「交通費支給」とはどんな制度?支給ルールや計算方法などを詳しく解説!

2024/10/21 更新
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■目次
- 1.「交通費支給」とは?
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・交通費の種類や含まれる費用は?
・交通費支給の規定は企業ごとに異なる
- 2.交通費支給額のパターンと支給のタイミング
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・交通費全額支給
・交通費一部負担
・交通費一律支給
・交通費はいつ支給される?
- 3.交通費支給対象者の条件について
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・アルバイト・パート従業員の交通費は?
・派遣社員の交通費は?
- 4.交通手段による交通費の支給例と計算方法
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・電車やバスなど公共交通機関を利用した場合
・自動車やバイクなどを利用した場合
・徒歩や自転車を利用した場合
- 5.交通費は課税対象になるのか?
- 6.交通費を偽ってもらうと違法になる?
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・住所を偽る
・遠回りのルートを申請する
・交通費を申請して徒歩や自転車で通う
- 7.まとめ 交通費の支給ルールは事前に必ず確認しよう
「交通費支給」とは?
ほとんどの企業(法人・事業所など)では、従業員の出勤や出張、営業などの移動にかかる費用を、交通費や通勤手当として支給しています。この「交通費支給」の制度は、労働基準法などで定められた義務ではなく、あくまでも企業側の判断に委ねられた福利厚生のひとつとなります。したがって、企業が従業員に交通費を支給しなくても、法的には問題ありません。
とはいえ、職場から交通費が出なければ、従業員の経済的負担はかなり大きくなってしまいます。とくに、人材難が叫ばれる今の時代、交通費が支給されない企業は、従業員(応募者)から魅力的に見えず、優秀な人材もなかなか集まらないでしょう。そのため、従業員に対して交通費をまったく支給しない企業は、いまやレアケースとなっているようです。
交通費の種類や含まれる費用は?
企業から支給される交通費には、主に以下の3種類があります。
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●自宅と職場の往復にかかる「通勤交通費」
●自宅(職場)と出張先の往復にかかる「旅費交通費」
●業務上の移動(営業の外回りなど)で発生する「営業交通費」
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交通費に含まれる費用(内訳)としては、主に以下のようなものが挙げられます。ただし、新幹線のグリーン車や飛行機のビジネス・ファーストクラスなど、グレードアップの割増料金は、ほとんどの企業で対象外となっています。
・公共交通機関(電車・バス・タクシー・飛行機・船舶など)の運賃や定期・回数券代、高速道路(有料道路)料金、ガソリン代、レンタカー代、コインパーキング代など
交通費支給の規定は企業ごとに異なる

先述したように、交通費支給に関しては法的な規則がないため、それぞれの企業が定めた社内規定に従って支給されます。よって、求人情報に「交通費支給」と記載されていても、支給パターンや支給額、含まれる費用、計算方法などは企業によって異なるため、細かい支給ルールについては社内規定で確認しておきましょう。
交通費支給額のパターンと支給のタイミング

交通費の支給額は、主に「全額支給」「一部支給」「一律支給」の3パターンがあります。
交通費全額支給
通勤や出張などにかかる交通費を、すべて企業側が負担するパターンです。交通費の負担がゼロになる従業員にとってはメリットの大きい方式ですが、企業側は遠方から通勤する従業員にも、多額の交通費を支払わなければいけないデメリットが生じます。そのため、次に挙げる「一部支給」を採用する企業も多くあります。
交通費一部負担
「1日2000円まで」「月3万円まで」といった形で、出勤の交通費に上限を設けて支給するパターンです。遠方から通勤する従業員にとっては、交通費の負担が大きくなる可能性があります。
交通費一律支給
1日や月単位で決まった金額を、交通費として一律に支給するパターンです。企業側には「従業員ごとに細かい交通費を計算する手間がなくなる」というメリットがあります。また、従業員にとっても、「交通費が安く済んだ月にも、決まった金額が支給される」というメリットがあります。ただし、イレギュラーの休日出勤などで交通費がかさんだ場合、従業員の負担が生じる可能性もあります。
交通費はいつ支給される?

当月にかかった交通費は、給料と合わせて一括支給されるのが一般的です。そのため、給料日までは自分で一時的に立て替えることになります。もし、ひと月にかかる交通費があまりにも高く、まとまった金額の立て替えが難しい場合は、企業の担当部署(人事・経理・総務など)に相談してみましょう。
交通費支給対象者の条件について
アルバイト・パート従業員の交通費は?

以前は、非正規雇用のアルバイト・パートの従業員に対して、交通費の支給条件を定めているケースも多く見られました。たとえば「1日●時間以上・週●日以上の勤務で支給」「週●時間以上の勤務で支給」など、勤務時間や勤務日数が一定基準を超えていることを、支給対象者の条件にしているようなケースです。
しかし、現在は同一労働同一賃金の原則が法的に定められているため、正社員に交通費を支給しているにもかかわらず、アルバイトやパートの従業員に条件を付けて支給しないのは、違法になる可能性があります。こうした点から、正社員やアルバイトといった雇用形態に関わらず、かかった交通費を支給するケースが一般的となっています。
派遣社員の交通費は?

派遣先企業で働く派遣社員の場合も、以前は「交通費が時給に含まれている」といったケースが多く見られました。しかし、派遣先の正社員と派遣社員の「賃金や待遇の不合理な格差を是正すること」を目的として、2020年に改正された労働者派遣法(※)により、現在は正社員と同様に、かかった交通費を別途支給するケースが増えています。
※労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の就業条件の整備等に関する法律
交通手段による交通費の支給例と計算方法
電車やバスなど公共交通機関を利用した場合

公共交通機関を利用した通勤交通費の場合、自宅の最寄り駅(バス停)から、勤務先の最寄り駅(バス停)までの最短ルートを割り出し、その往復費用が全額または一部支給されます。出張などの旅費交通費や営業交通費についても、同様に最短ルートを割り出して計算します。
自動車やバイクなどを利用した場合

自動車やバイクなどを利用した交通費は、実費でガソリン代が支給される場合や、一律の金額が支給される場合、勤務先・目的地までの距離に応じて支給される場合など、さまざまなケースがあります(下記参照)。また、高速道路料金やパーキング代などの扱いも、企業によって異なりますので、あらかじめ確認しておきましょう。
【実費でガソリン代が支給される場合】
通勤や移動にかかったガソリン代を申請することで、全額または一部の費用が支給されます。ガソリン代の計算方法は、「走行距離÷車の燃費×ガソリン単価(1リットルあたりの指定額)」で算出するのが一般的です。
【一律の金額が支給される場合】
通勤や移動にかかった距離・ルート・ガソリン代に関わらず、1日や月単位で一定額が支給されます。
【勤務先や目的地までの距離に応じて支給される場合】
「1Kmあたり●円」などの社内規定に沿って、通勤や移動にかかった総距離の金額が支給されます。
徒歩や自転車を利用した場合

勤務先や目的地が近く、徒歩や自転車で移動できる場合は、基本的に交通費は支給されません。ただ、企業によっては一律の通勤手当を支給したり、自転車の駐輪場代を負担したりするケースもあります。
交通費は課税対象になるのか?

公共交通機関を利用した交通費の通勤手当は、1ヵ月あたり15万円以内であれば非課税となります。15万円を超えた額は所得と見なされ、所得税や住民税の課税対象となります。
また、マイカーやバイク、自転車を利用して通勤した場合、非課税となる1ヵ月あたりの限度額は、片道の通勤距離に応じて以下(※図表)のように定められています。これを超えて支給された交通費は課税対象となりますので、扶養の範囲内で働きたい人は注意しましょう。

交通費を偽ってもらうと違法になる?
交通費を多くもらいたいからといって、偽りの申請をするのは絶対NGです。交通費をごまかしてもらっていたことが発覚すると、場合によっては詐欺罪に問われる可能性もあります。また、犯罪には問われなくても、企業から懲戒処分(解雇・出勤停止・減給など)を受けたり、不正受給分の返還を求められたりする場合もあります。
以下、交通費の不正受給でありがちなパターンを紹介しますが、偽ったつもりがなくても不正受給と見なされるケースもありますので十分注意してください。
住所を偽る

企業に提出する個人情報で、偽りの住所を書いて出すパターンです。本当の住所より遠い場所や実家などの住所で申請すれば、実際よりも多くの交通費がもらえるからです。
また、引っ越しで住所が変わったのに申請しないケースも多く見られます。以前の住所からの交通費が、現在の住所からの交通費より多かった場合、やはり不正受給に該当します。住所変更の申請を忘れていたとしても、本人の過失として超過分の返還義務が生じますので、住所が変わったらすぐに申請するようにしましょう。
遠回りのルートを申請する

交通費を高くしようとして、通勤ルートをわざと遠回りに申請するパターンです。また、お金が目当てではなくても、体力的に楽なルートや乗客の少ない路線を選んで、結果として遠回りに(交通費が高く)なってしまうケースもあるでしょう。しかし、交通費は最短ルートでの支給が原則となるため、どのような理由であっても不正受給に該当します。遠回りでも楽なルートで通いたいのであれば、最短のルートで申請し、超過分の費用は自分で負担するようにしましょう。
交通費を申請して徒歩や自転車で通う

電車やバスなどの交通費をもらいながら、徒歩や自転車で通勤するパターンです。自宅から職場までの距離が近い場合、交通機関を使う必要がないと企業側は判断しますので、発覚すると注意を受ける可能性があります。悪質な場合は処罰されることもあるため、交通費をもらうのであれば、必ず申請した交通手段で通うようにしましょう。
まとめ 交通費の支給ルールは事前に必ず確認しよう

今回は、企業から従業員に支給される交通費について、押さえておきたいポイントをまとめて紹介しました。
先述したように、交通費支給の制度は法的な定めがないため、支給パターンや支給額、含まれる費用、計算方法などは企業によってさまざまです。よって、交通費を正しく申請・受給するためには、勤務先がどのような規定で交通費を支給しているのか、事前にしっかり把握しておくことが重要です。就職活動を行う際にも交通費の支給ルールを必ずチェックして、わからないことがあれば必ず確認しておくようにしましょう。
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