入社祝い金は怪しい?実際の仕組みや金額を実例で徹底解説!

2023/7/11 更新
入社祝い金とは?
採用が正式に決まった後に企業から支給される臨時手当や特別報酬などのインセンティブを「入社祝い金」といい、企業によっては「入社特典」「採用特典」などと呼ぶこともあります。
入社祝い金は、工場で働く派遣社員や期間従業員を採用した時に支給されることが多いのですが、一般的に次の2つの条件を満たした人が入社祝い金を受け取れる対象となります。
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◎求人広告や求人サイトに「入社祝い金○万円」「入社特典○万円」などと記載されている
◎その求人広告や求人サイトを通して募集し、採用が決まった人
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入社祝い金には相場がある?
「工場求人ナビ」に掲載された求人から、「入社祝い金」「入社祝い金特典」「入社特典」を掲載している企業と、その支給額をチエックしたところ、 「こんなにもらえるの?」という金額が多数ヒット! 新着情報から支給額の多い順に並べてみたところ……
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◎半導体・電子部品メーカー 入社特典60万円 ◎大手自動車の組立メーカー 入社特典60万円 ◎自動車部品加工メーカー 入社特典50万円 ◎大手自動車組立メーカー 入社特典50万円 ◎大手自動車部品メーカー 入社特典40万円 ◎2輪車エンジンメーカー 入社特典40万円 ◎大手四輪車メーカー 入社特典40万円 ◎自動車部品メーカー 入社特典40万円 ◎半導体関連メーカー 入社特典30万円 ◎半導体関連メーカー 入社特典30万円 ◎大手自動車車体メーカー 入社特典20万円 ◎住宅用のユニットバスメーカー 入社特典20万円 ◎大手自動車のエンジンメーカー 入社特典17万円 ◎大手トラック組立メーカー 入社特典17万円 ◎鉱山機械メーカー 入社特典13万円
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入社祝い金を支給している企業15社を並べてみたところ、自動車関連や半導体関連企業の入社祝い金が比較的高額であることがわかりますね。
そのほかの業種の一般的な入社祝い金の相場は下記のようになっていますが、特に人手不足の業界では、一人でも多くの優秀な人材を確保するため入社祝い金を用意しているところが多いようです。
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◎タクシードライバー 入社祝い金10万円〜20万円 ◎大型トラックドライバー 入社祝い金10万円〜20万円 ◎福祉・介護分野 入社祝い金 5万円〜20万円 ◎そのほか 入社祝い金 3万円〜 5万円
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入社祝い金は、入社後すぐに支給される?
例えば、50万円の入社祝い金をうたっている大手メーカーに入社したとき、ほとんどのケースで入社後の最初の給与日に一括で50万円が支給されることはない、と考えておきましょう。
契約社員や期間従業員の雇用形態は契約更新を数カ月ごとに行うことが一般的ですが、50万円の入社祝い金と、契約更新を3カ月ごとに行う企業の場合、以下のような支給規定を設定しているケースもあります。
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◎最初の契約更新時 (入社3カ月目)に10万円
◎2度目の契約更新時(入社6カ月目)に10万円
◎3度目の契約更新時(入社9カ月目)に10万円
◎4度目の契約更新時(入社 1年目)に20万円
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支払い回数・支給額・時期等が定められたその企業の規定にそって入社祝い金は支給されますが、複数回に分けて支給するケースが多い理由は、入社後最初の給与日に入社祝い金を一括支給した後にすぐに退職されてしまうと、企業は大きな損失を被ることになるから。
下イラストの支給例のように、入社後4回に分けて入社祝い金を支給するケースでは、企業側から働いている人に対して、段階的に「ありがとう」という思いが込められているといえるでしょうし、最後の20万円には「今日まで1年間がんばってくれて本当にありがとう。これからもよろしくね!」という企業側の感謝と期待が込められていると考えることもできますね。

入社祝い金をもらってすぐに退社したら?
「入社祝い金30万円(期間限定)」「入社祝い金30万円(5月入社限定)」などのように支給額のほかに条件が併記されている場合は、その条件に該当しない限り入社祝い金はもらえません。そのほか、次のようなケースについても事前にきちんと理解しておきましょう。
Case/1度目の入社祝い金をもらった直後に急病で仕事を辞めることになった

日本の法律では、雇用契約に労働期間が定められていなければ、いつでも退職できる自由が保障されていることから、(基本的に)支給された入社祝い金を返還することはほとんどないと考えてよいでしょう。ただし、詐病(病気を偽る行為)であった場合は入社祝い金の返還を求められることがあります。
Case2/退社後、支給済みの祝い金の返還を求められた
入社時にサインする雇用契約書に、「入社○カ月以内に退職したときは、支給済みの祝い金を返還する」などと返還に対する規定が明記されている場合は、規定にそって祝い金を返還しなくてはなりません。
ただし、こうした事態になった場合、祝い金を返還すべきか否かを労働基準監督署や労働局に相談し、最善の対処をとるようにしましょう。何より、そうしたトラブルを回避するためには、雇用誓約書をしっかり読んだうえでサインすることが重要です。
ここでは2つのケースを取り上げましたが、一度支給された祝い金の返還を求められることがありますし、遅刻、早退、欠勤回数を含めた「勤務態度」を祝い金の支給条件に規定している企業もありますので、次の5点を就業前に把握しておくことがトラブル回避の観点からもとても大切です。
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◎祝い金の支給総額
◎祝い金の支給回数
◎祝い金の支給時期
◎祝い金の支給条件
◎祝い金支給後の返還条件
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入社祝い金の支給対象になる条件とは?
人材を確保するため、「工場求人ナビ」「地元のフリーペーパー」「大手求人サイト」「行政のアルバイト募集広告」などさまざまなチャネルに、同職種の求人を出していたメーカーAが、「工場求人ナビ」にだけ「入社祝い金○万円あり」と記載していたとします。
「工場求人ナビ」を見てメーカーA で働きたいと思ったKさんは、数日後たまたま手元にあった「地元のフリーペーパー」からメーカーAに応募し、無事に採用されます。喜びのもつかの間、残念なことに自分は入社祝い金の支給対象ではないことをKさんは知ることになったのです。

Kさんはなぜ、入社祝い金の支給対象ではなかったのでしょうか。 実は、メーカーAに採用された人全員が入社祝い金をもらえるわけではなく、入社祝い金支給が表示されたメディア(このケースでは「工場求人ナビ」)から応募しなければ、入社祝い金はもらえない仕組みになっていたためです。
また、「工場求人ナビ」を通して応募し、無事に採用されて働き始めた際も、その企業が定めた条件に合わなければ、入社祝い金が支給されないこともありますので、面接時や契約時に支給条件などをきちんと確認しましょう。そのほか、企業によっては採用後に労働者みずからが入社祝い金の申請を行うことが支給条件になっていることもありますので、その点にも注意が必要です。
インセンティブ=入社祝い金に込められた企業の思い
企業が祝い金を用意する最大の理由、それは「せっかく採用した人に、すぐに辞められてしまうことを防ぐ」とご紹介しましたが、ある調査結果によると、退職を決めたタイミングは「入社後数カ月」の割合が高く、次のような退職理由が多いとされています。
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◎イメージしていた仕事と違っていた
◎考えていた以上に仕事が大変だった
◎仕事を始めてから続ける自信がなくなった
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常に人材を確保する必要があるメーカーの工場や製造現場では、採用広告を定期的に出し、採用後も仕事を覚えてもらうために研修を行ったり、新人に教育サポーターをつけるなど、採用・教育に多額の費用をかけています。
せっかく雇ったのに早期退職されてしまえば、それまでかけた採用費や教育費が無駄になってしまうので、最近では社員食堂の充実やおしゃれな寮の完備などさまざまな面から「長く働いてもらえる職場環境の構築」に努めている企業も増えています。
そうした取り組みの一環が「入社祝い金」といえますが、この祝い金には「せっかく仲間になったのだから、一緒に長く活躍してほしい」「高いモチベーションで楽しく働いてほしい」という企業の切なる思いが込められているともいえるでしょう。
——「工場求人ナビ」に掲載された求人には、入社祝い金を用意したメーカーの工場や製造現場がたくさんありますので、気になる人は下記のボタンより検索してみましょう
働く側にとって入社祝い金はうれしい特別報酬ともいえますし、仕事探しをしている人にとっては見逃せないポイントでもありますので、せっかくのチャンスを逃さず、ぜひ自分にぴったりの業種や企業とめぐりあってくださいね。