より
少ない工場はブラック?
ここまで見てきたように、製造業の工場は休みが多い傾向にありますが、なかには非常に少ない工場もあり、場合によってはブラックの可能性も考えられますので要注意です。
労働基準法の第35条には「使用者は労働者に対して、毎週少なくとも1回、または4週間に4回の法定休日を与えなければならない」とあります。また、労働基準法32条では「労働時間の上限を1日8時間、週40時間まで」と定めています。
この2つの条件を適用して計算すると、1日8時間の労働時間で年間に働かせることのできる日数の上限は260日程度。最低限必要な年間休日数は、「365日-260日=105日」となります。
ちなみに、上記の労働基準法第35条は、あくまで法定休日の考え方です。たとえば、第35条に応じて毎週1回の休日を設けた場合、年間の休日数は52日前後となり、下限の105日には達しません。そのため、多くの企業では週休2日の休日設定や、長期休暇を設けるなどして105日以上の基準を満たしているのです。
こうしたことから、年間休日が105日より少ない工場は、ブラックな可能性が高いと考えられるでしょう(※)。工場のホームページなどから休日の実態を判断することは難しいですが、求人情報に年間休日数を明記している工場もありますので、応募する際にしっかり確認しておいてください。
※ただし「1日の労働時間が短い」「企業が変則労働制を採用している」など、労働条件によっては、年間休日が105日を下回っても違法とならないケースもあります。
まとめ
以上、「工場は休みが少ない」という声はありつつも、実際には一般的な企業より休みが多いことがご理解いただけたのではないでしょうか。
工場の業種や勤務体系によって休日のタイミングは異なりますが、「月~金に働いて土日は休みたい」「土日より平日休みの方がいい」「シフトチェンジに合わせて所々で休みたい」「長期休暇でリフレッシュしたい」……など、希望する働き方や休み方は人それぞれです。工場で働こう・働きたいと考えている方は、工場の休日設定や休みの取り方が自分に合っているのかどうか、事前にしっかり確認しておきましょう。
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