工場検査の仕事って?工場検査に必要なスキルは?

2024/8/6 更新
工場での検査やテスト業務とは?
一般的に、工場での検査やテスト業務は、製品の最終プロセスに従事し、品質を担保するうえで重要なポジションに該当します。
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●規定された基準や仕様に合致しているかをチェックシートに則って確認する
●テストを実施することで、製品の状態や品質の記録を取る
●不良品を適切に保管・分別する
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工場での検査やテスト業務は、大きく上記の3つに分けられますが、検査業務の職歴が長いベテランスタッフになると、「不良品が発生した原因を追求し、その原因を文書化する」「機械の異常や不良を追求し、正常に動くように設備業者や技術者を手配する」といった業務に従事することもあります。
工場では、なぜ検査やテスト業務を行う?
工場での検査やテスト業務は、製品の品質や安全性、顧客満足度を高める重要な役割を果たしますが、製品の検査をおろそかにすると、欠陥品や不良品が市場に出まわることになります。
製品が食品であれば、購入したユーザが健康被害に遭う恐れも発生しますし、電子機器や家電などであれば製品の不具合によって火災や事故など、ユーザが損害を被る恐れがあります。
欠陥品や不良品は、製品を購入したユーザだけに被害が被るわけではなく、販売・製造した企業やメーカー側にも、「企業の信頼が損なわれる」「修理・交換費用に莫大なコストがかかる」「経営陣が責任をとって退陣する」などの経営を揺るがす事態に発展する可能性があります。

検査やテスト業務がもたらすメリット
様々なリスクを排除するために、工場では多角的な検査やテストが実施されていますが、検査やテストを実施するメリットには、次のようなものが挙げられます。
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●不良品を事前に発見し排除することで、再生産やリコールなどのコストを削減できる
●不良品を事前に発見し排除することで、顧客からの信頼と顧客満足度が向上する
●徹底した品質管理により、業界内での優位性を確立できる
●ユーザの満足度向上によって、製品と企業の競争力を強化できる
●製品の高品質によって、企業の評価と信頼性が向上する
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これら様々なベネフィット(企業における利益や便益)をもたらす検査やテスト業務は、企業にとって必要不可欠な業務になりますが、残念なことに一部には「検査やテスト業務は、製造プロセスのおしりの部分だし、誰でもできるカンタンな仕事」と考える人もいるようです。
しかし、その考えは大きな誤りです。様々な製品や機器を私たちが安心して使えているのは、検査やテスト業務のおかげ……といえます。

工場での検査やテスト業務①/目視検査
工場では、製造する製品の特性にそって様々な検査が行われますが、検査・テストの代表例が「目視検査」です。目視検査では、次のような作業が実施されます。
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●製品の外観にキズや汚れがないかを確認する
●部品同士の隙間や位置関係、取りつけ角度などを確認する
●製品の色や質感が規定に合致しているかどうかを見極める
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目視検査は、製品の組み立て作業中に発生する不良や誤りを見逃さず、製品の機能や安全性を損なうリスクを排除する役割を担うため、新人がすぐに目視検査に従事することはなく、熟練した目利きと経験をもつ従業員が、目視検査に従事することが一般的です。
——目視検査に求められるスキル
目視検査は、製品の品質向上に貢献する重要な役割を担っているため、基本的な素養として「細部への注意力」「高い集中力」「的確な判断力」「正確さと綿密さ」などの素養が求められます。
また、目視検査では、得られた情報や課題を報告書や記録を残すことも求められるため、伝えたい要点を的確に文書化するスキルが求められます。

工場での検査やテスト業務②/外観検査
製品の品質に大きな影響力をもつ重要な検査項目である「外観検査」も、工場で実施される検査やテスト業務のひとつであり、外観検査は主に製品の見た目や仕上がりについて、次のような作業が実施されます。
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●金属部品の表面に傷や凹み、塗装剥がれなどがないかどうかを確認する
●プラスチック製品の表面にバリ(出っ張り)やひずみがないかを確認する
●製品に色ムラや汚れがないかを確認する
●製品のパーツが正しく組み立てられているかを確認する
●組み立てた製品のパーツきちんと固定されているかを確認する
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外観検査は、製品の信頼性や見た目の美しさに直結するため、細部まで注意を払って実施することが極めて重要です。また、検査作業を通じて、製品の安全性、信頼性、顧客満足度に貢献するだけでなく、製造現場での品質意識向上の働きかけも、外観検査の重要な役割です。
——外観検査に求められるスキル
外観検査に従事する際は、製品の仕様や検査基準に沿って正確に行うことが必要最低限のスキルになりますが、そのほかにも様々なスキル・素養が求められます。
大量の製品の外観検査を行ううえでは「高い集中力」「根気」などの素養が必要となるほか、不良品が発生した場合は「迅速に対応する判断力」も必要とされます。このほか、チーム制で外観検査を行う場合は「チームとの連携・協調性」「コミュニケーション能力」も求められます。

工場での検査やテスト業務③/機能検査
工場で実施される検査やテスト業務のひとつに、製品の特定の機能や性能を確認する「機能検査」があります。機能検査では、主に製造している製品の特性にそって詳細なテストが行いますが、自動車、精密機器、電子部品、家電、食品など、製造する製品するごとに機能検査の内容は大きく異なり、一例として、次のような作業が実施されます。
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●自動車のエンジンの性能テストでは、動力や燃費、排気ガスの数値等がチェックされる
●精密機器や電子機器では、動作確認や信号の安定性等のテストが行われる
●家電では、動作確認や信頼性試験(各種環境試験)、品質性能等のテストが行われる
●食品では、生産・加工、調理・製造、配送や保管、販売の各過程で必要な機能検査が実施される
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——機能検査に求められるスキル
製品の品質向上に貢献する役割を担う機能検査は、製品の仕様や特性に応じて様々な検査が行われることから、その分野や業界に即した専門知識が求められます。
このことからも、新人がいきなり「機能検査」の業務に従事することはほとんどないと考えてよいでしょう。機能検査は製品の信頼性や安全性を保証する重要な業務であるため、高い専門性をベースにした「検査精度」が求められますし、ときには検査結果や数値に基づいて「改善策を提案する」こともあるため、客観的かつ専門的な視座で課題やインシデントについて文書化するスキルも求められます。

工場での検査やテスト業務④/分析補助
工場では様々な検査が実施されますが、製品の寸法測定や外観検査を含む「分析補助」も検査業務のひとつです。製品の美観や品質を保ち、顧客に安心して製品を提供する分析補助では、主に次のような業務が実施されます。
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●測定機器を使用して製品の長さ、幅、厚みなどの寸法を精密に計測する(寸法測定)
●製品が仕様に適合しているかどうかを確認する(寸法測定)
●製品の外観に傷や異物がないかを目視で確認(外観測定)
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——分析補助に求められるスキル
分析補助の業務に就く検査員には「規定に基づいて作業する正確性」「丁寧さ」「的確な判断力」「細部への注意力」などの素養が求められます。
さらに、製品の特性にそって「データ処理や分析」や「分析結果の報告書作成」などの業務に従事することもあるためデータや文書作成に必要なパソコン(ExcelやWord)の操作が必要最低限のスキルになります。

工場での検査やテスト業務⑤/モニタチェック
工場で実施される検査やテスト業務のひとつに、製品の視覚的な外観や色合いの確認、表面の傷や汚れのチェックを主とし、製品の品質向上に貢献する「モニタチェック」があります。
電子部品や機械部品などの精密機器を取り扱う(製造する)工場では、目視で行う視覚検査とは別に専用機器や顕微鏡を使用して、モニタ上に表示される情報や数値をもとに検査を行います。この検査では、目視では確認できない微細な部分の形状が仕様に合致しているかを、主に次のような検査業務でチェックします。
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●製品が正しい色合いであるかどうかをチェックする
●製品の傷や汚れが許容基準以内かをチェックする
●製品の組み立てや加工に伴う歪みやズレがないかをチェックする
●パーツ同士が適切に組み合わさっているかをチェックする
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——モニタチェックに求められるスキル
目視で見逃された瑕疵(不良個所)がモニタに映されて初めて確認できる利点を活かすため、モニタチェックに従事する検査員には、「精密な観察力」「瑕疵を見逃さない注意力」「作業を継続する根気力」「責任感」が必要最低限の素養になります。
そのほか試験結果のデータや数値をもとに文書を作成する業務につくこともあるため、パソコン(ExcelやWord)の基礎スキルも求められます。

検査・テスト業務が自動化されても、かなめはやっぱり“人”
AIやビッグデータ解析の技術進化によって、今後は高度な自動化検査が実現する可能性が高まっていますが、検査の自動化を実現するには、高度なセンサ技術や画像処理技術が求められますし、製品の微細な欠陥や異常を検出する高精度な計測技術も必要になります。
その一方で、検査・テスト業務に高速かつ高精度な自動化技術が導入されていく工場では、高額な設備投資や、自動化システムの故障・誤作動した際のリスクなども、大きな課題になっています。
また、従来の検査業務では、作業者の手作業や眼力に頼る部分が大きかったといえますが、人手不足や作業効率向上に向けて、最近はロボットアームやコンベアと連携した自動検査システムを導入する企業も増えています。しかし、それらの機器を動かし、管理するのは“人”であり、検査結果を判断するのも、やはり“人”になります。
よって、どんなに検査・テスト業務が自動化、高度化しても、現場では、製造プロセスや製品の品質管理などに関する専門知識や経験を有した“人材”が必要不可欠な存在であることに、今後も変わりはないといえるでしょう。
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